ティナが妊娠してからというもの、ロックは毎日、傍から見ると呆れるほどティナの身体を気づかっていた。ティナも時折起こるつわりなどで辛そうだったが、大事なロックとの子供を産むという思いで必死に耐えていた。

「ティナママー、お腹の赤ちゃん、中で動いてたりする?」
ティナ「ええ、とっても元気な子みたい」
「ティナママー、お腹、さわってもいい?」
ティナ「いいわよ」

子供達はティナを気づかうと同時に生まれる赤ん坊が気になるようだ。ティナの腹部に耳をつけて、赤ん坊の鼓動を聞こうとする。

トクン トクン

よく耳を澄ませば、赤ん坊の鼓動が聞こえる。

「うわあー赤ちゃん、動いてる!」
「えーホントー?僕にも聞かせてー」
「私にもー!」
ロック「コラッ!おまえ達!ティナは大事な身体なんだから無理させちゃ駄目だとあれほど言っただろう!」
「ロックパパ、ティナママに赤ちゃんができてからなんだか怖いよ〜」
「すっごく神経質になってる」
「何言ってるんだよ。ロックパパとティナママの子供なんだから当たり前じゃないか」

孤児院の子供達の中で、年長の子供が諭すと、子供達は大人しくなった。





ロックもティナも内心、ちゃんと無事に生まれるか不安であったが、お腹の赤ん坊は順調にすくすくと育っていった。そしてとうとうティナのお腹も大きくなり、陣痛が起りだした。ティナは無言で必死に耐えていたが、一緒に暮らしているロックや子供達には陣痛で辛いことが見ていて痛いほどよくわかった。そして、今まで以上にティナを気づかうようになった。

「赤ちゃん、無事に生まれるといいね」
「まだかなあ。ティナママとっても辛そうだよー」
「赤ちゃんを産むのはとても苦しくて大変なんだって」
「ティナママ大丈夫かなあ」





ロックと子供達が心配していたある日、とうとうティナに激しい陣痛が起った。出産経験のあるカタリーナは側におり、ディーンを慌てて産婦人科医を呼ばせに行かせた。ロックは気も狂わんばかりでティナに付き添っている。何せ誰よりも大切な愛しのティナが未だ嘗てないほど苦しんでいるのである。そして自分の子を産もうと必死になっているのである。どうか母子共に無事でいて欲しい。それがロックのひたすらな願いだった。

そして産婦人科医が到着し、ロックやカタリーナが見守る中――

ティナは無事赤ん坊を出産した。





ロック「ティナ…!」
ティナ「ロック、無事、生まれたわ」
ロック「ああ、俺達の子だ」

オギャー オギャー

「ティナママー!」
「赤ちゃん無事に生まれたんだねー!」
「僕達も赤ちゃん見たいよー!」
カタリーナ「もういいわ。みんな、入ってらっしゃい」

カタリーナがそう言うと、孤児院の子供達は一斉にティナの元へかけつけた。

「うわあ〜可愛い〜」
「ティナママ、おめでとう!」
「ロックパパも、おめでとう!」
ロック「ああ、おまえ達、ありがとうな。これからはこの子のお兄さんやお姉さんとして優しくしてやってくれ」
「うん!」
「うん!」
ティナ「みんな…ありがとう…!!」





無事出産が終わると、ティナとロックは2人きりになった。

ティナ「この子が無事に生まれてよかったわ。お医者さんもとても元気な子だと言ってくれたし」
ロック「これからこの子を大事に育てような!何せ俺達の子なんだから!」
ティナ「ええ。…ロック、愛してるわ」
ロック「俺もだよ、ティナ。俺はこれからティナとこの子を何があっても全力で守る!絶対に守ってみせる!」
ティナ「ロック…」
ロック「ティナ…愛しているよ…」

そう言うと、ロックはティナにキスをした。





真に愛し合う男女に愛の結晶である赤ん坊が生まれた。お互い真の愛で結ばれている夫婦は生まれた子供を自分の命より大事に育てようと心から決心したのであった。そして2人の愛は子供が生まれたことでさらに強く結び付き、より深く愛し合う。





Happy End





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