セッツァーは自分の部屋にティナを連れ込むと、ソファーに向かった。そして、ティナをお姫様抱っこしたまま、力強く抱きしめ、接吻した。

「……!!!!!」

ティナは目を見開いた。セッツァーは力強く、そして優しくティナを抱きしめ、何度も何度も熱い口づけをしてきた。
ティナは胸の鼓動が高鳴り、顔は真っ赤だった。ドキドキして体中が熱くなる。

「ティナ、好きだ………」

ティナはしばらくされるがままだった。



抱擁と口づけが終わると、セッツァーはテーブルのグラスにワインを注いだ。ティナにも勧めるが、ティナは真っ赤になったまま呆然としていた。ドレス姿で化粧をした、いつも以上に美しく着飾ったティナを見て、セッツァーは上機嫌だった。ソファでティナを抱き寄せる。

「ティナ、俺の女になれよ。一生、大事にして可愛がってやるぜ!」

ティナは真っ赤になったまま、上手く答えられずにいた。

「セ、セッツァー、わたし、なんだかドキドキして………こんな気持ちになったの、はじめて」
「それが恋ってもんさ」
「…あ、そ、そうだわ!セッツァー、あなたにとって恋ってどんなものか聞こうと思っていたんだったわ」
「ティナ、恋っていうのはな、自分の好きな相手と一緒に楽しむことなんだよ。今までだって俺達、何回かデートしただろ?」
「え、ええ」
「友達と違ってな、恋人はキスもするんだぜ。そして一緒に夜を過ごしたりもするんだ」
「キス………」

ティナはまた真っ赤になった。体中が熱い。

「まあ、友達同士でもキスとか、文化によっていろいろあるけどよ、自分が恋してる相手とキスするってのは、他の人にするのとは違うんだ」
「……………」
「自分の好きな相手とキスするのは嬉しい気分になるもんなんだ」
「わかるわ………でも、それだけじゃないわ…この気持ち、何て言えばいいのかしら」
「上手く言葉にできなくてもいいんだよ」
「………セッツァー、私、あなたに喜んでもらえて嬉しいわ。こんな格好したのはじめて」
「そうだな。俺もびっくりしたぜ。ティナのドレス姿が見れて、俺も嬉しいぜ」

ティナはまた真っ赤になった。さっきから何度も赤面している。ろくに会話ができていない気分になる。

「恋って、自分の好きな相手と楽しんだり、喜んだりすることなのね」
「そうだなあ。好きな相手が喜ぶことだったら何でもしたくなるな」
「……………ねえ、セッツァー……………あなたにとって結婚って、どういうもの?」

ティナがそう聞くと、セッツァーは真面目な顔になった。ティナを抱き寄せたその手で、ティナの美しい髪を優しく撫でる。

「…結婚っていうのは、人生を共にしたい相手とするもんだ。ずっと一緒にいたい、一緒に生きていきたい相手とな」

セッツァーは優しい表情になったティナを見つめた。

「俺は最初は結婚なんて、綺麗な嫁さんだったらいい、なんて軽く考えてた。だけどティナと出会ってから少しずつ真面目に考えるようになった。俺は今までギャンブラーとして好き勝手に生きてきた。これからも自由に生きていきたい。そこで思ったんだ。ティナ、おまえにも自由に生きて欲しいってな。聞けば帝国にいた頃はあやつりの輪とかいうので思考を封じられてたそうじゃねえか。ティナ、これからは俺と一緒に自由に生きていこうぜ。何者にも縛られない、自由な生き方を」
「セッツァー………」

ティナはまばたきした。化粧をして、アイメイクもしてもらったので、ちょっと気にしてしまう。

「自由な生き方…楽しい生き方…」
「そうさ!ティナは今まで辛い思いばかりしてきた。これからは俺が人生を楽しむことをたくさん教えてやるよ!」
「セッツァー………」
「ティナ………この戦いが終わって、世界が平和になったら………結婚しようぜ」

ティナはしばらくセッツァーを見つめた。

「ええ、結婚しましょう。私、あなたと一緒に生きていきたいわ」

セッツァーとティナはしばらく見つめ合った後、改めて抱き合い、熱い口づけを交わした。





セッツァーとティナが部屋から出ると、エドガーが真剣な表情で待ち構えていた。

「エドガーか。悪いな。ティナは俺の女になるってよ」


ティナ!!!!!


エドガーは必死な表情でティナの前に跪き、手を握った。

「ティナ!私にもう一度だけチャンスをくれ!私は本当に君を愛しているんだっ!!!!!」

得意の口説き文句など考えている余裕がないようだった。ティナはエドガーの真剣な様子に動揺する。断ると言っても、具体的にどんな風に断ればいいのか、言葉が出てこない。エドガーを無暗に傷つけるようなことはしたくない。こんなことは全く初めてのティナはすっかり困ってしまった。
そこへまたしてもゴゴがやってくる。

「ティナ、恋愛結婚についての考え方を仲間になった順番に聞いていくの、まだ続けるかい?」
「あっ、そうだわ。後はストラゴスとウーマロね」
「は?ちょっと待てよ、ティナ。俺で終わりじゃないのか?」
「仲間になった順番に、全員に聞くつもりだったんだけれど…」
「残りはストラゴスとウーマロだろ?聞く必要あるのかよ?」
「ストラゴスはおじいちゃんだもの、きっといろんな経験をしてると思うわ」
「いや、ていうか、今のストラゴスは頭が変になってるし…」
「どうかしたの?」

ティナの方は自分がストラゴスに与えた影響については全く気付いていない。
ゴゴは上手く仲裁役を買って出た。

「なあ、ティナがストラゴスとウーマロに話を聞いている間に、セッツァーとエドガーで男同士の決着をつける、これでどうだい?」

セッツァーとエドガーは改めて向かい合った。

「いいじゃねえか。今更ティナの気持ちを動かせると思ったら大間違いだぜ!」
「おまえのようなアウトローにティナを渡せるか!」
「アウトロー…?」

ティナは目をぱちぱちさせて、ただひたすら動揺している。アウトローと言われてもセッツァーの方はふん、と軽く鼻であしらった。

「ねえ、ゴゴ、アウトローって何?」
「あいつらが男の戦いをしてる時にこっそり教えてあげる」

ティナとゴゴがひそひそ会話しているのをよそに、セッツァーとエドガーはバチバチと火花を散らしていた。





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