※これはゲームエンディング後の話です。アーヴァインとセルフィは付き合っているという設定になっています。相変わらずサイファーがキャラ崩壊しているので注意。
今日はスコールとリノアの結婚式。会場は大勢の人間でごった返している。結婚式会場の人々、エスタの人々、バラムガーデンの人々。他にも多くの人間がいた。何せ主役のスコールとリノアは世間的にも重要人物である。スコールはバラムガーデンのSeeDであり、エスタ大統領ラグナの息子でもあるのだ。国の重要人物も顔を出しにくるのは当然のことだった。リノアはリノアでガルバディアのカーウェイ大佐の娘である。こちらもまたガルバディアの重要人物達が顔を出しにくる。他にもバラムガーデンのシド学園長とその妻イデア、バラムガーデンのSeedと生徒達、リノアが以前所属していたティンバーの「森のふくろう」のメンバー。多くの招待客を招き、この世界で最新の技術を持つエスタの最も豪華な会場で彼らの結婚式は行われようとしていた。
ここはエスタ大統領の控室。
サイファーはラグナの正装に見惚れていた。サイファーはラグナが若い頃に出演した映画「魔女の騎士」を見て憧れた。今でもラグナに憧れている。そして彼は今、エスタ大統領であるラグナの専属ボディガードとしてそばに仕えることになったのだ。常に憧れの人の近くにいられるとは夢のようである。ラグナのドジでそそっかしいところもサイファーの目には全て美化されて映っていた。人間的魅力に溢れた人だと。
そして今ここはエスタ大統領の控室。結婚式の新郎の父親であり、エスタ大統領であるラグナは最高級のタキシード姿で立派に正装していた。サイファーが知る限り世界最高の美男子であるラグナの完璧な容姿。絶世の美男子と言っても過言ではないだろう。ラグナは容姿端麗なだけでなく、人間的にも非常にいい人である。根暗ツンデレのスコールと違ってスコールと違ってスコールと違って。サイファーはそんなことを考えていた。
一方、そのラグナの方は――
緊張していた。
エスタ大統領としてだけではなく、何より新郎スコールの父親として結婚式で挨拶をしなければならないのだ。ラグナは緊張しやすい性格である。緊張すると足がつってしまう。今日はスコールにとって大事な日だ。失敗は許されない。何としても見事に成し遂げなければ。考えれば考えるほど緊張して冷や汗が出てくる。
キロス「ラグナ、そんなに緊張するな」
ラグナ「そ、そうは言ったってよう…」
ラグナは緊張のあまりガタガタと震えていた。
サイファー「ラグナ様、落ち着いて下さい!肩をお揉みしましょう」
ラグナ「おお、サイファー君、すまないな」
キロス「とにかくリラックスしろよ。ウォードもそう言ってるぞ」
ウォードは昔の怪我の為に口がきけなくなってしまったが、顔を見ればだいたい何が言いたいのかわかる。ラグナとキロスとウォード、この三人の絆は非常に固いものであった。
サイファー「ラグナ様!俺、緊張をほぐす方法を調べてきました!」
ラグナ「おお、そんなことまでしてくれたのか。ありがとう」
サイファー「まずは深く深呼吸をするといいそうです!」
スーハースーハー
サイファー「他にも緊張しない『ツボ』があるそうです」
サイファーは緊張しない為の身体の『ツボ』をラグナに教え、ツボを押した。
サイファー「他にも手のひらに『人』という字を三回書いて飲むといいそうです」
昔からよく言われる緊張しないおまじないである。サイファーの献身(?)が届いたのか、ラグナは落ち着いてきた。
ラグナ「よ、よし、落ち着いてきたぞ!このまま式場へ行ってやるぜ!」
控室から外へ出るとスコールに会った。新郎用の白スーツを着て、こちらも見事に決まっている。しかしサイファーから見るとやはりラグナの方がカッコよかった。スコールとラグナは実の親子だが、親子として会ったのはつい最近の為、お互いぎこちない挨拶になった。
ラグナ「スコール、とうとう今日は結婚式だな。リノアちゃんを幸せにするんだぞ」
スコール「あ、ああ。わかってるさ。………父さん」
父さん
父さん 父さん 父さん 父さん 父さん
ラグナは頭の中でこの言葉を何度も反芻した。スコールから始めて「父さん」と呼ばれたのである。今までは「あんた」だったのが「父さん」になったのである。ラグナはふわふわと天井に上るような気持ちになって気分は宙に浮いていた。なのでサイファーがスコールに絡んでいるのにも全く気付いていなかった。
サイファー(くっそ、許せねえ!どうしてこんな奴が憧れのラグナ様の息子なんだよ!ラグナ様があんなに嬉しそうな顔するなんて…くっそー!)
サイファーはギリギリと歯ぎしりしながらスコールに近づいた。スコールはたちまち警戒する。まさかこんな日まで喧嘩をふっかけてくるとは思えないが…いや、サイファーは十分に殺気立っていた。
サイファー「よう、スコール。今日はリノアとの結婚式だな。ほら、結婚祝いだ」
スコールが祝儀袋の中身を改めると3000ギルが入っていた。「30000」ギルではなく「3000」ギルだった。
スコール「…ケタが一つ足りない」
サイファー「なんだぁ?もらう立場で何か文句でもあるのかぁ?祝ってもらえるだけありがたいと思えよ。あぁ?」
スコール「おまえから祝ってもらえるとは意外だな」
サイファー「何を言う。俺は今じゃ爽やかな好青年なんだぜ?ラグナ様の元で修業を積んで、今におまえなんかよりずっといい男になってやる」
スコール「ああ、そうか」
スコールは適当にスルーしようとするが、それがサイファーにとって気に入らない。だが憧れのラグナの前で喧嘩を売るわけにもいかなかった。
ラグナ「おっと、スコール、リノアちゃんに会いに行かなくていいのかい?あの子のウェディングドレス姿はきっと綺麗だぞ~」
それを聞くと急にスコールは落ち着かなくなった。そばでサイファーがにやにやと笑う。
ラグナ「よーし、じゃあみんなで行こうな~」
スコールはラグナ達と共に花嫁であるリノアの元へ向かった。
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