ここは花嫁の控室。リノアは純白のウェディングドレスを身に纏っていた。そばにはセルフィとキスティスがいる。

セルフィ「リノア綺麗~」

セルフィとキスティスはリノアの花嫁衣裳を憧れの目で見た。いつか自分も想う人と結ばれたい。いい人を見つけて結婚したい。
そこへスコールとラグナ達が入ってきた。どんな女も花嫁衣装に身を包むと美しさが倍増する。未だかつてないほど美しく着飾ったリノアを見て、スコールは暫しの間言葉を失った。

リノア「スコール、どうしたの?」

リノアが再度呼びかけてもしばらく反応できないくらい、スコールはリノアの姿に見惚れていた。気がつくとラグナがリノアに話しかけている。笑顔で応えるリノア。

スコール「リノア、その………綺麗だよ」

スコールの言葉にリノアは輝くような笑みで応えたのだった。純白のドレスに身を包んだ花嫁は誰よりも幸せそうだった。



そして――

式は粛々と進み、とうとうラグナにとって試練の時がやってきた。新郎スコールの父親として、エスタ大統領として皆の前で挨拶をしなければならない。せっかくほぐれた緊張もまた元に戻ってしまった。皆の注目を浴びる中、ラグナは足をつらせてスピーチ台に立つ。

ラグナ「し、ししし新郎の父、ラグナ・レウァールと申します。今日はお日柄もよく――」

挨拶の内容はあらかじめ台本を用意して、ラグナは必死に暗記していた。部屋で一人の時に何度も予行練習をし、準備は万全のはず、だった。しかし今ラグナの頭の中は緊張のあまり真っ白になっていた。台本の内容を読み方を間違えていることも気づかずにスピーチを続ける。

ラグナ「――無感量の思いでいっぱいです」
キロス・ウォード(ラグナー!そこは『無感量』じゃなくて『感無量』だー!)

キロスとウォードは心の中でツッコミを入れる。

ラグナ「今日のよき日を迎えられましたことも、いちじゅうに本日お集まりの皆様方のお力添えの――」
キロス・ウォード(マズい。『一重に』を『ひとえに』じゃなくて『いちじゅう』って読んでる…)

ラグナ「なんそつ今後もよろしくお願い申し上げます」
キロス・ウォード(『なんそつ』じゃない。『何卒』は『なにとぞ』って読むんだ…)

幸い、招待客はラグナの間違いをあまり気にしてはいかなかったようだ。国の重要人物達が心の中でどう思ったかは神のみぞ知る。とにかくラグナのスピーチは無事終わり、披露宴が始まった。

スコールとリノアは新婚らしく、これ以上ないくらい幸せそうにしていた。スコールは緊張していたようだが、リノアはひたすら笑顔で皆に応えていた。
ラグナはスコールともっと話がしたかったが、リノアの父親カーウェイ大佐に捕まってしまった。カーウェイ大佐としては大切な愛娘が結婚するのでスコールとも話したかったし、スコールの父親でありエスタ大統領でもあるラグナとも話をしたかった。
披露宴にはスコールとリノアの仲間であるセルフィ達の他にエルオーネや風神・雷神もいた。サイファーはラグナとカーウェイ大佐の邪魔をしないよう、披露宴の間は風神・雷神と一緒にいた。ゼルと雷神は食欲旺盛でご馳走をたくさん食べていた。

アーヴァイン「セフィ」
セルフィ「アービン、私、さっきリノアからブーケトスもらったんねん」

セルフィはブーケを大事そうに持っていた。それを見てアーヴァインは、いつか自分とセルフィも結婚したいと思った。このスコールとリノアほどの豪華な式にはならないけれども、仲間内でひっそりとしてもいい。セルフィをこの世で誰よりも幸せにしてやりたいと思った。セルフィは顔を赤らめてブーケをずっと持っている。そしてアーヴァインはどのようにデートしてプロポーズして結婚式を挙げるかについて考えを巡らせているのであった。最高にカッコよく決めたい。ありとあらゆる恋愛小説や結婚の雑誌なども参考にして、ムードのあるロマンチックなプロポーズにしたい。

他にもシド学園長とイデア、他のバラムガーデンのSeeDと生徒達、披露宴は広い会場で華やかに行われている。皆スコールを祝いにきた。リノアの友達である、以前所属していた森のふくろうのメンバー、ゾーンとワッツも祝いにきた。リノアは本当に幸せそうに、祝いにきた招待客全てに笑顔を振りまいた。

披露宴はこの上なく賑やかに行われた。皆、楽しそうだった。





そしてスコールとリノアは晴れて夫婦になり、二人の人生は新たな一歩を踏み出す――











思いついたネタが「スコールとリノアの結婚式の挨拶で足をつらせるラグナ」だったので、あんまりスコリノっぽくなくてすみません。
ラグナ大好きです。






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