名前設定 最終皇帝男:シーザー 最終皇帝女:エリザヴェータ
帝国歴2XXX年。バレンヌ帝国次期皇帝最有力候補シーザーは武術の稽古に明け暮れていた。残る七英雄はスービエのみ。世界に真の平和をもたらすまで後一歩である。そんな中、シーザーはバレンヌ帝国に生まれた。学問に秀で、武術の才に恵まれ、術の才能もある万能の戦士。その戦闘能力は帝国の歴史上はじまって以来、最も優秀だった。そんな彼が次期皇帝の最有力候補なのは当然の結果であった。間もなく新たな皇帝継承が行われる。シーザーは皇帝となる為の準備を怠らなかった。政務は側近達も補佐してくれるからいい。だが武術の方は念入りに訓練を重ねておかなければならない。何せあの七英雄と戦うのだから死闘は免れない。過去に散っていった数多くの皇帝が思い浮かぶ。今度こそ全ての七英雄を倒し世界に平和を。
その日、シーザーは夜中に剣の稽古をしていた。愛剣デイブレードを構え、素振りをする。剣の刃が夜中の冷たい空気を切り裂く。しばらく稽古に集中していたシーザーは背後に気配を感じた。
シーザー「誰だ?」
「さすがね。私の気配に気づくなんて」
背後の木の上から美しい女性が降り立った。金色の髪は月の光を受けて艶やかに光る。女性は武装していた。腰に大剣を下げている。
シーザー「君は?」
「私の名はエリザヴェータ。皇帝になる為にこの国に来たの」
シーザー「何だって?」
エリザヴェータ「私は生まれた時からバレンヌの皇帝になるべく育てられたのよ。なのにアバロンに来たら最有力候補がいるなんて」
シーザー「皇帝になる為に育てられた?そのような者がいるとは聞いたことがないが」
エリザヴェータ「あなたは帝国始まって以来最強の戦士なんですってね。次期皇帝候補シーザー、私と勝負なさい!私が勝ったら次期皇帝の座は私のものよ!」
エリザヴェータと名乗った女性は大剣を抜くとシーザーに向かってきた。シーザーはデイブレードで応戦する。エリザヴェータの剣術はかなりのものだった。女性のインペリアルガードでもここまでの使い手はいない。それどころか今まで戦ったどの戦士よりも強い。シーザーもエリザヴェータも大剣を振るうので剣戟の音は凄まじかった。月明かりの元、鋭い音が響き渡る。
エリザヴェータ「月影!」
夜中の冷たい空気に加えてさらに凄まじい空気がシーザーを襲った。シーザーも負けてはいない。直ちに反撃に移る。エリザヴェータは女性だがかなり力もスピードもある。体力もあるようでなかなか勝負がつかない。シーザーは一気に勝負をつけるべく隙をうかがった。
シーザー「無明剣!」
ガキーン!
技を受けたエリザヴェータは大剣を取り落とした。シーザーは剣の切っ先をエリザヴェータに向ける。
エリザヴェータ「私の負けね。悔しいわ」
シーザー「さあ、君が何者なのか聞かせてもらおうか」
そう言った瞬間、エリザヴェータの姿が消えた。見ると、エリザヴェータは軽やかに身を翻して塀の上へ昇った。目にも止まらぬ鮮やかな動きである。
エリザヴェータ「今日のところはこれで引き下がるわ。でも私はあきらめない。必ずあなたを負かして私がバレンヌ最後の皇帝になるのよ!」
シーザー「バレンヌ最後の皇帝?」
エリザヴェータは塀の向こうへ去って行った。後には闇夜の静けさのみが残る。
シーザー「エリザヴェータと言ったな。一体何者だ?バレンヌ最後の皇帝とはどういうことなのだ?」
エリザヴェータという女性はシーザーの心に峻烈な印象を残した。美しい容貌と勝気な気性、そして勇猛果敢な戦いぶり。
それ以来、毎晩のようにエリザヴェータはシーザーに挑戦してきた。剣で戦うこともあれば斧や槍で仕掛けてくる時もあった。シーザーもエリザヴェータも全ての武器に精通していた。エリザヴェータは何度負けても決してあきらめることなく、必ず夜にシーザーの元へやってくる。そして勝負を挑むのである。謎の女性の出現にシーザーの心中は穏やかでなかった。何者なのかは皆目わからない。夜にしか姿を現さないということで人目を忍んでいるようでもある。美しくも強気な女の戦士。シーザーの心はいつしかエリザヴェータに捕らわれるようになった。
エリザヴェータ「シーザー!今日は術で勝負よ!」
シーザー「いいだろう」
エリザヴェータ「術には自信があるのよ。今度こそ負けないわ!」
好戦的なエリザヴェータは早速攻撃を仕掛けてくる。
エリザヴェータ「ペイン!」
シーザー「何っ!?」
シーザーは驚いた。彼女が使ったのは冥の術。今ではモンスター達しか使わない太古の失われた術である。そんなものを使ってくるとはエリザヴェータは人間ではないのか!?
エリザヴェータ「ヘルファイア!サンドストーム!」
シーザー「うっ!!」
エリザヴェータ「シャドウサーバント!」
驚愕に目を見開いているうちにエリザヴェータはどんどん術を唱えていく。そして大剣を抜き、向かってくる。
エリザヴェータ「ツバメ返し!」
シーザー「ディフレクト!!」
シーザーも慌てて大剣を抜き、ディフレクトで攻撃をかわした。エリザヴェータは2回攻撃してきたので避けるのに苦労した。際どいタイミングでなんとかかわすと反撃に転じる。
シーザー「ギャラクシィ!」
シーザー「君は一体何者なんだ!冥術を使うなんて!」
エリザヴェータ「私のことは秘密よ。いずれ皇帝として名乗りを上げたら素性を明かすの。私のことがどうしても知りたければ、捕まえてご覧なさい」
シーザー「何だって?」
エリザヴェータ「ふふっ。あなたの方が力はあるけれど素早さは私の方が上。私を捕まえられるかしら?」
そう言うとエリザヴェータはまた軽やかに身を翻して姿を消した。まさに一瞬の出来事である。
シーザー「捕まえて見せるさ。そして何者かつきとめてやる!」
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