ランディの誕生日は楽しく過ごせた。結局ポポイには会えなかったが、久しぶりに昔旅していた頃を思い出して2人で回想に耽っていた。プリムにとってはランディと1日中2人っきりで、高鳴る胸の鼓動を抑えつつ楽しい時を過ごした。
ランディへの想いはつのる一方である。この気持ちをどうやって伝えよう。あれだけ鈍感で奥手なのだ。いっそのことはっきりと告白してしまおうか。
プリムがそんなことをあれこれと考えていた時である。パンドーラの町を散策していて、偶然あるカフェにランディと帝国のレジスタンスのリーダーだったクリスが仲良く話しているのを見つけた。

2人はいかにも楽しげに会話している。プリムは心中に、徐々に嫉妬という名の感情が湧いてくるのを感じた。レジスタンスのリーダーとして来たのならランディとプリム、2人と会いたがるはずだ。それがランディだけとなると…
プリムはいても立ってもいられなくなってカフェに入り、2人のいる席へ向かった。

ランディ「あ、プリム!」
クリス「プリム!お久しぶりね。最近調子はどう?」
プリム「クリス…あなたがここに来ているなんて知らなかったわ。なんならあらかじめ連絡してくれればよかったのに」
クリス「ごめんなさい。あなたにはパンドーラに来てから訪ねればいいと思っていたのよ」
プリム(ランディだけに連絡したのね。何よ、嘘吐き!本当はランディだけが目当てだったんじゃないの?)

プリムは心の中で毒づいた。
その後は3人で帝国と戦っていた頃の話になり、今の復興中の帝国の実態もクリスから聞かされることになった。
プリムは内心納得がいかなかった。ランディとクリスは先程の親密な雰囲気からは一転して、自分が割り込んでからさりげなく何でもない風を装っているように感じられたのである。プリムの心中に嫉妬の感情が燃え上がった。


一通り会話が終わると3人は店を出て、ランディはポトス村へと帰って行った。

クリス「彼、大人っぽくなったわね」
プリム「ええ」

プリムの答えはそっけなかったが、クリスは気にしてないようだった。

クリス「はあ〜これからまた帝国に戻って国の復興かあ。…プリムはいいわね〜お父さんからたくさんお見合い相手を紹介してもらってるそうじゃないの」
プリム「あんなの、別に嬉しくもなんともないわ。私はディラック一筋だったもの」
クリス「ディラックさんのことは本当に残念だったわね…でもまた新しくいい人が見つかるかもしれないわよ?元気を出して」
プリム「ええ」

クリス「プリムはいいなあ。お父さんが世話を焼いてくれて。私は忙しい中、自分で相手を探さなきゃいけないもの。……彼、アタックしてみようかな……あっ!何でもないの!そろそろ帰らなくちゃ。じゃあまたね!」
プリム(…聞こえたわよ)

クリスのつぶやきはプリムにはしっかりと聞こえてしまった。『彼』とは十中八九ランディのことだろう。これは何とかしないと…!

プリム「恋敵、出現ね。負けるもんですか!」





だが、プリムの読みは甘かった。クリスはパンドーラの宿屋で1泊すると、翌日さっそくポトス村へ行ったのである。

クリス「ランディとプリムの仲ってどこまで進んでいるのかしら?ずっと一緒に旅をしてきたわけだし…アタックするなら少しでも早い方がいいわ!」

クリスがポトス村を訪れるとランディは驚いた。

ランディ「クリス!?どうしたの?昨日会ったばかりなのに」
クリス「びっくりさせちゃってごめんなさい。ねえ、2人っきりで話したいことがあるんだけど、どこかいい場所知らないかしら?」
ランディ「ええと、僕は村長さんの家に住んでいるんだ。客室でよければ…」
クリス「できれば『外』で、誰にも邪魔されない場所がいいわ」

クリスは思わせぶりに言ったが、ランディは気づいていない。

ランディ「そうだな…じゃあ聖剣の森にでも…」





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