※これはエンディング後の話です。



世界に平和が戻ってから、アンジェラは母親である魔法王国アルテナの女王ヴァルダの手助けをしていた。世界からマナが消えてしまった為、魔法も使えなくなってしまった。女王の魔力で温かい気候を保っていたアルテナも、これからは寒さと戦っていかなければならない。
以前、世界に危機が迫っていた頃、ヴァルダは操られて実の娘であるアンジェラを殺そうとした。その時のアンジェラは深い心の傷を負ったのだが、後に母が操られており、実際は娘であるアンジェラのことをずっと想っていたことがわかり、母に嫌われているとばかり思っていたアンジェラは泣き崩れたのだった。
ずっと想いがすれ違ったままだった母娘は久々に心を通わせた後、アンジェラは世界に平和を取り戻す為の最後の戦いに向かった。そして仲間達と共に戦い無事勝利し、それからはずっと母の補佐をしていたのだ。現在は母と手を取り合ってアルテナを治めている。

そんなある日、ヴァルダはアンジェラに縁談の話を持ちかけた。

ヴァルダ「ねえ、アンジェラ。あなたももう19歳。そろそろ結婚を考えてもいい歳だわ。アルテナ王家に使える名家の貴族達は大勢いるし、今のアンジェラはとても綺麗になったからさぞかし縁談の申し込みが絶えないと思うわ。私はアンジェラがいいと思った人だったら誰でも結婚させてあげたいと思ってるんだけど、あなたはどんな人がいいの?」
アンジェラ「まあ、嫌だわ、お母様ったら。私、これでもちゃんと心に決めた人がいるのよ」
ヴァルダ「まあ!それは誰?今すぐにでもお母さんに紹介して頂戴」
アンジェラ「お母様は会ったことあるわ。以前一緒に戦った仲間の1人だもの」
ヴァルダ「もしかして、私が正気を取り戻した時、あなたの隣にいた彼?」
アンジェラ「そうよ!私があの旅で見つけた魔法よりずっと素敵なもの!………でもお〜アイツったら鈍感で、全っ然私の気持ちに気付いてくれないのよね〜。ああん、もう!考えるだけで腹が立つわ!」
ヴァルダ「アンジェラ」
アンジェラ「なあに?お母様」
ヴァルダ「本当に彼が好きなら、ちゃんと捕まえてこなきゃダメよ。彼の気持ちをちゃんと掴んできなさい」
アンジェラ「ええ、わかってるわ!」



ここは草原の国フォルセナ。厳寒の地アルテナとは打って変わって穏やかな気候である。暖かい日差しが降り注ぐ中、デュランの家では怒声が飛び交っていた。

ウェンディ「お兄ちゃん!何度言ったらわかるの!お皿割らないでって言ったでしょう!」
デュラン「つい手が滑って落としちまったんだよ。悪かったな」
ウェンディ「もう!他にも掃除を頼んだと思ったら勢い余って家具壊しちゃうし!お兄ちゃんってばどうしてそんなにがさつなの?」
デュラン「うるせえなあ。俺は家事には向いてないんだよ」

デュランと妹のウェンディが兄妹喧嘩をしている中、伯母のステラは頭を抱えていた。あまりにも粗雑で乱暴なデュランの素行はひそかに悩みの種である。

ステラ「全く、デュランにも困ったもんだねえ。そんなんじゃ女の子も寄り付かないよ」
ウェンディ「本当!そんなんじゃお嫁さん来ないよ!」
デュラン「な、なんだよ2人して!」

デュランの家では基本的に女の方が立場が強い。家族構成からして女2人と男1人のせいもあり、デュランは喧嘩になるといつもやり込められていた。しかし恋愛に関して鈍感な彼は女の子や嫁と言った言葉に特に反応することもなかった。ウェンディとステラはデュランのそんなところに、ついため息が出てしまうのだった。



その後アンジェラは単身フォルセナにやってきた。目的は英雄王と――

アンジェラ「フォルセナ、久しぶりね〜英雄王さんにも会いに行かなきゃ。それにしてもお母様と英雄王さんってどんな関係なのかしら?いつも口を濁して教えてくれないのよね〜。もう!2人ともケチなんだから!」

アンジェラはまず英雄王リチャードの元へ行った。

英雄王「ようこそ、このフォルセナに。久しぶりだな、アンジェラ王女」
アンジェラ「お久しぶりね」
英雄王「来訪の知らせがなかった為、今、至急もてなしの用意をさせている。しばらくお待ちいただきたい」
アンジェラ「いいのよ。英雄王さん。今回は私の幸せをつかむ為に来たのよ」
英雄王「ほう?」
アンジェラ「ねえ、英雄王さん、この国からデュランがいなくなったら困るかしら?」
英雄王「それは困るな。新たな黄金の騎士はフォルセナ騎士団の象徴だ」
アンジェラ「そうね。でも私だって女としての幸せをつかむ為には何でもするわよ」
英雄王「アンジェラ王女…もしやそなたはデュランを…」
アンジェラ「そう!だからアルテナ王女とフォルセナの黄金の騎士との縁談について、考えておいてね!」

アンジェラはまずデュランの家へ向かった。以前旅をしていた時にはデュランに拒まれて中に入ることはできなかったが、場所はしっかりと覚えていたのだ。デュランが一体どのような部屋で生活しているのか知りたかっただけに残念であった。しかし今度こそデュランの家を訪ねようと思った。デュランの家族にも会ってみたい。そして――





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