アンジェラ「デュラ~ン、久しぶり~」
デュラン「アンジェラ?急にどうしたんだ?」
アンジェラ「デュラン、私、これからしばらくこのフォルセナに滞在することにしたの。目的を果たすまではぜ~ったいに帰らないから」
デュラン「あ?目的ってなんだ?」
アンジェラ「ヒ・ミ・ツ!知りたかったら当ててご覧なさい。ところでデュランの部屋、見せてよ。旅してた頃は家に入れてくれなかったじゃない?」

アンジェラはデュランの家に入ると、ステラとウェンディに挨拶した。そしてデュランの部屋に行く。

アンジェラ「へえ。これがデュランの部屋なんだ。男の子の部屋って初めて見たわ」
デュラン「俺の部屋なんか見てどうするつもりだったんだよ」
アンジェラ「別に~興味あっただけ。ねえ、デュラン、私、そろそろ結婚しなきゃいけないの。だから相手を探してるのよ」
デュラン「ふうん。王女ってのも大変だな」
アンジェラ「それだけ?」
デュラン「それだけって?」
アンジェラ(私が結婚するって聞いても何の反応も示さないなんてムカツク~!)

バシッ

デュラン「いてっ!いきなり何するんだよ」
アンジェラ「あら、ごめんなさい。手が滑っちゃって」

その後アンジェラはステラやウェンディと親しくおしゃべりをした後、帰って行った。

デュラン「あいつ、何しに来たんだ?」
ウェンディ「お兄ちゃんって鈍いんだね。アンジェラさんのお兄ちゃんを見る目つきでわかるじゃない?」
デュラン「何を?」

ウェンディは深いため息をついた。そして、ステラとこっそり内緒話をする。

ウェンディ「ねえ、ステラおばさん。まさかあんなに綺麗で色っぽいお姉さんがお兄ちゃんに気があるなんて意外」
ステラ「私もそうだわ。このままじゃ、お嫁さんが来ないんじゃないかった思ってたもの」
ウェンディ「でもアンジェラさんってアルテナの王女様なんでしょ?ウチにお嫁にくるんじゃなくてお兄ちゃんにお婿に来てもらいたいんじゃないの?」
ステラ「あら!それは大変!もう、デュランったら何であんなに鈍いんだろうねえ!」

その後、アンジェラは毎日のようにデュランの傍にいるようになった。

アンジェラ「デュラン、おはよう!朝早くから剣の稽古お疲れ様!汗拭いてあげるわ」
デュラン「わ!わわっ!あんまりひっつくなよ!」

タオルでデュランの汗を拭こうとしたアンジェラから、デュランは慌てて離れた。急接近され思わずドキッとしてしまったのである。余計汗が出る。しかしアンジェラのさりげないアプローチはそれで終わらなかった。

アンジェラ「デュラ~ン、一緒に城のお庭を散歩しましょ
デュラン「何で俺が?」
アンジェラ「いいじゃな~い。他国の王女が自分の国を訪ねてきてるのよ。もてなすことも大事じゃない?」
デュラン「何だよ。散々国王陛下に世話になりやがって」
アンジェラ「英雄王さんにはちゃんと許可をもらってるのよ。さ!行きましょ!ちゃんと騎士らしくエスコートするのよ!」
デュラン「エ、エスコート!?そういうのはホークアイに頼めよ」

アンジェラは戸惑うデュランを強引に引っ張り、庭園の散歩に連れ出した。デュランは女性と腕を組んで歩くのは初めてである。腕にアンジェラの豊満な胸が当たっていることを意識しないように努めながら散歩に付き合った。
アンジェラのアプローチは毎日続いた。そしてフォルセナ中の話題になった。昔からデュランを知っている傭兵仲間達は驚きを隠せない。

兵士「お、おい、マジかよ。あの粗暴なデュランがあんな美人で色っぽい王女様と――なっ…なんて羨ましいんだ!」
兵士「くそー!俺の方がいい男なのにー!」
兵士「デュランの奴、王女様の気持ちに気づいてるのか?何せとことん鈍い奴だからなあ」
兵士「だけどあんな色っぽい王女様に毎日のようにアタックされたんじゃ、そのうちあのお色気で悩殺されるぜ」
兵士「なあ、デュランの奴、あとどれくらいで『落ちる』と思う?」
兵士「賭けるか?」

城の兵士達のざわめきをよそに、デュランは参っていた。そしてある日、とうとう我慢できなくなってしまった。

デュラン「どうでもいいけどな!そんなにひっつくなよ!」
アンジェラ「デュラン?」

やっとの思いでそれだけ言うと、デュランは顔を真っ赤にして走り去った。その後、かつて剣術大会の決勝で戦ったブルーザーに会う。

ブルーザー「よう!デュラン。久しぶりだな」
デュラン「ああ。剣術大会の決勝戦以来だな」
ブルーザー「あの時おまえに負けたのは悔しかったが、まさか世界を救う程の英雄になるとはな。もう俺はおまえには敵わないぜ。ところで最近は王女様と一緒にいることが多いじゃねえか。羨ましい奴め」
デュラン「参っちまうよ。一体あいつ、何しにこのフォルセナに来たんだ?」
ブルーザー「は?おまえ、まさか何にも気づいてないの?」
デュラン「何が?」
ブルーザー「アルテナ王女は現在結婚話が持ち上がっている。そして国中の男達の求婚を蹴って今このフォルセナにいる」
デュラン「そうだったのか?そういえば結婚がどうとか言ってたような気がするな」
ブルーザー「おまえなあ、鈍いにも程があるぜ。王女様が今やっていることを考えてみろよ」
デュラン「ほとんど1日中俺と一緒にいるな」
ブルーザー「ってことは、もう言わなくてもわかるだろ?」
デュラン「そ、そんな!?ちょ、ちょっと待てよ。あいつ、目的を果たすまでは帰らないとか言ってたけど、まさか、そんな…そんな…そんな…」
ブルーザー「デュラン?」

デュランは顔をゆでだこの様に真っ赤にしたままよろめいた。そして大声で叫びながらフォルセナの城の外へ疾走していった。





次へ
前へ

二次創作TOPへ戻る