山と旅のつれづれ PC絵画 第三部
幼かりし頃、好きだったお絵描き。仕事の現役中は、すっかり忘れていて、50年目に出会ったそれは、 思いがけないパソコンによるお絵描きです。場所をとらず、ソフト以外の道具一式の必要もなく、 手軽に描ける面白さに浸っています。 作品はすべて自分で撮ってきた写真や旅行パンフ或いは、頭に浮かんだ架空の風景を題材にしています。 写真トレースやデッサンを省略して、キャンバスに直接色描き手法で描いています。 2008年8月現在九点収録。順次追加していきます。
聖堂・モン、サン、ミッシェル マルタ島の城塞都市・バレッタ 仏教遺跡・アンコール、ワット 樹氷に輝くカラ松林 草津白根火山の火口湖 原爆ドーム 運河の映える街小樽 徳之島、東シナ海の荒波 ドイツ、ロマンチック街道・ノイシュバン・シュタイン城 聖堂・モン、サン、ミッシェル
うんざりするほど勝手に送られてくる旅行商品ガイドブックの写真を題材にしました。
実際に目の当たりにしたわけではないので、下手な解説はしないことにします。 24インチモニターにA3サイズでタブレットにペン描きです。 マルタ島の城塞都市・バレッタ
モンサンミッシェルと同じ旅行商品のガイドブックの写真を題材にしました。
以下同文。 垂直と水平の色描きが正確に描けるのがありがたい。しかし、整いすぎて写真に見えてしまうかも。 仏教遺跡・アンコール、ワット
上に同じ、旅行パンフから。
ここまでの三点は世界文化遺産シリーズです。 樹氷に輝くカラ松林
中日新聞の領収書に付いてきた 小冊子の巻頭を飾る清清しい感じの風景写真に魅せられて描いてみたのがこの作品。
寒さに弱いわたしは北海道と思われる雪の大平原に接したことはないが、富良野や北見平野を旅したときの緑の平原と、のどかにう ねる畑作地帯の雄大な風景を思い出しながら描くのがまことに楽しいひとときです。 ほとんど青と白という淡色だけで構成された風景は、繊細な筆使いながら同じ作業の繰り返しで、意外なほど短時間で描きあげてしま った。 凛とした空気が伝わるでしょうか。 草津白根火山の火口湖 志賀高原の一角。白根火口はドライブウエーの駐車場から、ほんの数分の登りで真っ白に輝く火口跡の水面に接することができる。 硫黄が溶け込んでいるためか、透明感のない、濃い絵の具をたっぷり塗りたくったような、特異な表情が印象的だ。それでいて、すぐ脇 にある小さな水面は普通の水の色をしている。地下の構造はどうなっているのだろう。 志賀高原はドライブウエーが完備しているが、高原の常でこの絵のような快晴には旅人はなかなか恵まれないという。 この日は一週間にわたる東北地方を旅して車で帰る最終泊。抜けるような紺碧の空に旅の仕合わせを実感していた。
終わりよければすべてよし。こと、旅に関するかぎりそんな結論が引き出せるとおもっている。 実は、このときの旅は数年前のことになるが、こうしてパソコンに収められた写真をひもときながら、時おり、絵にすることで旅の記憶 をたどりながら二度目の楽しさに浸っている。 (旅のエッセイ10の巻頭画像と重複します) 原爆ドーム
廣島観光ガイドブックの巻頭を飾る写真を題材にしています。といっても、写真を表示してそれを頼りにトレースとか写真の上を鉛筆
の線で下書きして形を決めるやり方はしていません。キーボードと24インチディスプレイの間、或いは左側に写真を置いて目視で描くの で印象の違ったものになることもあります。 この原爆ドームも実際よりスリムになってしまったようだけれど、お許しいただきましょう。使用ソフト「エイリアススケッチブック・プロ2. 0」で描く画風はわたしにはぴったりだ。意識の上では、イメージの違った作品にしようと心がけても、結果はいつも同じになる。それを 「個性」というのかもしれない。 朽ち果てようとする戦争遺跡を維持保存するのも大変な事だろうとおもう。 平和への願いも空しく、戦後半世紀あまりを経て核爆弾は地球の環境を何回殺してもなお余りあるほどに拡大し拡散している。 運河の映える街小樽
雄大な北海道の自然の風景とはうらはらに、運河に沿って建ち並ぶレンガを積み重ねたレトロな倉庫群の雰囲気がたのしい、小じん
まりとした異質な街だ。 運河通りから一筋入ると個性的な商店や小さな私設の博物館などが街の景観を演出している。どこか、女性の観光客にもてはやされ ている感じがして、それはそれでいいのだが、北海道らしくないような感じもする・・・とおもう。 やっぱり、北海道は雄大な大陸的大自然が魅力ではある。ただ、自然をテーマにした数日に及ぶゆったりした旅の行程にはこんな風 景に佇んでみるのは一服の清涼剤なのかもしれない。 A3二枚分のサイズでプリントすることを前提にした大型作品です。 徳之島。東シナ海の荒波。
奄美群島のひとつ、徳之島を旅した際に訪れた同島は南の島とはいえ、冬型の気圧配置の真っ只中にあって、岸壁に叩きつける波
浪は暗く雲行きのあわただしい上空の風情と相まって冷たくさみしい、しかし、大景観を展開していた。 太平洋側の珊瑚礁とエメラルドに輝く亜熱帯の海とは対照的に厳しさばかりが心に訴えてきたのは、この海があの、不幸な時代に生ま れてしまった3800人に及ぶ若き命とともに戦艦大和が沈む鎮魂の海であることによると思った。 写真に撮ってきた暗い水平線を凝視しながら描いていると、いやが上にも実際より暗く描きたくなる心理状態になるものなのです。 戦後半世紀あまり、平和ぼけの現在だが、世界に例のないといわれる平和憲法の見直しなど多くの政治家たちによる不吉な足音が 次第に高まってきているような気がする。 A1サイズ(A3二枚分の大きさ)にプリントしたパソコン絵画としては大型の作品です。 ドイツ、ロマンチック街道・ノイシュバン・シュタイン城
ドイツロマンチック街道の一角「ノイシュバン、シュタイン城」
かみさんがドイツを旅行したときに持ち帰ったパンフレットの写真をお手本にしています。 この絵のコーナーを観ていただたている皆さんに度々言い訳をするけれど、パソコン絵画ならではの写真の上でトレースして鉛筆で下 書きという手法を使わず、目視で描くので構図の印象が違ったものになるきらいはついて回る。 まあ、それを個性とご都合主義的に解釈して自己満足していてもたぶん他人に迷惑はかかっていないでしょう。
わたし自身が実際に観てきた風景ではないので、描いていてもどこか空虚な想いがしている。やっぱり、自分の眼で確かめた風景は パソコンの前で写真を頼りに描きつつも、実風景を思い出しつつ描くので、思い入れが違うというのか、描き甲斐があるものなのです。 それにしても、ヨーロッパの数ある古城や、あの石積みの巨大な建造物の凄さには驚かされる。 地震の心配がない国や地域はほんとうにしあわせだ。文化財が朽ち果てもせず、石積みだから燃えることもなく、崩壊もなく今日に歴 史を伝えている。
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