寝具をセットして、さ、寝よう。 「おやすみ放送」があり、照明が減光される。 

 なにせ、B寝台コンパートの料金のまま個室になっちゃった! 着がえも気がねなし! 車掌も巡回に来て「洞爺で降りられたので、どうぞ2人とも下段をお使いください」 

 2段寝台で初めて下段で寝るよ!! いつも小生は上段ばかりだったのだ。  上段は上段でいいんだけどね。ハシゴで上がり、潜りこむような動きがわくわくする。ただ、夜間はあまり関係ないが、窓がないのが難点。
 

ガラス戸を閉めて…

カーテンも閉じる! 個室!

 そうだ。朝食は6時から。朝食は前日に車内で時間割がなされる(スタッフが希望時間を順に聞きに来る)が、9号車という場所がら最後のほうになってしまうため、早い時間か遅い時間かしか空いておらず、6時からを選択。6時では車内放送ができない(いわゆる「おはよう放送」よりも早い深夜帯に当たる時間のためだと思われる)ので、寝過ごして遅れないようにと言われたのを思い出した。目覚ましを大音量にならない程度にセットして眠る。

 zzzzzzzzz…

 そして翌朝、5時45分に起床! 着替えて3号車「ダイナープレヤデス」へ。6時には少し早いので4号車サロンカーに腰かけると、隣にいた人が話しかけてきた。

 「さっき長岡から乗ったんですよ」
 「!!!!!!!!!」

 
 今から朝食。あとでゆっくり話を聞こうじゃないか!
 

 前回乗った時は、和朝食と洋朝食の選択制になっていたが、今は「Diner Pleiades Breakfast」と題した洋食のコース風1本になっている。トワイライトエクスプレスらしいスタイルになったと言えるのかもしれない。

 朝食を食べていると「おはよう放送」が入った。定刻運行とのこと。車窓も明るくなってきた。

 朝食を終えて、隣のサロンカーへ。さっきの「長岡乗車」の人に話を聞く。彼によれば関東在住。鉄道ファンとかいうわけではないが、運転終了の報道に触発されて乗りたくなってしまったらしい。そこで昨日、駅で空席照会したところ、B寝台コンパートの空きがあり寝台券を購入。ちょうど仕事も休み。しかし、北海道まで行くにはもう間に合わない。それならばと、夜行高速バスで長岡まで来て、それで今ここにいる……と。
 

夜明けのサロンカー

冬の日本海が見えてきた。

 昨日の「洞爺で降りる」に引き続き、寝台設備を使わない寝台列車乗車の人。大阪、名古屋に立ち寄って帰るという。

 昨日も思った。人生いろいろって。今日は今日で、また不思議な乗車をする人に出会ってしまった。しばし語らう。ホント、いろんな旅がある、乗り合わせている、そう思った。ツアーで乗っている人もいた。家族で乗ってる人も1人で乗ってる人もいた。寝台券の入手だって、ツアー、10時打ち、キャンセル待ち、オークション…。若い女の子だったが、「関東から青森まで夜行高速バス、青森から札幌まで急行はまなす号、そして札幌からトワイライトエクスプレスに乗ってます」って人まで。3夜連続夜行!! これにはただただ驚かされた。

 列車は富山、金沢、福井と停車して南下を始めた。 
 

北陸新幹線の高架(富山)

福井を過ぎると再び雪深くなってきた。

 福井を過ぎて山間に入ると雪が深くなってきた。基本的に曇りが続くが、トンネルを抜けると雪が降っていたりまた止んだりとめまぐるしい。
 やがて北陸トンネルを抜けて敦賀に到着。機関車交換のため16分停車する。撮影タイム! 車内放送でも散歩や写真撮影をどうぞと案内がある。勝手が分からなさそうにしてた「長岡から乗車」の人に、何がどうなるか説明してあげた。
 

機関車が切り離されて展望スイートの窓を清掃中

後任の機関車がきた。この日は44号機から103号機へバトンタッチだ。

 この場面は前回の乗車で撮影やら見学やらしてるので、小生は後ろのほうから適当に眺めるつもりだったが、いざ現場に来るとあかんね〜。血が騒ぐってヤツ。なんとかいい写真を1枚、もう1枚とついつい。
 さっきの「長岡から」の人もいる。良いカットが撮れたようだ。「ありがとうございまっす!」よほど嬉しかったのか握手までされてしまった。
 
 敦賀駅を発車。次の名所は鳩原のループ線だ。案内放送もちゃんとある。「右手に見える敦賀の街なみが、トンネルを抜けると左手に見えます。トンネルは右へ右へとカーブしており、ぐるっと1周して山を越えます」

 そして琵琶湖。だんだんなじみの場所になってきた。
 

琵琶湖が見えてきた。奥で光っている部分が湖面。

琵琶湖南部は晴れ。晴れているといいね!

 サロンカーにいると、車掌がやってきて帽子を脱ぎ、お客さんにかぶせた。
 「記念撮影しませんか?」
 楽しいひと時がまた1つ増えた。

 そうこうしていると、山科トンネル・東山トンネルと抜けて京都に到着。
 

トワイライトエクスプレスからだと見慣れた京都も違って見える。

京都を出てすぐ札幌行とすれ違い。一瞬の出来事だ。

 いよいよ終点の大阪が迫ってきた。22時間48分の乗車が終わりを迎えようとしていた。距離にして約1,500km。これぞ日本の鉄道という定時運転であった。
 
 新大阪を出ると、終点を告げる車掌の放送が流れた。続いて「いい日旅立ち」のメロディとそれに合わせて「トワイライトエクスプレスの旅をご満喫していただけましたでしょうか」の声。


     


 あかんわ、目頭が…  

 良い思い出をありがとう、 トワイライトエクスプレス。

 運転終了になってしまうのがホント残念。
 
 大阪駅に到着。しかたなく下車。終わってしまった。列車をバックに記念写真を撮ってもらい、車庫へ回送されていくトワイライトエクスプレスを見送って大阪駅を後にした。
 「長岡から乗車」の人には大感謝され、再び握手。相当楽しかったようだ。こちらも楽しかった。感謝感謝である。
 
 せっかく大阪にいるのと、まだ昼ということであべのハルカスに行ってみることにした。

 通常、高層ビルやタワーの展望台って屋内だけど、屋上のヘリポートに行けるんだって!
 
 屋上からの眺めは大迫力!!!
 

 あべのハルカスの観光だけに留めて帰路につく。明日は普通に仕事。金曜日1日だけで済むのが救い。これだけ楽しんで、何事もないわけがなく、

 重度の廃人状態

 どうやら気持ちだけ、京都を過ぎてすれ違った札幌行トワイライトエクスプレスに乗って行っちゃったみたいでね……。日曜日に帰ってきたみたい。金土日の旅行じゃなくてよかったかも。旅行明け月曜日からまる1週間仕事だったらと思うと・・・ガクガクブルブル。
 

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