トワイライトエクスプレス

  平成26年5月28日。ついにその報道は流れた。

 来春トワイライトエクスプレス引退

 ついにか…。2年後とも言われていたが、思っていたよりも早い引退発表。車両の老朽化というが、これだけ好評な列車であれば後継車両の新造をすれば 良いのにと思えてしまう。しかし、JR3社にまたがる運行、青函トンネルの開通、北陸新幹線の開通に伴う北陸本線の3セク移管。簡単にはいかない問題が あることも確かだ。夜行列車ということで、乗務員や駅員などの深夜勤務の問題もあると聞く。

 トワイライトエクスプレス。これは小生にとって思い出多き列車である。語れば長くなるので、長々と書いてみることにしたのがこの記事だ。実際ホント、 いろいろあった。涙なしでは語れない…かどうかは分からないが、時間が許せば読んでみてください。
 
  最初にこの列車を意識し始めたのは、妻との結婚前であった平成18年だ。2人で敦賀市あたりをドライブしていて、北陸本線を走るトワイライトエクス プレスを見かけたことに始まる。

  「あ、トワイライトエクスプレスだ。知ってる?」
 「知ってる。あれがそうなんだ」
 「なかなか寝台券が取れないんだ」
 「そうらしいね」

 その時はそんな会話程度だったのだが、後日になって「トワイライトエクスプレスに乗ろう」というハナシに発展したのだった。
 まずは小生が鉄道知識で寝台券の確保方法をレクチャー。
 「とにかく1ヶ月前の10時ピッタリにマルス(指定券発券端末)を操作してもらうことが必要だ」
 一方、妻は旅行代理店へ行ってみることを提案してきた。JR券だけで旅行代理店なんて…と思いながらも当時の勤務先のあったT市の旅行代理店へ 行ってみた。
 
 「トワイライトエクスプレスを利用する旅行商品もありますよ。日本旅行さんが強いですねぇ。しかも、関西発の列車だから、関西ですね。あー、うちは パンフがちょうど切れてて…」
 ま、今日はこれぐらいだ。乗るのは夏で今はまだ4月。
 
 後日、空き具合だけでも聞こうと、なぜか高遠の桜を見に行く途中なのに、日本旅行に電話をしてみようということになった。電話番号が分からない。 カーナビで目的地検索すると電話番号が出ることを思い出して、「にほんりょこう」と打つと、出てきたのは大阪予約センター。聞くだけだからどこでも いいや。先日の代理店も「関西が強い」と言ってたし。

 小生はハンドルを握っていたので助手席の妻が電話。
 「トワイライトを利用できる北海道のフリープランがあると聞いてますが、空き具合はどんな感じでしょうか?」
 少し待たされ・・・

 空きがある 

 往路はすべての日で満席だが、復路には数日だが空きがあるとの答えだった。できれば往路に乗りたかったが、この際やむをえまい。

 即 予 約   あっさり予約完了!

 乗車日は平成18年7月16日。区間は札幌から大阪。まだ4月なのに夏休みの予定が決まった!
 

 しかし、やはり往路に…との思いが頭をもたげてきてしまった。

 ならば10時打ちだ! 

 10時打ちとは、指定券類の発売開始時刻(1ヶ月前の午前10時)ピッタリに端末(マルス)を操作してもらうことをいう。要するに発売開始と同時に 発券作業をしてもらうのだ。

  乗車希望は7月6日。区間は大阪から札幌。1ヶ月前の6月6日に2人で手分けして別々の駅へ向かった。小生はT駅、妻はO駅。事前調査の末、 選んだ2駅だ。それぞれの実家に近いからだけではない。あちこちの駅で「現地調査」を実施し、「トワイライトの空席照会がスムースにできるか (知識・技術)」「10時打ちに対し係員の理解があるか(やる気)」「マルスが複数あり、10時打ちを実施してもらいやすいか(設備)」などの 評価をして、選抜した駅なのだ。

 やがて10時が近づいた。

 T駅のみどりの窓口に響く時報。1分前から構えに入る係員氏。見守る小生。もう1つの端末では通常の発券作業が続けられている。
 「ただ今から、10時ちょうどをお知らせします。プッ、プッ、プッ、ポー…」

 カシャーン! 発信キーが押された。画面を注視する駅係員と小生。

 数秒後、画面には「NO」「残0」の表示が…。  「申し訳ありません。お取りできませんでした」 
 カウンター奥に掲示されていた北海道観光キャンペーンのポスターが霞んで見えた。ほどなく携帯電話が鳴り、O駅の妻も玉砕したとの知らせが入った。

 往路乗車はかなわなかったが、トワイライトエクスプレス自体には乗れる! すべては尽くした。よくやったよ。すげー熱意だ。仕事では(ry

                                  その2へ続く