トワイライトエクスプレス

  予約はすれど、ちっとも乗れないトワイライトエクスプレス。ある日、ネットを見ているとこんな記述を見つけた。

 災害等で長期運休後は、1ヶ月近い期間の寝台券を一斉に売ることになり、競争が分散されて取りやすくなる。

 例をあげると、今日が5月20日としよう。「6月1日から運転します。寝台券は5月27日から発売します」って発表がなされたとする。寝台券は 1ヶ月前から発売なので、5月27日に発売されるのは、6月1日〜6月27日分となり、競争としては分散されることになるのだ。

 10時打ちでトワイライトエクスプレスの寝台券をとるなら・・・・・運休明けの「いまでしょ!!!」(当時、そんな言葉はまだ広まってなかったが)

 その発表は突然なされた。8月31日のことだった。
 「トワイライトエクスプレスは9月14日から運転を再開します。明日9月1日から寝台券を発売します」

 明日!!!

 明日9月1日には 諏訪湖の新作花火大会を観に行く予定にしていた。花火は夜だが、朝から場所取りがしたい。しかし、10時打ちもしたい。二兎あらば二兎とも得るべしが 小生らの信条。花火の場所取り後、諏訪湖に割と近いS駅での10時打ちが適当との判断になった。乗車日は9月14日。運転開始初日だ。 しかも、狙うはA寝台ロイヤル!  これまでの2回はB寝台ツインを選んできたが、ここまでポシャられ続けたらもう我慢できねぇ。より豪華なA寝台だ!となったわけ。
 
 
 9月1日、S駅に到着。マルス端末は2台あるが、通常の出札窓口も兼ねている。満点の環境ではないが、なんとかなるだろうと選んだ駅だ。さっそく 係員にトワイライトエクスプレスの発券作業を10時ぴったりに行ってほしい旨を伝えた。しかし、

 「取れませんよ」
 「そんなことしてもねぇ。取れないですよ」
 「どうしてもというならやるにはやりますが・・・・いやぁ・・・取れないですよ」

 否定的な発言ばかり。とりあえずやってくれることになったが、やる気なさすぎ。困った。急きょ小生がM駅へ列車で向かうことにした。 2ヶ所でやるためだ。
 妻がこのS駅に残ったが、その後なぜか係員の態度が変わったらしい。

 「時報を流しながら2台の端末でやります」
 「1分前になったら窓口の前に立っていてください。他のお客さんがきたらできなくなるので」

 9:59 幸い他の客は来ない。駅事務室には時報が流され、2人の係員がそれぞれスタンバイ。

 「ただ今から、10時ちょうどをお知らせします。プッ、プッ、プッ、ポー…」

 カシャン!と「発信」キーが押され、数秒の沈黙ののち、コトンとプリンターから寝台券が出てきた。取れたのだ! 係員も信じられんという表情で 寝台券の内容を確認している。

 係員「は、初めてとれました!」

 係員が興奮している。金額を告げることも忘れてたそうだ。
 いっぽう、M駅へ向かった小生といえば、なんとかみどりの窓口に10時前にたどり着いたものの、不慣れな係員のようでまごついているうちに 10時になってしまった。まごついている係員の様子をイライラして見ていると携帯電話が鳴った。

 「取れたよ!!!!!!!!!」

 まごついている係員に発券操作はもう必要ない旨を告げて、M駅を後にした。
 
 妻は引き続きS駅でディナー券の発券依頼。係員は「ほう、そんなものが」という感じではあったが、わりとすんなり発券してくれたらしい。しかし、 その金額に
 「高いなぁ! ワインでもつくのか、これ」
 販売側が「高いなぁ!」と驚きながら販売するのは初めての経験。楽しい係員だったらしい。

 これで諏訪湖の新作花火大会へ安心して、すっきりした気持ちで行ける。実際、花火が一段ときれいに見えた。新潟県中越沖地震で止まった乗車 までのカウントダウンは15日だったが、奇しくも乗車までのカウントダウンは15日から再びカウントを始めることになった。
 

                                  その5へ続く