愛知県春日井二子町の白山神社古墳の発掘調査で、前方後円墳としては同市初の埴輪列が
見つかり、同市教委は2007年7月7日、現地説明会を開いた。埴輪列の検出は市内で3例目という。説明
会は、午前と午後の二回にわたって行われ、午後の部には約50人が参加した。
白山神社古墳は、味美古墳群の一つで、二子山公園の一角にある。全長84メートルの前方後円墳で、公園内
には、ほかに前方後円墳の味美二子山古墳、円墳の御旅所古墳がある。また、県道名古屋・犬山線を挟んだ近くに
前方後円墳の春日山古墳がある。今回のは学術調査で、4個所にトレンチを入れ、発掘を行った。
埴輪列が見つかったのは、北側方形部の中段テラスで、5メートルの区間で12個を発掘した。10数センチの
深さに溝を掘った後に、基底部を埋め戻して固定してあった。上部は壊れ、破片が内部に落ちている。円筒埴輪は、
底径25センチ前後、高さ40センチ前後の2突帯3段型と考えられる。5本程度の間隔で朝顔形埴輪を配置している。
市教委では、円筒埴輪は、方形部から前方部にかけて、中段テラスを取り巻くように配置されていた、と
見ている。また、上段斜面、周溝内から埴輪片が散在的に出土していることから、墳頂部や周堤上にも埴輪
列が存在した可能性がある、という。
埴輪列が見つかった上部の斜面で、まばらに敷き詰められている状態の葺石が見つかった。崩落土中に転石が
ほとんどないことから、上部斜面にだけ葺き石があったと推定されるという。このほか造り出しは確認できなか
ったが、形象埴輪の破片が見つかり、祭祀的な行為の存在をうかがわせるという。
埴輪の形状から味美二子山古墳より一段古い形式で、市教委では、白山神社古墳が一番古く、ついで御旅所古墳
、二子山古墳、春日山古墳の順に造られた、と見ている。
【写真は、北側方形部の中段テラスで見つかった埴輪列=白山神社古墳で】