2003年8月18日、愛知県稲武町城ヶ山のオオキツネノカミソリ自生地を訪れた。この日は水曜日で、
台風接近下の晴れ間をついて出掛けた。12時10分ほど前、登り口に到着。山の斜面を登るが、
前日の雨で濡れている。途中、下りてくる夫婦連れに会う。20分ほど上ると、現地に着いた。
休憩小屋があって、男二人連れの先客がいて、弁当をつかっている。オオキツネノカミソリが視界に入らないので、
尋ねると、斜面を指して教えてくれた。早速見に行く。「気をつけないと、滑るよ」の声を背に受けて
進んだが、すぐ滑った。手を付いただけで、転ばなかったのが、せめてもの救い。
慎重に斜面を進む。鉄刺線が張り巡らされているので、衣類を引っ掛けないように写真を写す。盛りを過ぎて
いたため、なかなかしゃきっとした個体が近くにない。20分ぐらいかけて写す。小屋に戻り、先客が去った後、
昼食を食べていると、また一組の男連れが来た。
昼食後、保存会が立てた掲示板を見る。それによると、周辺一帯に住み着いていた木地師が、オオキツネノ
カミソリを薬草として栽培。すりつぶした球根を痛み止めの塗り薬に使っていた。用材の減少で木地師が去り、
オオキツネノカミソリが残った、という。
帰り際、偶然、保護地域内に入り込み、オオキツネノカミソリを写している男を発見。近くで写そうという
いう気持ちは分からぬでもないが、困ったものである。こういう自分勝手なマニアは、どこにでもいる。苦々し
く思いながら現地を後にした。
(2004年9月4日作成)