全曲版は、フィリップ・ヘルベッへ指揮盤と、鈴木雅明指揮盤がある。ほかにカール・
リヒター指揮盤の抜粋版がある。カール・リヒター指揮盤が著名だが、それぞれに良さがある。
この曲の白眉はバイオリンソロに乗って、アルトが歌う39番アリアである。最初にマタイ受難曲を聞いた
のは生演奏である。10年ほど前、某テレビ局の広報マンに「いい曲ですよ」と薦められたたからである。
最初、やや退屈したが、39番アリアで目が覚めた。腰をくねらせてバイオリンを弾く奏者。なんとも
エロティックであった。ドイツのどこの楽団だったか忘れたが、この演奏が強く印象に残っている。
39番アリアの時間は、リヒター盤が7分45秒と最も長く、ついで、ヘルベッへ盤の7分9秒、
鈴木盤が6分8秒と最も短い。しかし、なぜかヘルベッへ盤が、最もゆったりした感じがする。