暖地に生える常緑小高木。ヤブツバキは学名がカメリア・ジャポニカで、日本原産。万葉時代から歌に詠まれ、
園芸化も古くから行われ、日本を代表する花木の一つ。海岸地帯に多く自生し、北限は青森県といわれる。
ヤブツバキの花は、一重で深紅色だが、天武13(685)年、吉野の住人、宇閉真弓が“白ツバキ”を
献上した記録が日本書紀に出ている。これが、わが国のツバキの白花の
初の記録とされる。
日本海側の積雪地帯に咲くのが、戦後発見された変種のユキツバキ。ユキツバキも花の色は赤だが、
水平に開く。枝や幹はまっすぐ立たないで、傾き這う。地表に接した枝は根を出す。
ヤブツバキとユキツバキの分布が交差する地域で、自然交配した中間種をユキバタツバキという。
語源について、貝原益軒は椿の葉が厚いので「厚葉木」の「あ」が略されてツバキになったとし、新井白石は
椿の葉に光沢があるので、「艶葉木」が転じてツバキになったと説明している。ほかに、朝鮮語のトンバイク
(冬柏)の転訛との説がある。
写真は2003年2月26日、名古屋市守山区の東谷山フルーツパークで写す。ヤブツバキは春の花に
入っているが、早いのは2月に咲き始める。
(2003年2月26日作成)■犬山・笑面寺の八重ツバキ