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Artist

CANDIDO Y LAS SUPER ESTRELLAS

Title

CANDIDO Y LAS SUPER ESTRELLAS


candido cacd
Japanese Title 国内未発売
Date ?
Label CACD-1900 (US?)
CD Release ?
Rating ★★★★
Availability ◆◆


Review

 渡米後のアルセニオのコンフントでシブーイバリトンを聴かせてくれていたカンディード・アントマッテイのリーダー・アルバム。音の感じからすると70年代の録音だろうか。全8曲中、自作の3曲を除くとアルセニオ関連の楽曲がしめる。カンディードはリードではなくセカンド・ヴォーカルのスペシャリストだったから、ソロよりもコーラスを好んだアルセニオの楽曲がよく似合う。
 
 'LA VIDA ES UN SUENO''LA YUCA DE CATALINA' の2曲はアルセニオの作品。'LA VIDA ES UN SUENO'「人生は夢」は、いわずと知れたキューバ音楽史に残るボレーロの大名曲(TUMBAO TCD-031ほか収録)。'LA YUCA DE CATALINA' は53年録音のアルセニオ・メドレー(TUMBAO TCD-017収録)のなかで演奏されていたソン・モントゥーノでアルセニオの出世作といわれる曲。
 また、ソン・モントゥーノ'MULENCE' の作者はイグナシオ・トラヴィエソとあり、じつはこれ、アルセニオの本名。なんでこの曲にかぎり本名なのかよくわからない。ちなみにオリジナルを収録した"COMO SE GOZA EN EL BARRIO"(TUMBAO TCD-022)ではちゃんとアルセニオ作とクレジットされている。
 さらに、アルセニオの甥っ子でヴォーカルのレネ・スクール作とあるソン'RINCON CALIENTE' も、オリジナル収録のトゥンバオ盤(TCD-031 収録)ではアルセニオ作とある。ということは、本盤にはアルセニオの作品が半分の4曲も収録されていることになる。
 その上、グァグァンコー'ME DIJO QUE SI' はアルセニオの弟でコンガ奏者のキケことイスラエル・トラヴィエソの作品だし(スタンダード'LINDA CUBANA' の一節がはいっているせいか、聴いたことがあるような気がするのだが思い出せない)、アントマッテイ自身がアルセニオ・ファミリーの一員だったことを考えると、本盤は全身アルセニオ・トリビュート・アルバムといっていいだろう。
 
 さて、肝心の中味のほうだが、トレスやトランペット4管を加えたアルセニオ直系のコンフント編成で、オーセンティックなソン・モントゥーノ、グァグァンコー、ボレーロをたっぷりと聴かせてくれる。といっても、アントマッテイ作のグァラーチャ・メレンゲ'POR DELANTE NO' やグァグァンコー・ソン'ACUERDATE DE MI' のように、アルセニオというよりサルサっぽいチャポティーン・コンフントという感じの陽気な演奏もある。
 
 全体に男っぽくてかっこいいんだけど、アルセニオのオリジナル演奏とくらべると、やはりトレスが弱い。というより、アルセニオが弾くトレスがあまりに力強く重厚でありすぎた。まともなのは本盤のティト・ガルシアのほうであって、アルセニオのははっきりいってトレスの音ではない。「アルセニオの前にアルセニオなし。アルセニオのあとにアルセニオなし」を実感してしまった。「恐怖新聞」のような表紙がすこし気にはなるものの、アルセニオ・トリビュート・アルバムとしては屈指の好盤であることはまちがいない。


(1.10.04)



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by Tatsushi Tsukahara