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Artist

WILFRIDO VARGAS

Title

EL FUNCIONARIO


funcionario
Japanese Title 国内未発売
Date 1983
Label KAREN CDK-75(US)
CD Release 1994
Rating ★★★★★
Availability ◆◆


Review

 踊る陽気なハゲ、ルビー・ペレスがデビューを飾ったウィルフリード黄金期を代表する傑作。ここにペレス、マルコス・カミネーロ、フニオル・カスティージョ、フリオ・セサル・マテオ、ラファエリート・カミーロ、それにウィルフリードの6名からなるメレンゲ史上最強のヴォーカル・ラインが誕生し、極上のハーモニーを聞かせてくれる。
 
 トランペット、トロンボーン、サックスにピアノ、ベース、タンボーラ、コンガ、グィラ(金属性のグィロ)からなるメレンゲの基本型に沿ったシンプルな編成だが、サウンドにじゅうぶんな厚みがあって、シンセやエレキ・ギターが入っていないぶん、かえってキレがよくタイトな印象を与える。
 
 ちなみにピアノはウィルフリードのアルバムで数多くの作・編曲を手がけるソニー・オバージェ。サルサ特有のリズム・パターンに汚染されることなく終始、堅実なプレイに徹する。パーカッションはハギレのよいビートを繰り出し、ホーン・セクションはスリル満点のアンサンブルを聞かせる。 もちろん、ペレスを中心とするヴォーカルとコーラスはコンビネーション抜群。なんといえばいいのだろう。トタン屋根の上に激しく降り注ぐ通り雨のように息つく間もなく全10曲を一気に走り抜けていく印象だ。
 
 1曲目の'EL AFRICANO'は、コロンビアのカリスト・オチョーアの作品でウィルフリードの代表曲のひとつ。ほかにも'EL FUNCIONARIO''AMOR BRUTAL''EL LAMENTO''EL HOMBRE DIVERTIDO'など、ベスト・アルバムでおなじみの名曲の数々を惜しみなく収録。どの曲をとっても思わずウーンと唸らせるようなイキな仕掛けが施されてあって「メレンゲはみんな同じようだ」と思っているひとにはぜひ一聴がおすすめしたい。
 
 ちなみに、3曲目の'TE NECESITO'は、コロンビアのバジェナート最高のヴォーカリストといわれるディオメデス・ディアスの作品。そして、7曲目の'VEVE LEJOS(AMELIA)'は、なんとマルティニークのマラヴォワのレパートリー。この曲だけちょっとムードがちがって、なるほどマラヴォワっぽい甘く優雅な響きを持つ。


(10.21.02)



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by Tatsushi Tsukahara