World > Latin America > Caribe > Mambo/Salsa | ||||||||||||||||
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Artist | ||||||||||||||||
FANIA ALL STARS |
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Title | ||||||||||||||||
RECORDED LIVE AT CHEETAH |
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Review |
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むかし、佐分利信という役者がいた。陰えいのあるシブい演技で小津映画などでも独特の存在感を放っていた。その息子が関口宏である。インテリを気取りながら庶民の側に立ったような正義感をふりかざす偽善的態度が不快なことこの上ない。しかも箸の持ち方さえ知らない。親父は大好きだが、息子は大嫌いだ。キューバのソンとサルサの関係も、わたしのなかでは佐分利信と関口宏の親子とよく似ている。 コマーシャリズムに堕してからのサルサならそうかもしれないが、70年代のサルサ黄金時代の到来を告げたこの金字塔的なアルバムなら、阪妻における田村高廣・正和・亮ぐらいにはなるかもしれないと思って、2001年に2枚組のリマスター盤として再発された(限定盤とあります)のを機に、約10年ぶりに聴きかえしてみた。 いまさら説明するまでもないが、本盤は、ジョニー・パチェーコ、レイ・バレート、ウィリー・コローン、ラリー・ハーロウ、エクトール・ラボー、イスマエール・ミランダら、ファニア・レーベルに所属する文字どおりオール・スター・メンバーが、1971年8月26日、ニューヨークのクラブ“チータ”でおこなった伝説的なライヴ音源である。 60年代半ば、ニューヨークで、ラテン系のミュージシャンたちが、アフター・アワーズにクラブに集い、デスカルガ(ジャム・セッション)を繰り返していくうちに、かたちづくられた音楽がサルサであり、その源流をたどれば、キューバ生まれのソンに行きつくというわけで、いわばソンとサルサは親子関係にあるといえる(すこし安直すぎるが‥‥)。 サルサとは、ソンとかプレーナのように特定のリズムやスタイルをさすのではなく、黒人音楽でいう“ソウル”に近いものだそうだ。また、サルサ・ソースのことばのとおり、ピリッと刺激的なエネルギッシュでエキサイティングな感覚をさすラティーノ的な表現だとも。ところが、わたしの舌にはちっともピリッとこない。なんともマイルドで中途半端な味わいである。 全体に音が軽すぎやしないか。踏んばりが足りないため、ノリが前のめり気味なのも気になる。プレイヤーたちはジャズからよくない影響を受けている。とくにピアノとホーン・セクションは出しゃばりすぎ。パーカッションもせわしないだけで、もっとデーンと身構えなきゃ。それから、この哀愁もなければ、かといってユーモアのカケラもないヴォーカルをどうにかしてくれ。 唯一、楽しめたのが、ミュージシャンの一挙手一投足に過剰なまでに反応するラティーノたちの熱狂ぶりである。ウッドストックに似て、演奏内容自体よりもサルサがもっとも熱かった時代を記録した貴重なドキュメントと思えば、持っていても損はないアルバムだろう。 まっ、関口宏にたとえるのは酷な気がしてきたので、藤純子と寺島しのぶぐらいにとどめておこう。 |
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(12.14.01) |
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