Sound Tracks > Spaghetti Western | ||||||||||||||||
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Artist | ||||||||||||||||
BRUNO NICOLAI |
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Title | ||||||||||||||||
INDIO BLACK |
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Review |
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モリコーネの名パートナーだったブルーノ・ニコライは26年ローマ生まれ。モリコーネより2歳年長である。ふたりは聖チェチリア音楽院でゴーフレット・ペトラッシに師事し作曲を学んだ。 ニコライが最初に映画音楽の作曲を手がけたのはモリコーネより6年遅く65年の『荒野の10万ドル』だった。同年、モリコーネより『夕陽のガンマン』の指揮を依頼されたのが縁で、以後、74年まで数々のモリコーネ作品の指揮をおこなった。 このように、モリコーネ、ルスティケリなど、他の作曲家作品の指揮者として知られるようになったことから、作曲家としてニコライが評価されるようになったのは、せいぜい91年にかれが死去してからではなかったか。 ニコライがみずからマカロニのスコアを数多く手がけるようになったのはマカロニ・ブームが過ぎた70年から73年ぐらいまで。盟友モリコーネがマカロニから徐々に手を引くようになったのとちょうど入れ替わったかたちだ。 本作「大西部無頼列伝」(71年)は、ハリウッドから大スター、ユル・ブリンナーを招いて、「荒野の七人」(60年)でおなじみの黒ずくめのいでたちが話題になった作品。おなじ年、ニコライは他に4本ものマカロニ作品の音楽を担当していて、どの作品もそれなりに完成度は高いが、なかでも、本作はニコライのマカロニ・スコアの代表作である。 モリコーネは、68年の「ウェスタン」を機に、ニヒルでストイックなヒーロー像を音に表現することよりも、母のようにやさしく包容力にあふれた大西部のロマンティシズムを描くことに力点を置くようになった。ニコライは、モリコーネが創造し60年代に置いていったあのマカロニ的サウンドの断片を丹念に拾い上げ再構築した。その最大の成果が本作である。2001年に限定盤として全24曲構成で初復刻されマニアを喜ばせた。 “さすらいの口笛”、イ・カントーリ・モデルニによる“よいとまけ”系コーラス、エレキ・ギター、ハイトーンのトランペット、パーカッシブなピアノ、軍楽的なパーカッション、祝祭的なフィドル、流麗なストリングス、フルート、オーボエ、リコーダー、ホルンなどのアンサンブルといい、印象的なメロディ・ラインといい、「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」でモリコーネが確立したスタイルを愚直なまでに踏襲している。 しょせんはイミテーションだから、モリコーネほどの格調の高さやひねりは感じられないが、こうまで見事に模倣されるとかえって感心してしまう。オリジナリティの点を差し引けば、それ自体としてはたいへん完成度の高いスコアといえる。 |
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(10.3.05) |
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