6V6GT(T)プッシュプル

1981〜1984


目次

構想 1981〜
回路
製作
完成当時の電気的特性 1984?
バラック実験で得たその他特性 1983頃?
使用感
***


はじめに

S56年(1981)の****様の手紙がございます。技術誌に出した「求む、タムラPC-121」へのご回答と、類似PTを譲っていただいた時のもの。後にMJ誌への寄稿もされる方と知りました。ここから始ります。

製作当時の手書きメモをSCANし掲げておりますが、薄くて読みづらいトコロはご容赦願います。


構想

20160204〜

6GA4sに続く、まだまだヒヨッコ(類語辞典シソーラス:技能や経験に乏しい人のこと:青二才 ・ 未熟者 ・ 若造 ・ 見習い ・ 下手っぴ ・ 下手っぴい ・ 下手くそ ・ 半人前 )の2作目には掲題のタマを早くから決めておりました。

東芝6V6-GT ナニを読んだのか、競合管?の6BQ5に「負けない」点もある・・・てな記述に感化されまして。

これもナニを読んでたのか、Eb≒300VのULppを決めてました。前回がLUXトランスでしたので、次はタムラ、F-4○○とA-3○○に決め、電源トランスは既に製造終了した、旧PC-1○○シリーズが欲しくてあがいていたのでした。

YC-100他1 YC-100他2 **さん自筆の、譲っていただいた2種資料。

YC-100は旧PCシリーズとはケースが異なるが、遜色ない中身。HN-1は後の楽しみ(プリアンプやらに)とっといたが、後年手放す事に。勿体無い事で。

単体写真は撮っておらず、この後の完成写真までお待ちください。

6V6系標準ppに「不適切」な位相反転回路というのは無いでしょう。トランスドライブも含め、古典的云々から、オートバランス、PK分割、カソード結合型全てが選択肢になるのですが、最初期の構想では・・・カソード結合型だったかな?。しかしその数年後には・・・。

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回路

****〜

構想当時、最もモダンと感じた「差動増幅」を採用しました。告白すれば、他の方式を経験・熟知した上で決めたのではありません。

6V6GT(UL)pp初期1 こんなのも考えてましたが、ほとんど武末先生のパクリ+森川忠勇氏風。

描いてみただけで、作ってない机上の妄想です。

6V6GT(UL)pp初期2 まだUL接続で考えていた頃のメモ、起草年月日不明。第3図なら、1〜2も書いたのだろうか、思い出せませぬ。

武末先生の「導き」に従って、AC/DCの平衡調整が分離できる回路に代えました。カソードフォロワ直結は大袈裟かもしれませんが、後日、無駄ではなかったと実感できました。

6V6GT(UL)pp初期3 起草年月日不明。

もしかしたら、完成後の「まとめ」として、経緯も書き残していたのじゃないかと・・・おいおい。

6V6系ppに、6080の電源は大仰と気にしてたのでしょう。最良ではないが「可」レベルのTRが入手できたのですね。

3行空けのために・・・こげなことを

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製作

****〜

バラック実験機を手掛けてから、ここで掲げる本番機を拵えました。以降、多くの作例で踏襲するようになります。で、たま〜にサボって、失敗するヤツも出てきます。それはまたあらためて触れたいと存じます。

と、書きながら、当時の写真はありません。後に撮影した完成品のが2枚だけ。

6V6GT(T)pp01 6V6GT(T)pp02 1990年代に「写ルンです接写」撮影。

カメラ道楽してません。当然撮影技術は素人。今もたいして変わらんけど。

Sunhayato・AT-1Sユニバーサル基板を多用するきっかけとなった作品でもあります。作成10ン年後の写真ですが、こんなに基板の色が濃くなっちゃってて、ど〜なんでしょうねえ。

シャーシーは前作と同じ、LEAD・P-11。70mmの深さのおかげで、2階建て基板が可能です。ただし、もうそんな事やりたくない。ついでに、武末先生風BTSソケット/レセプタクル採用。単なる真似に過ぎず、後悔してます。似合わないことするモンぢゃない。

信号入出力面と、電源入力面は隔離してます。後述する雑音性能に、幾らかは寄与してるかもしれませんが、電源SWが「あの」位置っちゅうのは使いづらい。それでも似たようなことを未だにやってますね。

安定化電源の制御TRが「上面剥き出し」は、いかにも危ないのです。手頃なフタを被せようとは常々思うのですが、まだやってない。早くやれよ〜、もう。

文字入れは、シャチハタ不滅インキ(現:特殊インキ TAT ・・・って、顔文字みたい)と、柄付印(数字・アルファベット)です。確かに消えにくく、タフな印象ですが、あの臭いは・・・カラダに良くない気がします。そんな訳で、コレっきり。なお、タムラF-486には「銘板」が付属してて「貼り付け」るわけですが、これも「印字」に替えました。悪趣味?

以上、反省点だらけの製作内容でした。ただし全体的フォルムは気に入ってます。って、なんだそりゃ。

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完成当時の電気的特性

1984?

測定設備は6GA4s当時のモノに、TRIO(現TEXIO)・FG-270が加わりました。武末先生みたいな1Hzからの測定に憧れていたのですが、指示計器は・・・LMV-181Aでしょうから、確度はソレなりに。いや、それ以前にFG-270の周波数設定は、アナログダイヤルですぜ。LMV-181Aの指針もパタパタママだし。

201805xx記:清書中に思い出したのですが、出力インピーダンス測定の電流注入アンプにONKYO・M-931NU/40 を使っていたのではないか・・・と。↑の測定設備メモに書いて無いので補足を。

CIMG1044.JPG 多くの手書きデータメモと手書きグラフが残っていますが、ロクに整理されてません。

Excel化しました。

6V6GT(T)8405A_1 6V6GT(T)8405A_2 8405AとMODEL名を付けました。1984年5月完成の意。ただし、こんな小恥ずかしい事はコレっきりです。これ以後は、名無し作品。

初期構想のULから3結に変更しました。理由は「低雑音」だから・・・とメモが残されています。初段12AX7の選別も若干しておりますが、入力短絡で0.07mVが得られました。ULでは0.2mVを切れません。実験段階で感じたのは、出力段の利得差に加え、PT→OPTへの磁気的誘導ハムが違うようです。内部抵抗の低い3結では、利得差以上にハムが低下しました。標準多結も試し、その利得差以上にハムが増えます。

6V6GT(T)8405A_3 6V6GT(T)8405A_4 6V6GT(T)8405A_5

6V6GT(T)8405A_6 6V6GT(T)8405A_7 6V6GT(T)8405A_8

その為、電力感度は低く総合利得は18.4dbで、負帰還の余裕はありません。まあ、全てがこんな調子でして、ほぼ「成り行き任せ」の出来ではあります。いや、先ほどの雑音性能と、歪み率だけはいささかこだわってます。回路図に示さなかったのは「手落ち」ですが、10kHzの歪みが100Hz・1kHzほどにならないので、若干「小手先」の手段で押さえ込んでおります。手法は、武末先生が「高性能アンプシリーズ」からのパクリですけど。

今時珍しい「負荷抵抗対出力」と「出力対動作」特性まで調べていました。6V6GT(T)ppですから精々3Wがいいトコでして、実際にもRLpp≒6kΩあたりの2.7Wが「負領域」の上限となりました。これが、カソードフォロワ直結で3倍増します。まあ、当時すでに「カソホロ直結最高」思想に染まっていたのですから、他愛ないモンです。

6V6GT(T)8405B_1 6V6GT(T)8405B_2 もう1個。8405Bです。あ〜小恥ずかしい。

各部電圧の差は、部品の個体差に加え、ACライン100V電圧の違いも孕んでいます。スライダックでADJしてはいますが、そこは所詮素人の仕事。

記録モレ(測定モレ?)もあるし・・あ〜恥ずかしい。

6V6GT(T)8405B_3 6V6GT(T)8405B_4 6V6GT(T)8405B_5

6V6GT(T)8405B_6 6V6GT(T)8405B_7 6V6GT(T)8405B_8

掲げるのを省略しても良さそうな、似た性能は得られました。こちらの利得は17.9866・・・db。無帰還なのでコレくらいの差はあきらめます。

6V6GT(T)8405B_9

高レベルを含むF特。ソフトクリップではあるが、8Wは歪が目視出来る出力だったはず。しかし「危ない」現象の記録・記憶がないので、平気で耐えたのでしょう。

注:前述のように、この当時のACmV測定は全てLEADER・LMV-181Aです。確か仕様・規格では10Hz以上での確度表示だったような記憶。それを無理に2Hzまで「指針の振れ中央」を読んでるンですから、精度は知れたもの。指示誤差の補正・矯正などしてませんから、LMV...自身のレスポンス低下を含んでいます。

3行空けのために・・・こげなことを

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バラック実験で得たその他特性

1983頃?

ULの初期構想から3結に変更した理由は、くどいけど低雑音だから。その按配を探った実験記録も残ってましたので、冗長になるのを承知で掲げます。

本番機で採用する気はさらさらないけど、調べたビーム管接続の実験。利得は27.6dbで、10db未満の負帰還は掛けられそう。残留雑音は0.6mVと案外な数値でしたが、前述のようにPT→OPTへの誘導がケッコウ大きい。

6V6GT(B)実験1 6V6GT(B)実験2 6V6GT(B)実験3

出力インピーダンスの測定に慣れてないのか、測定法2種混合接種↑?。ON-OFF法での中域100Ω超えを「胡散臭い」と考えたのかもしれません。電流注入法での測定電流は0.0125Aですが、測定インピーダンスが高いため。

スクリーングリッドへの入力は2Wを超えます。Ec2≧300Vも過酷でしょうが、RLpp=10kΩも過剰かと(今は)考えます。

6V6GT(B)実験4 6V6GT(B)実験5 バイアスを深くすると歪みが増えるさまを見た実験。

ビーム管ならではの、狭い最適負荷抵抗値範囲を見たかった・・・でも曖昧な負荷特性実験。でも、3結時との違いは明瞭です。

低負荷で17Wほど出たAB2級出力には驚くが、怖かった。

勉強してきたようなデータが得られるか、復習してたンですな。で、そんな感じはするが測定設備・測定スキルの不足も否めないというオチ。

6V6GT(B)実験6 6V6GT(B)実験7 ビーム管接続に、カソードフィードバックを併用した実験。

帰還量は4.4dbほどでしたが、出力インピーダンス低下への貢献度は高く、コレを好まれる方は少なくない模様。

受け売りの一言 : PPでのカソードフィードバックに「疑問」を投げかけた方がいらっしゃいます。故・藤井秀夫氏が、ラ技1993年4月号「ソース接地FET無帰還シングルアンプの設計」の記事中で、要約しますと「PP合成出力が各球個々のカソードに帰還される」と述べられてます、う〜んなるほど。氏が取り上げたい真意は、SEPPのエミッタフォロワ(ソースフォロワ)の方ですが、それと同根の動作だと言うのです。

初期構想のUL接続です。実はコレを先に試しまして、ケッコウな低ひずみが得られ期待も大きかったのです。しかし残留雑音はどうしても0.2mVを割ることが出来ません。なお、スクリーングリッドへの負担は軽く、教科書どおり。出力インピーダンスの低減効果は、カソードフィードバックと同等になりました。

気になる10kHzカーブの乖離↓。2次歪みが残留して、PPの平衡が外れてる様子が伺われます。後に見たビーム管接続では多めの3次歪みに埋没してたかも。

6V6GT(UL)実験1 6V6GT(UL)実験2 6V6GT(UL)実験3

6V6GT(UL)実験4 6V6GT(UL)実験5 6V6GT(UL)実験6

利得は22.7dbでしたので、記録が残っておりませんが、6db内外の負帰還も試しました。ここで「差動1段」?ゆえの不平衡動作(著しく歪む)に遭遇。初段の共通カソード抵抗100kΩに、2SK30Aの定電流回路追加で回避できたのですが、ACバランスのADJ塩梅は偏ります。

今考えると、ADJの偏りは無視して、この方向でまとめるのも選択の一つだったかもしれません。

6V6GT(UL)実験7 なお、UL+カソードフィードバックも試しておりますが、オマケデータです。

6V6GT(UL)実験8 ここまでは、実験で最初に使用したサンプル東芝ペア@の実測特性でした。残りの東芝ペアABでは同じ特性が得られません。ヤケクソでRCA・6V6(メタル管)4本の中から任意の2組も調べまして・・・こりゃダメだ、と頭を抱える。

う〜ん、アマチュアレベルでの追求上限にブチ当たった思いです。タマの個体差と割り切るのも釈然としませんが、個体差なんでしょうね。最初のペア@の低歪みが「マグレ」なのかもしれませんし、ABペアを解いて、あらゆるペア組みを試すべきだったのかもしれませんが、当時ソコまでの記録は残されておりません。

“こんなつもり”ぢゃなかった3結動作です。

6V6GT(T)実験1 6V6GT(T)実験4 左はペア@の3周波数。

ULでアレだけばらついた、5組の歪み率が近似しています。コレも3結を採用した理由の一つです。

6V6GT(T)実験2 6V6GT(T)実験3

利得は18.8db、残留雑音は0.1mV内外にまで低下。10kHzの歪み率は、本番の「手練手管」で押さえ込まれてない“生歪み”を掲げており、UL同様の乖離をしてます。

パワーより“低雑音低歪み”を選びました。低歪みと言っても「最低歪み率」の事でして、無帰還0.01○%台が得られて嬉しい。大出力時はULに及びませんが。

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使用感

****〜

変な言い草ですが、広帯域ではないものの、低雑音低歪み(と、自負してる)に出来上がったからか、無個性な印象です。前作の6GA4sより引き締まった感じもありまして、出力インピーダンスは若干本機の方が高い(だろう)のに、ユルさは希薄。総じて、当時併用の某社プリメインアンプに似た音だったので、作った甲斐が薄い?。

RIMG0022.JPG

前作同様、本機にもVolがありません。後にプリアンプも作るのですが、ハムが多く失敗→放置。CD時代の到来とも重なり、結局は10kΩのVolumeユニットを拵え、組み合わせて使ってました。

教訓、入出力のBTSコネクタなど、カッコ付けて難儀してます。

←危ないことやってる

本機2台の中間のコレ↑がVolumeユニット。東京コスモスの、RV24型A10kΩ2連が入っているだけ。

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現時点で再測定

201○・・・

最後の通電が・・・多分10年ほど前かと記憶。放置プレイも度が過ぎるので、点検がてら調べてみたいのです。測定機材も変わって、どんな状態か興味深い。

工事中 と、書きながら以下工事中。

3行空けのために・・・こげなことを

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