クロノ「さて、次はどこへ行こうか?」
老人「ラヴォスといつ、どこで戦うかはお前さん達しだいじゃ。じゃが、くれぐれもお前さん達だけでは戦わない事じゃ……おぼろげじゃが、お前さん達に力を貸してくれるものが見える……」
クロノ「それは?」
老人「中世の時代、一人の女性の心により蘇る森……」
クロノ「…?フィオナさんのことかな…?よし、中世に行ってみよう」





中世でクロノ達は砂漠化の原因のモンスターを倒した。その後、砂漠を緑豊かな森に変える為、ロボがフィオナの手伝いをすることになった。
シルバードで現代へ行くと、砂漠だった地域が森になっており、その中央には神殿が。中にロボが安置されていて、400年ぶりの再会を祝うことになった。クロノ達は7人で焚き火を囲む。

ロボ「今回400年もの旅をして気づいた事があります。ワタシ達はゲートの出現はラヴォスの力の歪みだと思ってイマシタが違うような気がしてきたのデス。カクシンは持てませんが。誰かが何かを私達に見せたかったんじゃないかと……ゲートを通していろんな時代の何かを。もしくは、その誰か自身が見たかったのかもしれマセン。自分の生きて来た姿を思い返すように……」
カエル「人は死ぬ時、生きていた時に深く心に刻んだ記憶が次々と浮かぶという。それは楽しい思い出もあるがたいていは悲しい思い出さ」
ロボ「きっと『あの時に戻りたい』『あの時ああしていれば』……という、強い思いが記憶を呼び起こすのでショウ」
魔王「……で、誰だというんだ、そいつは?」
ロボ「誰の思い出かはわかりマセン。もしかしたら人ではない……もっと大きな存在かも知れマセン。それがわかる日が、ワタシ達の旅の終わりの時かもしれマセン……そろそろ、ねマショウカ?」


その夜、ルッカは起きて1人森の奥へ歩いて行った。

クロノ「…ルッカ…?どうしたんだろう、こんな夜中に…?」
ロボ「ワタシが様子を見てきマス」
クロノ「…魔王も起きてたのか」
魔王「ああ…」
クロノ「さっきの話、気になるよな…」
魔王「……………」
クロノ「…ルッカは元々機械に興味なんてなかったんだ。だけどある日、ルッカのおばさんが機械に挟まれて足を…おばさんは歩けなくなっちゃったんだ。ルッカはショックを受けてたよ。『私さえ機械に詳しかったら』って。さっきの話で思い出しちゃったのかもな」

魔王「…クロノ、おまえはどう思う?ゲートの出現の本当の原因は」
クロノ「う〜ん、そうだなあ。俺が最初ゲートを見た時は、マールのペンダントがキーになってるみたいだった」
魔王「サラのペンダントと同じものか…」
クロノ「ああ。何で突然ゲートが現れたのか、考える暇もなくあちこち旅してきたけど…誰かが何らかの目的で俺達にラヴォスが絡んでいる時代を見せたかったんじゃないかってロボは言ってたな。でも何の目的で…?」
魔王「ラヴォスと因縁があるヤツなのだろう」
クロノ「それで、その人も俺達にラヴォスを倒して欲しいのかな」
魔王「おそらくそうだろう。何者かが気になるがな」

クロノ「………『あの時に戻りたい』『あの時ああしていれば』か。魔王もそんな風に思ったことはあるのか?」
魔王「そうだな…できることならサラと離れ離れになる前、まだ母上が正気だった頃に戻りたいと思ったことはある。叶わぬ夢だがな。後悔の念なら山ほどある。母が気が狂っていくことに対して私は何もできなかった。また、サラを救う方法はいくらでもあったのではないか、と」
クロノ「おまえの頭の中ってとことんサラのことばっかなんだな」
魔王「他に何がある?宮殿内では嫌というほど醜い欲望にまみれた人間達を見てきた。皆、ラヴォスの力に取り付かれてな。中世に飛ばされてからもそうだ。人間とは愚かな生き物だ。魔族もな」
クロノ「サラ以外に誰か、心を開くことができるような人、いなかったのか?」
魔王「そんなものいない。人間も魔族も自らの欲望の為だけに生きる生物だ」

クロノ「魔王…」
魔王「そんな顔をするな。心を許せるような相手など私には必要ない」
クロノ「そんなこと言うな!今は俺達がいるだろう?孤独に飢えて苦しい時、悲しい時があったら、俺が一緒にいてやるから!」
魔王「クロノ…」
クロノ「魔王。おまえは俺達の仲間だ。苦しい時も楽しい時も一緒だぜ。な!」
魔王「…フン…お節介なヤツだ…」



――翌朝

クロノ「なあ魔王、俺、一晩考えたんだけど、俺達にいろんな時代を見せたかったのは、もしかして地球じゃないかな?」
魔王「何?」
クロノ「この星自体が今まで生きてきた自分の姿を見たかったのかもしれないなって、そう思うんだ。それならラヴォスにこだわってるのもわかるよ。きっと地球は自分の未来を救って欲しいんだ。俺達に」
魔王「……………我々は星に選ばれし者、か」
クロノ「あっ!それなんかカッコいいな〜!」
魔王「…フン。私にとってはただの復讐だがな」
クロノ「ホントに素直じゃねえなあ。ま、素直な魔王ってのも気持ち悪いけどよ」
魔王「おい!」
クロノ「冗談だって!」

朝日が差し込み始めた頃、クロノと魔王はお互い笑い合った。





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