クロノ「さて、次はどこへ行こうか?」
老人「ラヴォスといつ、どこで戦うかはお前さん達しだいじゃ。じゃが、くれぐれもお前さん達だけでは戦わない事じゃ……おぼろげじゃが、お前さん達に力を貸してくれるものが見える……」
クロノ「他に何かあるのか?」
老人「中世で逃げのびておる魔王配下の3悪の巣くう場所」
クロノ「魔王配下の3悪…つまりビネガー、マヨネー、ソイソーの3人組のことだな」
魔王「……ヤツらの事。まだ死んではいまい……そういえばビネガーのヤツ、魔王城に似たアジトを持っていた……」
クロノ「よし!また中世に行ってみよう」
クロノ「魔王、ビネガーのアジトってどこら辺にあるんだ?」
魔王「魔王城の東の大陸だ」
クロノ「東…あっ!あった!」
中に入るとビネガーが現れた。
ビネガー「ウエ〜ルカ〜ム!ここは大魔王ビネガーの……!?おぴょおっ!!あ、あなたは、魔王様!」
魔王「……いい身分だな、ビネガー」
ビネガー「……何を言われるか!魔族の世を築く為の戦いを捨て人間共にこびへつらうあなたなぞ もう、我らの王ではない!なぜ、我らを裏切った……」
ビネガーを追って奥へ進むと、またリフトがあった。
ビネガー「な〜いす とう みーちゆ〜!出でよ、我がしもべ達!ワシが魔王城から持ち出した宝物を取り返そうとするこやつらをボッコボコにするのだ!!れっつら ご〜!」
ビネガーの手下は下に落ちていった。
ビネガー「ビ……ビネガー ピ〜ンチッ!!……さらばだっ!」
クロノ「………ビネガーは相変わらずだなあ。でもなんか魔王城から持ちだした宝物があるって言ってたし、それを手に入れようぜ」
ビネガー「かま〜ん、べいべ〜!」
奥に進むとまたもやビネガーが。宝箱の前にギロチンを用意して誘っている。
ビネガー「あ、あの〜宝ばこは?取ってかないんすか?きっといいものが入ってるよ!
クロノ「そんな露骨な手にひっかかるかよ!」
ビネガー「ビ……ビネガー ショ〜ック!!……さらばだっ!」
クロノ「ん?なんかここに隠し通路があるぞ?」
魔王「これは…私の装備品だ」
クロノ「よかったじゃん、魔王。これで戦力アップだな!」
さらに奥へ進むと3魔騎士達が必殺アイテムを装備して襲いかかってきたが、クロノ達は見事倒した。
クロノ「ビネガーパンツにマヨネーブラ…一体何考えてんだろうな、あいつら…?まともなのはソイソー刀2ぐらいか。でも『2』っていうのがなんかなあ…」
魔王「これでおまえも戦力アップだな」
クロノ「ああ!ソイソー刀2は今まで手に入れた武器の中で1番攻撃力高いぜ!」
最深部でクロノ達はビネガーを追い詰めた。
ビネガー「魔王様……あくまで、ワシを倒そうとされるか。共に戦い、魔族の世界をつくろうという夢は、ウソだったのか!」
魔王「フン……私は力が欲しかっただけだ。お前にも聞こえるだろう。黒い風の音が……」
ビネガー「ワシは負けぬ!わしが負けたら魔族の未来はどうなる!ワシは負けるわけにはゆかんのだ!」
クロノ「魔族の未来…ねえ」
クロノは初めて魔王と戦った後のメディーナ村を思い出した。
ビネガー8世「村の広場にはワシの先祖である大魔王ビネガー1世が祭られておるのだ。ガッハッハ!」
魔族達「ははーっ!ビネガー様〜…………けっ!」
クロノ「………おまえが魔王になってもみんな嬉しくなかったみたいだけどなあ」
ビネガー「だ、黙らっしゃ〜い!とにかくムダ、ムダ、ムダァァァァッ!キサマ達ではワシは倒せん!ワシは無敵じゃー!」
その時、どこからか1匹の猫がやってきて、あるスイッチを押した。
ビネガー「そ、そのスイッチは!」
すると、ビネガーの足元の床がなくなり、ビネガーは落とし穴に落ちていった。
魔王「過ぎたことだ。全ては、うたかたの夢……」
クロノ「なあ、なんであんなところに猫が入り込んだんだろう?」
魔王「………実は魔王城にはマタタビがあったのだ。ビネガーの館にもその残りがあったのかもしれん」
クロノ「なんでそんなもんがあるんだよ?」
魔王「………私が………猫好きだからだ……………」
クロノ「へ?そういえばジャキは猫飼ってたっけ?確かアルファドっていう名前だったよな?」
魔王「…よく覚えているな」
クロノ「俺も猫好きだからさ。なんか俺達、猫好き同士気が合いそうだな!」
魔王「…フン」
笑いかけるクロノに対する魔王はニヒルな笑みを返した。
クロノ「魔王、アルファドなら古代に行けばまた会えるぜ。生き残って『残された村』にいるってよ」
魔王「あれから何年経っていると思っている。覚えているはずがない」
クロノ「でも会いたいだろ?子供の頃のたった1人の友達なんだから」
魔王「……………」
クロノ「いいから来いよ!シルバードでひとっ飛びだ!」
残された村に行くと、アルファドは子供と遊んでいた。しかし、魔王に気づくと近寄ってきた。
子供「おじちゃん、この猫知ってるの?」
魔王「……………」
クロノ「このおじちゃんは、アルファドの昔の飼い主なんだ」
子供「アルファド?この猫アルファドっていうの?」
クロノ「ああ、そうだよ」
子供「………おじちゃん、アルファド連れていく?またこの猫飼う?」
魔王「いや…おまえにやる」
そう言うと、魔王は立ち去った。クロノも慌てて後を追う。その後ろから、アルファドの人懐こい鳴き声がした。
クロノ「いいのか?またアルファドを飼ったってよかったのに」
魔王「私にしか懐かなかったアルファドだが、今はあの子供に懐いている。ならそれでいい」
クロノ「寂しくないか?」
魔王「いや、いい」
クロノ「そうか。おまえがいいっていうならいいけど」
その後、魔王は小さな声で呟いた。
魔王「今の私にはおまえがいるからな…クロノ…」
仲間としてクロノと一緒に行動するうちに、魔王はクロノに対して好意的な感情を抱くようになってきた。今まで魔王にとって心を許せる存在は姉のサラとペットのアルファドだけだった。他の人間達に対しては心を閉ざしたまま、いや、心を開きたいと思うような相手はいなかったのだ。自分と同じくらいの歳の子供に会っても、友達になりたいとは思わなかった。そして、自分は孤独に生きていく、それでいいのだとずっと思っていた。だが、クロノと仲間として行動するうちに、魔王は自分の心の中が変化していくのを感じた。明るく元気な少年、クロノ。彼のことを考えると、友達という存在も悪くないという気がしてくるのだ。
自らの心境の変化に戸惑いながら、魔王はクロノ達と共に旅を続けていく。
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