クロノ「さて、次はどこへ行こうか?」
老人「ラヴォスといつ、どこで戦うかはお前さん達しだいじゃ。じゃが、くれぐれもお前さん達だけでは戦わない事じゃ……おぼろげじゃが、お前さん達に力を貸してくれるものが見える……」
クロノ「他に何があるんだ?」
老人「未来の時代、機械の生まれたふるさと……」
ロボ「機械のフルサト……?ワタシにも生まれた場所があるのデショウカ?」
クロノ「よし、未来へ行ってみよう」

シルバードで未来へ飛んだクロノ達は、プロメテドームの南東に今まで行ったことのないドームを発見した。中に入るとそのドームのマザーコンピューターから手厚い歓迎を受けた。手厚い歓迎というのは強力なロボットとのバトルである。クロノと魔王はサンダガ、ロボはエレキアタックで敵を全滅させた。奥でロボはアトロポスと久方ぶりに対面する。しかしアトロポスはマザーコンピューターのおかげで人格が変わっており、ロボは1体でアトロポスと戦った。戦いの末、正気を取り戻したアトロポス、しかし彼女はもう寿命がきていた。

ロボ「アトロポス……………」
クロノ「ロボ、しっかりしろよ。早くこのドームのマザーコンピューターに会いに行って仇をとるんだ」

ドームを進んでいくうちにマザーコンピューターからクロノ達の心を揺るがすような声が響く。

「このまま行けば、やがて人間は死に絶えマス。絶望という病に心を食べられ……もう気づいているかしら?アナタ達、人間がいなければこの星は平和なのデス。それでもあなた達は戦うのデスカ?何の為に?聞きナサイ、不完全で壊れやすく愚かな生き物よ……この星は持ち直シマス。人間さえいなければ……そして私達ロボットの新しい世界が築かれるのデス。鉄の国……憎しみも悲しみもないユートピアが。私達こそが人間に代わる新しい『種』なのデス」

マザーコンピューターの言葉がクロノ達の心に深く突き刺さる。そしてドームの奥で恐ろしいものを発見した。

魔王「ほう……人間処理工場というわけか?」
クロノ「早く助けようぜ!」
ロボ「ダメです。プロテクトが何重にもかかっていて……ココのマザーコンピューターを破壊スルしか……手はありマセン……」
クロノ「くそっ!ここのマザーコンピューターは間違ってる!人間とロボットは共存できるはずだ!俺達とロボだってそうだし、ジョニー達だってそうだ!人間だってかけがえのないこの星の命だ!」

最深部ではマザーコンピューター本体が待ち構えていた。

「いらっしゃいプロメテス……アナタの目を覚まさせてあげマス。メインの回路をリセットシマショウ。これまでの記憶を全部消し去ってあげマショウ。それから、そこの目ざわりな人間どもをかたづけマショウ」
ロボ「……残念デスガ……ワタシはもう失うわけにはいかないノデス……ワタシの中の大切な記憶もかけがえのない仲間達も……ワタシは人間に……クロノや、マール、ルッカ カエルサン、エイラサン……ワタシの仲間達に……かけてみたくなったのデス」
「フフ……アハハ……アーッハッハッ……!笑わせないでプロメテス!アナタには、かけるものなど何もないのデス!アナタの希望がどれほどちっぽけか思い知らせてあげマス!」

マザーコンピューターを倒すとこのドームの全ての機能が停止した。

クロノ「ロボ……」
魔王「フン、さっさと行くぞ」
ロボ「行きマショウ……!」





クロノ「………なあ、魔王。あのジェノサイドームのマザーコンピュータが言ってたこと、どう思う?」
魔王「確かに一理あるな。人間がいなければこの星は平和だ。いつの世も平和を乱すのは愚かな人間共だ」
クロノ「確かにたくさん人間がいれば争いは起きる。だけど平和な世の中にしようとがんばっている人達もいる。弱い者に手を差し伸べ、みんなわかり合おうとする、そういう世界を作ろうとしている人達もたくさんいるんだ」
魔王「それはあくまでも理想論だな。人間というのは己の欲望のままに生きる醜い生き物だ。古代を見てきただろう。ラヴォスエネルギーに取り付かれた愚かな人間達を。人間の欲望というものはどこまでいっても尽きることがない。至高の魔力、至高のエネルギー、永遠の至福、不老不死。欲望にとらわれ、そして最後には滅びの時を迎える。自らが望んでいたものがどれだけ夢幻のものであったかを知ることもなく、儚く散っていく」
クロノ「そんな人間ばかりじゃないよ、魔王。だって、サラは違っただろう?」
魔王「……そうだな……」

クロノ「俺は、人間もロボットも平和に楽しく暮らせる世界が理想だと思う。魔族は…なんかよくわからないけどビネガーと決着つけたら現代は平和になっちゃったからな。これから現代は人間と魔族が仲良く暮らせるようになっていくと思う。魔族だってああしてみると悪いヤツばかりじゃないし、悪い人間だっているんだから、人間も魔族も一緒だよ。とにかく、人間はこの星に不要な存在なんかじゃないと思う」
魔王「あのマザーコンピューターはロボットだけの世界が理想だと信じていたようだな。人間の愚かさを見ていれば無理もない話だが」
クロノ「『不完全で壊れやすく愚かな生き物』って言ってたな」
魔王「鉄の国は憎しみも悲しみもないユートピアだとも言っていたな」
クロノ「人間は確かにたくさん過ちをおかしたり、欠点もおおいけど、みんなお互いの欠点を補い合って、支え合って生きている。1人一人は不完全だけど、でもみんな協力しあって精一杯生きてるんだ」
魔王「ロボットは負の感情は抱かないかもしれぬ。だが、ロボットだけの世界とはまた冷たい世界だな」
クロノ「ニヒルなおまえでもやっぱり人間的な温かみが恋しくなる時はあるのか?」
魔王「そうだな。だからおまえ達の仲間に加わったのかもしれん」
クロノ「ふ〜ん………な〜んか難しいこと考えてたら気が滅入ってきちまった。ジョニーとバイクレースでもしに行くか。行くぞ!魔王!」
魔王「何故私も一緒なのだ?」
クロノ「バイクで飛ばせばすっきりした気分になるぜ!ほら来いってば!」
魔王「しょうのないヤツだ」

そう言いながら魔王は心に安らぎを感じた気がした。クロノのまっすぐでひたむきな性格は見ていて非常に好感が持てる。魔王は今までの暗く冷たい生き方をクロノが変えてくれるような気がした。魔王の心を明るく照らしてくれる存在。それがクロノだった。





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