先日、クロノ達は太陽石の入手に成功した。

クロノ「魔王!おまえのおかげで助かったぜ〜!太陽石についてあんなに詳しいとは思わなかったよ」
魔王「太陽石は元々古代ジール王国で、ラヴォスエネルギー以前に使われていたのだ。おまえ達より知識があるのは当然だ」
クロノ「それでもさあ、太陽石がエネルギーを取り戻すのに6500万年以上必要だとか、未来で暗黒石がなくなった時、なくなってから1300年ほど経っているとか、具体的な数字まで計算できてすごかったじゃないか!おまえがいなかったらもっと苦労してたかもしれない」
魔王「…フン…」
クロノ「他にもサンオブサンの倒し方だとか、パレポリ村の町長の性格を変えるとか、よくわかったよなあ」
魔王「頭を使えばあんなものなんてことはない。我々は時代を超えることができるのだ。1つの時代でどうにもできないことは過去にさかのぼってみれば方法があるかもしれない。そう考えただけだ」

クロノ「ふーん…」
魔王「それにしても、ルッカとタバンだが、太陽のメガネなど作って、何を考えているのだ」
クロノ「え?別にいいじゃん。あのメガネかけるとパワーアップするし」
魔王「私はメガネが嫌いなのだ」
クロノ「じゃコンタクト派なのか?」
魔王「そういう問題ではない。だいたい私の視力ではメガネもコンタクトも必要ない」
クロノ「俺と同じだな」
魔王「全く、同じ太陽石から作るのならメガネではなく、もっと他のものを作って欲しいものだ――って、何をする!」

クロノは魔王に太陽のメガネをかけた。

クロノ「メガネ似合ってるじゃん」
魔王「よせ!」

魔王はすぐに外してしまう。

クロノ「似合ってるのにな〜あ、そうだ。せっかくルッカの家まできたんだから俺ん家にも来いよ。母さんに紹介するぜ」
魔王「おまえの母親だと…?」
クロノ「ああ。今までも家に帰った時は母さんに仲間を紹介してたんだ。おまえはまだだろ?」
魔王「……………」

クロノの母とは一体どのような人物なのだろう。魔王は他の仲間達に聞いてみた。

カエル「ペットに間違えられた」
エイラ「クロ、強い。母親も強い」

エイラが強いというのだから戦士の素質でもあるのか?そう疑問に思いながら魔王はクロノの家へ行った。

クロノ「母さん、ただいま!」
ジナ「あらお帰りなさい。そちらはどなた?あなたもクロノのお友達?」
魔王「……」
ジナ「無口な人ね……恥ずかしがり屋さんなのかしら?」
クロノ「ジャキっていう、新しい仲間なんだ」
ジナ「あらそう。よかったわね。お友達が増えて。後でお茶とケーキ持っていくから部屋で遊んでなさい」
クロノ「はーい、ほら、来いよ」



魔王「何故本名で紹介したのだ?」
クロノ「だって何も知らない母さんに『魔王』って紹介するわけにはいかないだろ」
魔王「それはそうだが…」
クロノ「そういえばさ、本名知ってんだから、これからジャキって呼んじゃダメか?」
魔王「ダメだ」
クロノ「何でだよ〜おまえもう魔王じゃないじゃん」
魔王「本名で呼ばれるのは…恥ずかしい…」
クロノ「え?何だって?」
魔王「何でもない!」

クロノと魔王は2人でクロノの部屋でくつろいでいた。

魔王「それにしてもすごい猫の数だな。全部で何匹いるのだ?」
クロノ「11匹だよ。なんなら1匹やろうか?」
魔王「いや、いい」

その時、クロノの母ジナがお盆にお茶とケーキを載せて部屋に入ってきた。

ジナ「さあさあ、ジャキさん、おいしいお茶とケーキを用意したからどうぞ召し上がってちょうだい」
魔王「…ありがとう…ございます…」
ジナ「そんなにかしこまらなくてもいいのよ。いつもクロノがお世話になっていますわね。元気な子だけどあんまり元気過ぎてあなた達に迷惑かけたりしてないかしら?」
魔王「いえ…そんなことはありません…御子息にはいつも助けられています」
ジナ「あらそう?それならいいのですけれど。クロノ、旅が一段落ついたら当分家にいてちょうだいね……猫の面倒見る人がいなくて大変なんだから」
クロノ「わかったよ」
ジナ「それじゃあゆっくりしていってくださいね」



魔王「……………」
クロノ「おまえが敬語使うなんて意外だったな〜」
魔王「じゃあどのような口のきき方をすればよかったのだ?」
クロノ「別にどんな風でもいいけどさ、ただ意外だなって」
魔王「……………あれがおまえの母親か…」
クロノ「ああ、そうだよ。どうしたんだ?」
魔王「…私にもあんな母親が欲しかったな」
クロノ「そうか?」
魔王「ああ。ラヴォスエネルギーに取り付かれてサラを苦しめるような母ではなく、あんな風に慈愛に満ちた母親であって欲しかった…」
クロノ「そっか…ラヴォスさえいなければジールも優しいお母さんだったのかな?」
魔王「…まあ、ラヴォスが発見される前はな。優しいというほどでもなかったが、子供を持つ女王としては普通の母親だった」

クロノ「だったらおまえがラヴォスを憎むのもわかる気がするな。おまえの人生ってとことんラヴォスに歪められてる」
魔王「ああ、そうだ。だからこそ私はヤツを許せない。どんなことがあっても絶対に倒してみせる」
クロノ「よし!他のみんなと一緒にラヴォスを倒そうぜ!」
魔王「ああ」



魔王「クロノ…」
クロノ「ん?何だ…?」
魔王(ラヴォスのせいで私の人生は狂わされたが…そのおかげでこいつに出会えたのだな…)
クロノ「なんだよ?人の顔ジロジロ見て」
魔王「いや…なんでもない」

魔王は、思ったことを自分の胸の内にとどめておくことにした。



明るく健気な少年により、魔王の荒んだ心は徐々にときほぐされていく…





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