オニオンナイトはなかなか寝付けなかった。今までのこと、ティナを危険な目に遭わせてしまったこと、クリスタルのこと、ゴルベーザのこと、これから先のこと、様々な事柄で頭の中が千々に乱れる。
突然、隣に寝ていたティナが激しくうなされだした。

ティナ「いやあーっ!!やめて!!来ないで!!」
オニオンナイト「ティナ!?ティナ、しっかり!!」

暗闇の雲に囚われて以来、ティナは悪夢にうなされるようになっていた。囚われの身となった一連の出来事は、意識がある時はティナの記憶から思い起こすことができないでいたが、その時の心の傷は悪夢となって毎晩彼女の心を蝕んでいた。

オニオンナイト「ティナ、大丈夫だよ!僕が、僕が守るから――!!」

オニオンナイトはしっかりとティナを抱きしめた。少年は罪悪感でいっぱいだった。彼が少女を危険な目に遭わせたのだ。己の力を過信しすぎた自分が――そのせいでティナは深い心の傷を負ってしまった。

しばらくするとティナは、オニオンナイトの腕の中で穏やかな眠りについた。その寝顔を見つめていた少年は、美しい少女を抱きしめていることに赤面した。ティナは少年が今まで見たこともないほど美しく、清楚で無垢な少女だった。

オニオンナイト「ティナ――」

少年はどんなことがあってもティナを守り抜いてみせると心に固く誓ったのだった。





夜が明け、2人は旅を続ける。少女は何か思い悩んでいるようである。

オニオンナイト「ティナ、どうかした?」
ティナ「…なんだか私だけ何もできていないわ。この間はあなたの足手まといになってしまったし」
オニオンナイト「大丈夫だよ。まだ先は長い。ティナだってそのうちクリスタルの手がかりを得られるさ」
ティナ「ありがとう。がんばるわ。 ――!! 誰っ!?」

皇帝「女子供が2人で旅とは、随分無防備だな」
オニオンナイト「おまえは――皇帝!」
皇帝「フッ…小僧、おまえに用は無い。後ろの少女、そなたに話がある」

皇帝は舐めまわす様にティナを見た。

皇帝「魔導の力を持つ少女よ、私に仕えないか?何でも欲しいものをくれてやるぞ」
オニオンナイト「何っ?」
皇帝「私はいずれこの世界全てを支配する。強い戦士、美しい女達、この世に存在する全ての優れた人物を我が配下に従えてみせる。少女よ、おまえは戦士としての強さと女としての美しさの両方を兼ね備えている。私に仕えればいくらでも特別な待遇を取り計らってやるぞ」
オニオンナイト「ティナはおまえなんかに仕えないぞ!」

皇帝「私は全てに於いて最高のものを手に入れる。豪華な宮殿に住み、美酒に酔い、数多の美女達を侍らせて覇者としてありとあらゆる栄耀栄華を極めるのだ」
オニオンナイト「………それって……ハーレム…」
皇帝「そう。酒と女を初め、ありとあらゆる快楽を味わい尽くすのだ」
オニオンナイト「ティナをそんな目で見るなんて許せない!」
皇帝「黙れっ!ハーレムは男の夢だっ!――グフッ」

至近距離でオニオンナイトのファイガ直撃。皇帝は吹っ飛んだ。

皇帝「…フン、小僧は引っ込んでいろ。どうだ?少女よ。私のものにならないか?贅沢の限りを尽くしてやるぞ」
ティナ「あなたにとって女であることは何か特別な意味があるの?」
皇帝「何?」
オニオンナイト「ティナ?」

ティナは不思議そうな顔をしている。

オニオンナイト(ティナ…もしかして意味がわかってないんじゃ…)
皇帝「…フッ、どうやら色事に関してはまだ無知なようだな。ちょうど良い。私が一から教え――グアッ!」

オニオンナイトは皇帝に殴りかかった。

オニオンナイト「この野郎っ!」
皇帝「私と戦う気か?恐れを知らぬ子供だ」



バトル:オニオンナイトvs皇帝

皇帝「…フッ、あの娘に惚れているのか?」

皇帝は嘲るように少年を見た。

皇帝「その幼さで相手にされると思っているのか?」
オニオンナイト「うるさいっ!」

皇帝は次々とトラップを使った攻撃を仕掛けるがオニオンナイトは軽やかにかわしていく。

オニオンナイト「罠になんかかからないよ」
皇帝「くっ…小癪な!逃げ惑え!フレア!」」
オニオンナイト「旋風斬!」

フレア跳ね返し!

皇帝「ウボアー!」

オニオンナイトの勝利


皇帝「ぐうっ……、退くのは今だけだ。いい気になるなよ」

皇帝は去っていった。



オニオンナイト「ティナ!大丈夫かい?イヤらしい奴だったね。ティナのこと、変な目で見たりしてさ。でも安心して。どんな奴から狙われても僕が必ず守るからね」
ティナ「…普通の女の人だと何か特別な感情をもつのね…でも私は…」
オニオンナイト「あんな奴の言うことなんか気にしちゃダメだ!」
ティナ「私…昔人を愛するということがどんなことかわからなかった。元の世界で仲間達と旅をしたり、子供達の世話をしたりしているうちに、だんだんわかるようになってきたのだけれど…でも、まだ私の知らない感情があるのね…」
オニオンナイト「……」
ティナ「心配しないで。私は大丈夫よ。さあ、行きましょう」



オニオンナイトは少々ショックを受けていた。ティナは恋愛感情が理解できないのだ。自分の胸に秘める想いを伝えても彼女にはわからない。幾歳か年長ではあるが、ティナはオニオンナイトよりもずっと純粋無垢な、清らかな存在なのだ。何かと気を回し、身体だけではなく、彼女の汚れのない心も、邪な思惑が交錯する世間から守ってやらなければ。今はまだ、自分の想いが伝わらなくてもいい。今はただ、少女を守ることだけを考えるのだ。そして、いつかは――

少年は改めて少女を守るという決意を新たにした。淡い恋心をその胸に隠し――





そして、様々な想いを胸に秘めながらもクリスタル探求の旅は続く――



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