ジタンとオニオンナイトの決闘があってからしばらく後――

ティーダ「オニオンナイトのヤツ、なんか随分元気ないッスね〜」
セシル「ジタンと相討ちになったのが悔しかったんだろう」
ティーダ「そっか。んじゃオレ、今日はアイツと練習試合するッスよ!」
ジタン「待て待て、ティーダ。これにはわけがあるんだ。今度はあっちを見てみろ」
ティーダ「バッツとティナ?随分楽しそうにしゃべってるッスね〜」
ジタン「それでオニオンナイトのヤツ、完全に拗ねちまったんだよ」
ティーダ「じゃあオレが元気づけてやるッス!」
ジタン「あ、おい待てって!」

ティーダはオニオンナイトのそばへ行った。



ティーダ「よお、たまねぎ!」
オニオンナイト「ティーダ!そんな呼び方はよしてよ!」
ティーダ「練習試合しようぜ!なんだかオレ、元気が有り余って思いっきり戦いたい気分なんだ」
オニオンナイト「ティーダはもう少し落ち着いたら?僕は1人で剣の稽古してくるよ」

そう言うと、オニオンナイトは1人離れたところに行ってしまった。

ティーダ「あ、何だよ、せっかく話しかけてやったのに」
ジタン「だから言ったろ?恋煩いしてる少年に無粋な言葉かけちゃいけないって」
ティーダ「恋煩い?」
ジタン「見ればわかるだろ?いつでもティナ、ティナ、ティナだ」
ティーダ「オレもティナは好きッスけどねえ」
ジタン「俺だってそうさ。ティナはみんなの憧れなんだ。だけどひょんなことからティナはバッツに興味を持つようになっちまったんだよ」
ティーダ「バッツか…ティナがバッツを好きだというなら仕方ないッスね」
ジタン「おまえ、あっさりしてるなあ」
ティーダ「う〜ん…なんか、元の世界に大切な人がいるような気がするんスよね」
セシル「奇偶だね。僕も」
スコール「いきなり話に割って入って悪いが…俺も実はそんな気がする」
ティーダ「みんなそれぞれ元の世界に大切な人がいるッスか…バッツとティナにも、もしいたらまずいッスねえ」
クラウド「必ずしも恋人がいるとは限らないぞ」
ティーダ「そうッスね。WOLなんて自分の名前さえ覚えてないくらいッスからね」



一方、バッツとティナは楽しくおしゃべりをしている。

ティナ「バッツはそのボコっていうチョコボと旅していたのね」
バッツ「ああ。ボコと旅した記憶はたくさん残ってるけど、仲間の記憶とかはほとんどなくてさ」
ティナ「きっと1人旅だったのね」
バッツ「そうかもしれないな」
ティナ「私はね…モーグリがとっても好きなの」
バッツ「そうか!ティナって動物好きそうだよな」
ティナ「ええ。それにバッツも好きそうね!」
バッツ「ああ!もちろんだ!」

そう言って2人はお互い笑い合った。





オニオンナイト「ティナ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
ティナ「なあに?」
オニオンナイト「ティナはバッツのこと、どう思ってるの?ここ最近、バッツばかり見てるし、バッツとしゃべってばかりだし」
ティナ「なんだか、心が惹かれるの」
オニオンナイト「そ、それって…」
ティナ「バッツとおしゃべりしていると、とても楽しい。ふわふわした気分になるわ」
オニオンナイト「ティナ…もしかして仲間の中でバッツのことが1番好き?」
ティナ「ええ!あなたも他のみんなも大好きだけど………なんだかバッツはちょっと特別なの。こんな気持ちになったのは初めてだわ。なんだか今まで知らなかった感情が私の中で起きているみたい」

そう言ったティナの頬は赤く染まっていた。そんなティナを見てオニオンナイトは絶望的な心境になった。

オニオンナイト「そ、そう………」





ティーダ「よお、バッツ」
バッツ「ん?ティーダ、どうした?練習試合か?」
ティーダ「それもあるけどさ、最近ティナとしゃべってばかりじゃないッスか。いつの間にそんなに仲良くなったッスか?」
バッツ「う〜ん、俺にもよくわからないけど、ティナと2人きりでちょっとしゃべって、それからティナはよく俺の方を見てくるようになったな。しょっちゅう目が合うし。そのたびにティナはにこっと笑うんだ。それから俺のところによく来ていろんなことしゃべったり――」
ティーダ「ティナはもしかしてバッツに恋してるのかもしれないッスね」
バッツ「ええ!?そうなのか?俺、女の子からそんなに積極的にこられたことないからよくわかんないけどそ、まさかそんな…」

バッツは赤くなって心の動揺を抑えるのに必死だった。さすがにしょっちゅう目が合ったり話しかけられたりすればティナが自分に興味があることは嫌でも気づかざるを得ない。それをティナが自分に恋しているなどと指摘され、考えてみたらとてもじゃないが落ち着いていられない。一気に胸の鼓動が高く鳴り響く。

ティーダ「このこのぉ!色男!どうやってティナの気を引いたッスか?」
バッツ「別にたいした話はしてないんだけどなあ。さっきもただ動物好きってことで気が合うなって、それだけだし」
ティーダ「…バッツ。ティナと良い関係になりたいなら、その前に確かめることがあるッス」
バッツ「何だ?」





ティーダ「みんな、大変だーーー!!!!!」
セシル「ティーダ、大声出してどうしたの?」
ティーダ「大変なことがわかったッス!」
ジタン「バッツのやつ、元の世界に恋人とかいたのか?」
ティーダ「逆ッス。いないんッスよ!バッツの記憶の手掛かりはチョコボの羽だけかと思ってたけど、他にも人の記憶とかもあったんス」
スコール「で?それは男だったと?」
ティーダ「なんと、トリの次はじいさんだったんスよ!バッツ、女に縁がない人生送ってきたみたいッス」
クラウド「……………」
ジタン「仲間が鳥とじいさんだけ?俺だったら耐えられねえ!女っ気のない人生なんて!」
ティーダ「可哀想ッス!この世界にいる間だけでも女の子と良い思い出作らせて上げるッスよ!ティナはバッツに譲るッス!」
セシル「ああ…バッツ…なんて可哀想に…僕と同い年だっていうのに恋人の1人もいないなんて…」
ジタン「バッツ…くううっ!そういう事情なら仕方ねえ!ティナはおまえに譲るぜ!」
スコール「憐れなヤツだな…」
クラウド「……………」



ジタン「――というわけだ。だからおまえもバッツとティナの邪魔はするなよ」
オニオンナイト「なんで僕がそんなこと聞かなくちゃならないのさ!僕だってティナのこと――」
ティーダ「オニオン、おまえはまだガキだ。これから出会いもきっといっぱいあるって」
オニオンナイト「子供扱いしないでよ!」
ジタン「実際ガキだろ?」
オニオンナイト「何だよ!自分だって子供の癖に!ジタンもティーダもスコールもまだ未成年でしょ!」
ティーダ「セシル!ここは年齢的に大人のおまえがなんか言うッス」
セシル「そ、そうだねえ…オニオンナイト、初恋は叶わぬものなんだよ。だから気を落とさないで」
オニオンナイト「だっっ誰が初恋って……とにかく僕はバッツとティナの仲は認めないからね!」

ティナの行動により、コスモスの戦士達の仲に波紋が広がり始めた。






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