それぞれのクリスタルを手にしたコスモスの戦士達だったが、その後驚愕の事実が判明する。なんと、クリスタルはコスモスの力そのものであり、戦士達がクリスタルを手にした為にコスモスは消えてしまったのだ。コスモスは自分の死は避けられない運命だと判断し、自らの戦士達にクリスタルを集めさせたのだ。



コスモスのことにショックを受けながらも戦いの終わりを信じ、ひたすらカオスへの道を歩んでいく戦士達。以前より強力なイミテーション達を退け、時にはカオスの手の者を倒して行きながら、過酷な戦いを続けていく。ある時、コスモスの戦士達は比較的安全な場所に辿り着いた。

WOL「ここは安全なようだな。皆、少し休息をとろう」

すると、ティナが走り去って行った。

バッツ「ティナ?」

バッツは慌ててティナを追いかけた。

オニオンナイト「ティナ!」
ジタン「くそっ!バッツに先を越されちまった」
オニオンナイト「ティーダ、邪魔しないでよ!」
ティーダ「ダメだ!ティナはバッツに譲るッス!」
オニオンナイト「そんなこと、僕は認めない!」





追いつくと、ティナは顔を覆っていた。

バッツ「ティナ、ティナしっかりしろ!」
ティナ「バッツ、私………だめ、私…戦えない…私達のせいでコスモスが…せっかくクリスタルを手に入れたのに、全部わからなくなっちゃった………」
バッツ「コスモスは俺達に力を託して消えていったんだ。その気持ちを無駄にはさせない!そうだろ?」
ティナ「……………」
バッツ「俺達が前に進まなきゃ、何も始まらないんだ!」
ティナ「そうね…でもバッツ、私、なんだか悲しいわ」

そう言って目に涙を浮かべたティナを見て、バッツは図らずも美しいと思ってしまった。優しく儚げな表情になよやかな身体つき。バッツは思い切ってティナを抱きしめた。

ティナ「バッツ…」
バッツ「ティナ、俺だって悲しいし、悔しいさ。だけど俺達は前に進むしかない。コスモスの為にも、この戦いを無事終わらせるんだ」
ティナ「バッツ…あなたは強いものね…」

そう言うと、ティナはバッツに身を寄せた。2人はお互いの鼓動が激しく高鳴るのを感じた。ティナは悲しみのあまり泣いたままであったが、バッツはそのティナを、優しく、強く抱きしめた。

バッツ(俺が…守るんだ…ティナは何があっても守ってみせる!)

どのくらいそうしていただろうか。バッツはそっとティナを離した。そしてティナの両肩に手を置いた。

バッツ「さあ、もうそろそろ戻ろう。みんなが心配している」
ティナ「そうね…バッツ、ありがとう。私もがんばってみるわ。コスモスの為に」
バッツ「ああ、俺達みんなで力を合わせてカオスを倒すんだ!」
ティナ(バッツ、あなたを見ていると、私、とても元気づけられるわ)





それから、ティナはコスモスの意志を無駄にはしないと固く決心し、残るイミテーションをはじめとする敵と戦い始めた。

ティナ(がんばらなきゃ。負けちゃダメ!勇気を出さなきゃ。バッツのように踏み出す勇気を…)

以前バッツに言われたことを思い出す。

踏み出す勇気、これ大事な!  道は選ぶな、つくるんだ!

ティナ(これが…私の選んだ道なら…私はこの道をどんなことがあっても貫いて見せる!)





ジタン「あ〜あ、ティナは完全にバッツにとられちまったなあ」
ティーダ「ジタン、この期に及んでまだティナに未練を持ってるッスか?以前話した通りッス!ティナはバッツに譲るッス!」
ジタン「でもあんな美少女なかなかいないぜ〜」
セシル「ジタン、君だって元の世界に大切な人がいるかもしれないんだよ」
ジタン「それでもレディを口説くのが俺の主義でね」
フリオニール「欲張りだなあ、ジタンは」



コスモスの戦士達は、時々休息をとりながらも先へ進んでいく。残された時間は少ないのだ。急いで、しかし焦らずに着実に進み続けなければならない。コスモスの意志を継ぎ、戦いを終わらせる為に。

セシル「ティーダ、今日は練習試合をしないか。これから先は決して負けられない戦いが続くからね。一瞬でも気を抜けないよ」
ティーダ「セシル、頭固いぜ、気楽にな。よ〜し、遠慮なくかかってこいよ!勝〜つ!絶対に勝〜つ!」
セシル「ティーダは単純でいいよね」





一方――

オニオンナイト「はあっ!やっ!たあっ!」
クラウド「必死だな、オニオンナイト」
オニオンナイト「当たり前でしょ!これからが本番なんだから!少しでも力をつけないと!」
クラウド「フッ、おまえは俺と同じだな?」
オニオンナイト「どこが?」
クラウド「ティナに告白したくでもできないところが」
オニオンナイト「クラウドと一緒にしないで欲しいなあ。少なくとも僕は女装なんかしないし、バッツをねたんで不意打ちしたりなんかしないよ!」
クラウド「…!!オニオンナイト、おまえは今、言ってはいけないことを言ったぞ。はあっ!」

クラウドはオニオンナイトに斬りかかった。

オニオンナイト「侮ってるとひどいよ。燃えちゃえ!」

至近距離でファイガ命中。

クラウド「ぐうっ…!」



オニオンナイト「全く、クラウドも大人げないよね。バッツに嫉妬するより、自分がティナの気を引くように努力すればいいのに」
スコール「おまえはそれでいいのか?」
オニオンナイト「そういうわけじゃないけど、やり方がスマートじゃないなあって」
スコール「フン、恋は気を狂わせるものだからな」



WOL「皆、練習試合もほどほどにしておくのだぞ。何より体力温存が大事だ。それでは先へ進もう」




それぞれの想いを秘めて、コスモスの戦士達は先へ進む。勝利への道を信じて。






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