戦いに決着をつける為に進んでいくコスモスの戦士達。カオスの戦士に止めを刺しながら旅はまだまだ続く。

ある日――

クラウド「バッツ」
バッツ「何だ?」
クラウド「話がある――ティナのことだ」
バッツ「わかった。真剣勝負なら受けて立つぜ!」
クラウド「バッツ、おまえはティナのことを本気で好きなのか?」
バッツ「ああ。ティナを見ていると、守ってやりたいっていう気になる。放っとけないんだよ」
クラウド「…そうか。俺もそうだ。ティナの為ならどんなことをしても構わないと思えるほど、ティナのことを想っている」
バッツ「クラウド…」
クラウド「俺は確かにティナが好きだ。たとえ振り向いてもらえなくてもティナの為に尽くしたい。だが肝心のティナは、どうやらおまえが好きみたいだな」
バッツ「……」
クラウド「…ティーダの言う通り、ティナがおまえを好きだというのなら仕方がないのかもしれない。だが、俺は確かめたい。おまえが本当にティナのことを想っているのかを」

そう言うと、クラウドは剣を抜いた。

クラウド「バッツ、剣を抜け。俺と勝負しろ!おまえがあのティナにふさわしい男かどうか、見極めてやる!」
バッツ「よーし!望むところだぜ!」





クラウド「…クッ…バッツ、腕を上げたな」
バッツ「ティナの為の真剣勝負だからな。本気だぜ、俺」
クラウド「おまえの気持はわかった。ティナはおまえに譲ろう。しかし――」

クラウドは剣先をバッツの首ギリギリまで近づけた。しかし、バッツは瞬きひとつせずクラウド見つめる。

クラウド「…フッ、剣を突き付けられてもびくともしないとはな…バッツ、覚えておけ!ティナを泣かせたら許さないからな!その時は覚悟しろ!」
バッツ「ああ、わかった」
クラウド「それでいい」

そう言うと、クラウドは去って行った。

バッツ「クラウド………今日はカッコよく決まってたな…」





バッツ「さ〜てと、ティナはどこに行ったんだ?最近は10人で行動してるから誰かと一緒だと思ってたんだけどなあ」

ティナを探しているうちに、バッツは1人悲しげな表情で座っている彼女を見つけた。

バッツ「ティナ?今日はどうしたんだ?また元気がないぞ」
ティナ「バッツ…」
バッツ「どうした?悩み事ならいくらでも聞いてやるよ」
ティナ「…バッツは元の世界の記憶はどのくらいあるの?」
バッツ「前にも話した通りさ。旅してたことは覚えてるけど、仲間の記憶がほとんどない」
ティナ「でも、あなたから聞いた旅の話は、とても楽しい記憶ね」
バッツ「ああ、そうだな。相棒のボコと一緒にあてのない旅をするのが、俺は大好きだったんだ」
ティナ「いいわね…私、バッツが羨ましい」
バッツ「え?何で?」

ティナ「私の中にある記憶は、ほとんど戦いのことばかりなの。もしかしたら私、元の世界に戻っても、また戦わなければならないかもしれない」
バッツ「ティナ…」
ティナ「私もバッツみたいに自由に生きたいわ。戦うことなんか無い、平和な世界で動物達や子供達と一緒に暮したい」
バッツ「…ティナ、自由ってのは、自分でつかみ取るものなんだ。俺達がこの世界でカオスに勝利したら、きっとみんな元の世界に戻ることになるだろう。みんなバラバラになっちまうけど、ティナ、元の世界に戻っても君の自由に生きればいいんだよ。君を束縛しようとする人間がいても、自分で自由を勝ち取るんだ」
ティナ「…そうね」

バッツ「ティナも自分らしい生き方ってのを見つけて、前に進んでいけばいいと思うぜ」
ティナ「私の自分らしい生き方…」
バッツ「そうさ!俺はあてのない旅。ティナは?さっき動物や子供と一緒に暮らしたいって言ってたな」
ティナ「ええ。私、動物や子供が好きなの」
バッツ「じゃあそうすればいいさ。ティナの好きなように生きていけばいい。誰にも文句は言わせない。そうだろ?」
ティナ「うん、そうね」





時々安全な場所で休息を取りながら旅を続けるコスモスの戦士達。束の間の休息を取っている間、ティナはまた次元城の一角に立って、一人、空を眺めていた。

ティナ(バッツ、この青い空のように、広い心を持った、強くて優しい人。この風のように自由な人。あなたの側にいるだけで、私はとても勇気づけられる。あなたの側にいるだけで、とっても幸せな気分になるの。これまで私を苦しめてきた過去、常に束縛され、思うように生きられなかった過去も、あなたに元気づけられると、乗り越えられる気がするの。あなたと一緒にいるだけで世界が、未来がとても明るくて希望に満ちたものに変わるの)
ティナ(バッツ、あなたが好きよ。こんな気持ちになったのは初めて。あなたのことを考えただけでとてもドキドキする。胸が苦しくなるの。私の心はあなたに束縛されてしまったわ。いつもあなたのことばかり考えているの。自由に生きるあなたに惹かれて私も自由を求めるようになったけれど、そんな私の心を縛るのは、あなた。でも私はあなたが好き。誰よりも自由なバッツ、あなたが好きなの)





一方バッツも――

バッツ(ティナ。辛い過去を背負っている君の顔はいつも儚げに見えるよ。だけど、そんな君に、俺は明るく笑っていて欲しい。どんなに暗い過去を背負っていても、そんなに辛くて苦しい時があっても、いつか終わりが来ると俺は信じている。いつまでも希望を失わずに必死に生きていけば、その先にはきっと明るい未来があると、俺は信じている。君が心の底から明るく笑える日がくることを、俺は願っている。君の笑顔を見たい。君の美しい笑顔を)
バッツ(ティナ。君は自由に生きたいと言っていたね。君の自由を束縛するようなヤツがいたら、俺は全力で戦ってやる。君のことは俺が必ず守ってやる。君の身体はもちろん、心も、守ってやりたい。君が傷つくなんて俺には耐えられない。君の悲しそうな顔は見たくない。誰よりも優しく、美しいティナ、君の笑顔が見たい。ティナ、君が好きだ。こんな気持ちになったのは初めてだ。ティナ、君の為なら俺の全てを犠牲にしてもいい。君が好きだ、ティナ)



互いに惹かれあう男女はそれぞれ別の場所で、相手を恋い慕う。




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