マッシュ「兄貴、どこ行ってたんだよ」
エドガー「私のティナを狙う狼と決闘してきたところだ」
マッシュ「眉間から血が出てるぜ」
エドガー「ああ、だから出直すことにしたのだ。エクスポーション!」

エドガーが回復アイテムを使うと傷口はみるみると塞がっていく。ケフカを倒した後、世界には魔法が失われてしまった。幻獣も。だから今となっては傷の手当てはアイテムに頼るしかないのである。

マッシュ「兄貴、本当は魔石のラクシュミを召喚したかったんじゃないのか?」

マッシュは揶揄するようにエドガーに話しかける。

エドガー「黙れっ!今度こそ、今度こそ今度こそティナに求婚するぞ!」





ここはモブリズの村の近く。そこには全身白スーツに薔薇の花束を抱えたエドガーが立っていた。1輪の薔薇を口にくわえ、前髪をかき上げる。

エドガー「フフフ、決まった。完璧に決まった。これで愛しのティナへ求婚すれば彼女も私の愛を受け入れてくれるだろう。ああ、ティナ、朝露が渇く前にこの薔薇の花束を君に届けに――」



ウガーーーーー!!!!!



どしーん、どしーん…

子供達「うわあ!すごーい!ウーマロって力持ちなんだねー!」

エドガー「……………ウーマロ……………何であいつがここに…?」
モグ「エドガー?久しぶりクポ!ボクは今日、ウーマロと一緒にティナに会いに来たクポ。エドガーも?」
エドガー「…ああ…」
子供達「ウーマロー、今度は力こぶつくってー!」
ウーマロ「ウガー!」
子供達「うわあ!すごいすごい!キャッキャッ!」

エドガー「あああああ…何でよりによってあいつらが来てるんだ…せっかくプロポーズの万端の準備をしたというのに…これでは私のエレガンスな雰囲気が台無しではないか…」

エドガーは一気に気落ちしてがっくりとうなだれた。そこにティナがやってくる。

ティナ「あら、エドガーじゃない?あなたもここへ遊びに来てくれたの?」

ティナは純粋な瞳に清らかな光を湛えて小首をかしげる。エドガーはなんとか気を取り直してティナに求婚しようとした。
その時――

子供「うわーっ!モンスターだ!」
子供「フンババだ!ママ助けてー!」

ティナの反応は素早かった。腰に下げていたラグナロクを抜き、フンババに斬り付ける。

ティナ「子供達は私が守るわ!」
モグ「ティナ!ボクも参戦するクポー!ウーマロ!おまえも一緒に戦うクポー!」
ウーマロ「ウガー!」

ティナはラグナロクで、モグはグローランス、ウーマロはボーンクラブで戦い始めた。一方エドガーはいつも愛用している機械を持ってきていない。おかげで参戦するタイミングを逃してしまったが、このまま黙って見ているわけにもいかない。護身用に持ってきたクリスタルソードを抜くと、一気に3人の前に駈け出し、フンババを斬り付けた。

エドガー「ティナ!ここは私に任せてくれ!機械がなくても十分に君を守れることを証明してみせるよ」
ティナ「エドガー?」
エドガー「そうだ。フンババ!ティナには指一本触れさせない!おまえなど私の剣術で十分だ――!?」
ウーマロ「ウガー!」

エドガーがカッコよくフンババに止めをさそうとしたその時、ウーマロがエドガーの身体をつかんでフンババに向かって勢いよく投げた。
そしてそのままフンババと共に崖から落ちていった。


エドガー「ぎゃああああーーー!!!!!


ティナ「キャーッ!エドガー!」

ティナは慌てて緩やかな坂の方から崖の下へ向かった。



エドガー「……………」

エドガーは呆然としていた。白スーツも薔薇の花束もボロボロである。こんな状態でティナに求婚できるわけがない。完璧だと思った自分のコスチュームが完膚なきまでに損なわれてしまったのを見て、愕然としてしまった。ティナにカッコいいところを見せるどころか、むしろその逆になってしまった。

エドガー「ああ…私のティナ…私の天使…」
ティナ「エドガー!」

ティナがこっちへ駆けつけてくる。こんな無様な姿を見て彼女はどう思うだろうか?

ティナ「大丈夫?しっかりして。…ウーマロ!エドガーを運んでちょうだい!すぐに手当てしなきゃ!」





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