ロックとティナは婚約すると、各地の仲間達へ結婚式の招待状を送った。真っ先にやって来たのはものまね師のゴゴだった。

ゴゴ「やあ、ティナにロック、久しぶりだなあ」

そう言うと、ゴゴは手品のように薔薇を一輪取り出してティナへ捧げた。

ゴゴ「ティナ、君の瞳に乾杯!」
ティナ「??ありがとう」

ティナは普通に受け取った。

ロック「ゴゴ!お前なあ!」
ゴゴ「まあいいじゃないか。たまにはエドガーのものまねくらいさせてくれよ」
ティナ「えっ?今のってエドガーのものまねだったの?」
ゴゴ「まあね」

そう言うと、ゴゴはティナとロックを交互に見比べた。

ロック「何だよ?俺が再婚するのが気に食わないのか?」
ゴゴ「うんにゃ、そうじゃなくて、君達にはとても重大な問題があると思ってね」
ティナ「それはなあに?」
ゴゴ「ティナ…君は結婚するっていうことがどんなことかわかっているかい?」
ティナ「夫婦になって一緒に暮らすことでしょう?」
ゴゴ「そうだね。そして子宝に恵まれれば子供が生まれる」
ティナ「そうね」
ゴゴ「……………ティナ、子供はどうやって生まれるか知ってるかい?」
ロック「ゴゴ!な、何言い出すんだよ!」

ロックは真っ赤になって怒鳴った。

ゴゴ「しかしなあ、ロック。ティナはそっちの知識が全くゼロで、どうやって新婚初夜にそういう関係に持っていくつもりだったんだ?」
ロック「な、なっ…そっ、それは…」
ティナ「そっちの知識ってなあに?」
ロック「うわー!聞いちゃダメだー!」
ティナ「?????」
ゴゴ「ティナ、夫婦が一緒に寝ることは知ってるかい?」
ティナ「ええ」
ロック「うわあー!やめろゴゴー!!」

ロックを無視し、ゴゴは続けた。

ゴゴ「夫婦はね、寝る時、夫婦しかしない特別なことをするのさ。本当に愛し合う男女が行う行為だよ。それでその愛し合う行為によって、子宝に恵まれれば子供が生まれるんだ」
ティナ「素敵なことじゃない!」
ロック「あ…ティ、ティナ…そ、その…」
ティナ「ロック、何恥ずかしがってるの?あなたは1回結婚しているのに」
ロック「いや、それは、だから、その…」
ゴゴ「と、いうわけで君達カップルの最大の問題点を俺が解決してやったぞ。ありがたく思えよ、ロック」
ロック「な…ゴゴ、おまえなあ!」
ゴゴ「じゃあ式の時にまた会おう。それではばいび〜」





2人の結婚式はモブリズの村で、ささやかに行うことにした。セッツァーとセリスからは連名で欠席という返事が届き、結婚祝いの電報だけが送られてきた。その他の仲間達は全員やってきた。今は亡きシャドウを除いて。

モグ「ティナ!結婚おめでとうクポー!」
ティナ「モグ!私もロックと結婚して幸せになるわ!」
モグ「ティナが幸せになってボクも嬉しいクポー!」
ウーマロ「ティ、ティナ、ロック、お め で と う!」
ティナ「ありがとう、ウーマロ」
ロック「ありがとな、2人共」

ロック「エドガー!マッシュ!」
エドガー「やあ、ロック、結婚おめでとう。ティナを不幸にしたら許さないぞ」
ロック「おまえは…そのうち誰かと結婚するのか?」
エドガー「フッ…私を甘く見ないでくれ。既に婚約者がいるのだよ。私が結婚相手を見つけることなんて、難しいことではないさ」
マッシュ「兄貴!」
ロック「…じゃあ、おまえの結婚式にも俺やティナは出なきゃならないのか…」
エドガー「無理にとは言わないよ。セッツァーとセリスも2人で勝手に結婚してしまったしね」
マッシュ「あれは本当に急な話だったよなあ。俺、びっくりしたぜ」
ロック「俺はただ…あいつが幸せならそれでいい」
エドガー「そうだな。今度は我々が幸せをつかむ番だ」

リルム「ねえ〜結局どういうことなのか説明してよ〜」
マッシュ「もう十分説明しただろ」
リルム「納得いかな〜い!ロックとセリスの結婚式、私にとっては忘れられないものなんだからね!みんなで2人の幸せを祝って。それなのにもう2人は離婚して、それぞれ別の相手と結婚なんて…」
ストラゴス「リルム、今回のことはおまえにはまだ早すぎるな。大人になればそのうちわかってくるから」
リルム「でも〜それじゃあもうみんな全員集まって楽しく過ごす時は来ないのね?なんだか寂しいなあ」
エドガー「当分は無理だろう。でもいつか…ロックとセリスがお互いを認められる時が来るかもしれないな」
リルム「当分ってどれくらい〜?いつかっていつよ?」
ストラゴス「これこれ、あまり大人を困らせるんじゃない」
リルム「大人ってわかんない!」

リルムはふくれっ面をした。一方、カイエンはガウの面倒を見ていた。細かいことはよくわからない野生児は、純粋にロックとティナの結婚を祝った。

ガウ「ガウ―ガウガウ。ティナも幸せ、ロックも幸せ、セリスも幸せ、セッツァーも幸せ。みんな、みんな幸せになるといいな!」
カイエン「うぬぬぬ〜拙者には納得がいかんでござる〜」
エドガー「一度の結婚でうまくいく夫婦ばかりとは限らないということさ」
カイエン「ぬぬぬ〜」
エドガー「堅物のカイエン殿が納得いかないのはわかるが、ロックとセリスはもう別の人生を歩み出したのだよ。仲間として快く祝ってあげようではないか?」
カイエン「ぬう…そうでござるな」





かつての仲間達とモブリズの孤児達に祝福されながら、ティナとロックは結婚した。ティナのウェディングドレス姿は誰もが見とれるほど美しく、男性陣はロックを心底うらやましく思った。特にエドガーは。ティナは質素なドレスであるにも関わらず、輝かんばかりに美しかった。純潔の乙女は愛する男性と結ばれる幸福感に満ちていた。ロックはロックでティナの美しさに見とれながらも、そのティナと結婚できることがまるで夢のようだった。





ロックとセリスはそれぞれ別の人生を歩み出し、それぞれ別の幸せをつかんだ。モグは雌モーグリを見つけ、つがいになり、エドガーも間もなく国に妃を迎える。そんな中、ティナとロックは聖なる儀式により結ばれ、新たな人生を歩み始める――





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