セッツァーはセリスの部屋の前に立っていた。手に包装された小箱を持っている。

セッツァー「もうこれ以上見ちゃいられねえ。セリス、今日という今日こそは、はっきりしてもらうぜ」

彼は一大決心をしたのであった。真剣な面持ちでノックをする。返事はない。

セッツァー「セリス、入るぞ」

セッツァーは勝手にセリスの部屋に入っていった。

セリス「ちょっと、セッツァー!勝手に入って来ないでよ!」
セッツァー「ここは俺の飛空挺だ。そしておまえはただの居候。違うか?」
セリス「……………何の用?」
セッツァー「…好きだ!」

セッツァーはいきなりセリスを抱き寄せ、強引に唇を奪った。

セリス「!!やめて!」
セッツァー「セリス、よく聞け。ロックは今、ティナの元にいる」
セリス「!!」
セッツァー「聞いた話じゃ2人はけっこういい雰囲気らしいぜ」
セリス「そ、それじゃ……止めなきゃ!今度はティナが不幸になるわ!」
セッツァー「何言ってんだ!人のことなんかどうでもいいだろ!」
セリス「な……ティナは大切な仲間よ!」
セッツァー「おまえはティナよりロックに執着してるんじゃないのか?ロックが他の女とうまくやってるって聞いて許せないんだろ?」

セッツァーは容赦がない。セリスは唇をかみしめた。

セリス「…でも…このままいったらやっぱりティナは不幸になると思うわ」
セッツァー「そう言うことは自分が幸せをつかんでから言いな!」

そう言うと、セッツァーは手にしていた小箱をセリスに渡した。

セッツァー「俺からだ。受け取れ」

セリスは黙って中身を開けた。中には指輪が入っていた。

セリス「…!!セッツァー!」
セッツァー「この前も思ったけどよ。おまえ、幸せになりたいんだろう?それも独身じゃなくて、誰か男に愛されたいんだろう。そしておまえは俺を選んだ。俺のところにきた。……セリス………結婚しようぜ」

セリスは呆然とセッツァーの顔を見つめていた。するとセッツァーは指輪を取り、セリスの左の薬指にはめた。

セッツァー「…ロックとの結婚指輪はもう外してるんだな」
セリス「…投げ捨てたわ。あんなもの」
セッツァー「激情家だな。普段は勝ち気で、強気で、それでいて精神的に脆い。おまえは見た目も中身も俺の好みだよ」

そう言うとセッツァーはセリスを抱きかかえベッドへ連れて行った。

セリス「ちょっと何するの!私、まだ何も言ってないわよ!」
セッツァー「黙って結婚指輪をはめたってことはOKってことだろ?おまえ、また傷つくのが怖いんだろう?それで素直になれないんだ。なら力ずくでも正直になれるようにしてやる」

セッツァーはセリスを押し倒した。

セリス「セッツァー!」
セッツァー「あの男のことなんざ、忘れさせてやるよ!…俺は前からおまえが好きだった。今度こそおまえを手に入れてみせる!おまえを………幸せにしてやる!!」
セリス「!!」

ベッドの上で2人の影が重なった。

セリス「………強引ね………」





ここはモブリズの村。今はマッシュとカイエンが訪れている。

カイエン「全く、近頃の若者はよくわからんでござるよ。拙者の若い頃は一度結婚したら離婚などあり得ぬことであった。仮に未亡人、男やもめになったとしても、そのまま一生、愛する伴侶へ貞節を守り続けるというのが我がドマ国では当たり前の風習で…ウンチク…ウンチク…」
マッシュ「まあまあ。それで2人が幸せならいいじゃないか。セッツァーとセリスか…まさかあの2人が結婚するとはな…」
ティナ「それじゃあセリスは今、幸せなのね」
マッシュ「さあ…俺は直接会いに行ったわけじゃないからな…でもそっちの経験豊富なセッツァーのことだ。なんとかセリスの心の傷を癒してくれるだろう」
ティナ「良かった…」
カイエン「いや、しかし本来、夫と妻というものはでござるな…ウンチク…ウンチク…」
マッシュ「だー!もういいじゃないか!2人は幸せなんだから!」
カイエン「しかし…」
ロック「そうか…セリスはセッツァーと再婚したのか…」

ロックの声にティナとマッシュとカイエンの3人が振り向く。

ティナ「ロック!聞いていたの?」
ロック「……ああ……」

マッシュとカイエンは急に気まずくなって押し黙ってしまった。

ティナ「ロック、セリスは新しい幸せをみつけたのよ」
マッシュ「ロック…その…セリスは新しく人生をやり直すみたいだ。おまえは…その…気にするな…って言っても無理…だよな…」

マッシュは困った笑みを浮かべた。

ロック「いいんだ。これでいいんだ。俺なんかより、セッツァーと一緒になった方があいつの為だ」
ティナ「ロック!そんなこと言わないで!あなたにだって幸せになる資格はあるわ!」

ロックはしばらくティナを見つめていた。するとティナの頬が徐々に赤くなり始めた。

ティナ「あ、あの、ロック、わ、私…」
ロック「ティナ、すまない。やっぱり俺は…」

そう言うと、ロックは外に出て行った。





次へ
前へ

二次創作TOPへ