ティナ達は魔大陸に乗り込んだ。到着してすぐにシャドウと出会う。それまで帝国に雇われていたシャドウだったが、必要がなくなったら殺そうとしてきたらしい。シャドウを新たに仲間に加え、魔大陸を彷徨う。三闘神のところにいたアルテマウェポンを倒し、ガストラ皇帝とケフカと対峙する。その後、セリスに剣で刺されたケフカは逆上し、三闘神復活を企む。ガストラ皇帝はケフカに殺され、魔大陸から落とされた。ケフカの三闘神復活をシャドウが阻止している間に、ティナ達は崩壊し始めた魔大陸から脱出しようとする。魔大陸の端に辿り着き、飛空艇が見えたところでシャドウを待つ。ギリギリまで待ち、シャドウと共に飛空艇に飛び降りる。その時、ケフカにより暴走を始めた三闘神の力が解放された。もうこの力を止めることはできないのだろうか。とうとう世界が崩壊し始めた。

「捕まってろ!」

崩壊していく世界の中で必死に飛空艇ブラックジャック号の舵を取るセッツァー。三闘神の力は飛空艇にまで及び、真っ二つに分断した。ティナが分断されたもう一方の甲板に落ちていった。

「ティナ!」

セッツァーはティナを助けようとしたが、どんどん粉砕されてゆく飛空艇の激しい揺れには対抗できず、最後には飛空艇と共に全員が空に投げ出された。

その日、世界は引き裂かれた。



ここはコーリンゲンの村の酒場。世界崩壊後、すっかり無気力になったセッツァーは毎日酒ばかり飲んでいた。飛空艇ブラックジャック号を失った喪失感は大きい。翼を失ってしまった今、セッツァーは夢をも失くしてしまった。もう二度と飛空艇で大空を飛び回ることはできない。この絶望に満ちた世界は、平和な世界で気ままに生きてきたセッツァーには辛すぎるものだった。時折、ティナのことを思い出す。ティナはもう死んでしまったのだろうか。それともどこかで生きているのだろうか。探そうにも飛空艇はもうない。そう思うとまた無気力状態に戻り、結局酒浸りの毎日が続くのだった。

ある日、セリス達と再会した。『こんな世界だからこそ、もう一度、夢を追わなければならない』と言われ、セッツァーはかつての親友ダリルの墓へ行くことを決めた。そこにはもう一つの翼であるダリルの飛空艇、世界最速の船ファルコン号が眠っているのだ。ダリルの墓の地下へ向かう途中、回想に耽りながら階段を降りて行く。最深部で飛空艇ファルコン号を入手する。セッツァーは新しく翼を手に入れた。また夢を見ることができるのだ。セッツァーはセリス達と共に仲間達を探す旅を始めた。


ティナの消息についてはセリス達から聞くことができた。世界崩壊後、ティナはモブリズの村に辿り着いたそうだ。そこは子供達だけの村になっていた。世界が引き裂かれた日、モブリズの村の大人達は、ケフカの裁きの光から子供達をかばって皆、死んでしまったのだ。大人がいなくなってしまったところにティナがやってきた。子供達はティナを必要としている。父親、母親、村の大人達がいなくなってしまった今、ティナは子供達にとって母親のような存在であり、『ティナママ』と呼ばれていた。ティナは子供達の心の支えであり、ティナがいてくれるからみんながんばってこれたのだという。セリス達はケフカを倒す為に一緒に行こうと言ったが、ティナがいなくなったら子供達は支えを失ってしまう。ティナママを連れて行かないで、ティナを取るなと子供達の反発にあう。

ティナは子供達が何故自分を必要としているかがわからないそうだ。子供達を守らなくてはならない理由なんてないはずだ。だが、何か変な感じがする。ティナは今まで自分が知らなかった新たな感情が芽生えているのに気づいた。それが何なのかはわからない。そしてこの感情が芽生えた時、ティナは戦う力がなくなってしまったのだそうだ。はっきりとは言えないが、何かわかりかけているような気がする。だがその答えを見つけようとすればするほど戦う力がなくなっていく。ティナはとても悩んでいた。その時、フンババというモンスターが襲いかかってきた。村を守る為にティナは戦ったが、負傷して倒れてしまう。代わりにセリス達がフンババを追い払う。ティナはやはりもう戦う力がないことを実感したのだった。

ティナはセリス達と一緒に行っても足手まといになるので、モブリズの村に残ることにしたそうだ。子供達はティナを必要としている。もう少し時間が経てば、今、ティナの中に芽生えようとしているものの答えが出るかもしれないという。それでセリス達は一旦モブリズの村を後にしたのだそうだ。あれからしばらく経つ。ティナは今どうしているだろうか。セリス達はもう一度ティナに会いに行きたいと言う。セッツァーもティナに早く会いたい。セッツァーは飛空艇でモブリズの村に向かった。

ティナの心の中に新たに芽生えた感情というのは母性愛ではないかとセッツァーは思った。大人がいなくなってしまったところに現れたティナに、子供達は母親のようなものを求めている。その証拠に『ティナママ』と呼ばれているのだ。そんな子供達に対し、ティナも母性本能をくすぐられたのだろう。幻獣と人間のハーフである彼女は人としての感情に乏しいところがある。そのティナから愛情という感情が芽生えつつあるのではないだろうか。愛情という、戦う力とは相反するものが芽生えた為に、戦う力がなくなってしまったのではないか。

セリス達と共にモブリズの村に入ると、子供達が大騒ぎしていた。子供達の中で最年長はディーンとカタリーナという。聞くところによると、二人は恋仲で、カタリーナに子供ができたのだそうだ。喜ぶカタリーナに対し、どうしたらいいかわからなくなったディーンはカタリーナに冷たくしてしまい、カタリーナは出ていっていなくなってしまったのだ。

(女との間にガキができて戸惑う男。よくある話だな)

いなくなったカタリーナを心配してパニックになっているディーンを尻目に、セッツァーはティナに会いに行った。

「セッツァー……生きていたのね。会いたかった!」

ティナは心底嬉しそうな顔をした。一年ぶりの再会。新たに母性愛に目覚めた彼女はまた一段と美しくなっていた。以前は美しくも儚げで、悲哀に満ちた表情をすることも多かった。今は優しくたおやかな雰囲気をしている。可憐なところは変わらないが、以前は儚げだったところが守るべき子供達の存在で、優しさと強さを兼ね備えた大人の女性に変わりつつあった。

「よう。久しぶりだな」

セッツァーはティナを抱きしめたくなった。だが、自分とティナの関係はまだ曖昧なものであると気づき、躊躇う。いつの間にか自分の中では恋仲になっているものと思っていた。

「セッツァー、ごめんなさい。以前あなたに買ってもらった髪飾りを失くしてしまったの……」
「そんなのいいって!欲しければまたいくらでも買ってやる!俺はティナが無事でいてくれただけで十分なんだ!」

ティナと互いに惹かれ合っているのを感じる。だが、相手を想う気持ちはセッツァーの方が大きいようだ。ティナは今やっと母性愛というものが芽生えた状態である。そしてその感情に戸惑っている。異性への恋愛感情を自覚するのはまだ先になるだろう。
セッツァーとティナが再会し、久方ぶりの会話をしている間、ディーンはカタリーナを見つけ、必死に謝っていた。

その時、再びフンババが現れた。戦う力をなくしたティナはセッツァー達に村を守ってくれと頼む。セッツァーはセリス達と共にフンババと戦うが、フンババブレスでどんどん吹き飛ばされてしまう。窮地に陥ったパーティーの前にトランス状態になったティナの姿が現れる。ティナと共にフンババを倒し、村を守ることに成功する。トランス化し、幻獣に近い姿になったティナを見た子供達は、また怪物が現れたと怖がる。その中で一人の少女が『ティナママ』であることに気づき、他の子供達も驚きながらティナに駆け寄る。

「私……戦う!なんとなく……わかりかけたの……私の中に芽生えていたのはきっと……『愛する』ということ……今ある命だけじゃなく、これから生まれてくる命もたくさんある。それを守る為にも!ディーン……カタリーナと、彼女のお腹の子はあなたが守るのよ!みんな……ママはみんなの未来を守りに行く。そして、必ず帰ってくる!」

必ず帰ってくると約束するティナに、泣かないように我慢しながらお別れを言う子供達。ティナの言葉を信じてがんばろうとする健気な姿。

「ありがとう。みんなのおかげで、わかりかけてきた……私、戦える。みんなの未来を守る為!そして新しい命をこの世界に育む為!」



こうして戦う力を取り戻したティナは、仲間に加わり、パーティーは残りの仲間達を探す旅を続けた。旅を続けるうちに一人、また一人と仲間と再会し、かつてのメンバーがそろっていく。それだけではなく、この崩壊した世界で新たに加わった仲間もいた。ウーマロとゴゴである。ウーマロはナルシェの炭坑に住む雪男で、モグの子分なのだそうだ。ちょっと乱暴だが強くて頼りになるということで、モグが仲間になるよう親分として命令し、単純なウーマロは喜び勇んで仲間に加わったのであった。

ゴゴはものまね師。奇妙な服を身に纏い、男なのか女なのか、人間であるのかさえ謎に包まれている。ゴゴと出会ったのはなんとも不思議な場所であった。小三角島を探索していたらゾーンイーターというモンスターが現れ、戦っているうちに吸い込みで仲間が一人ずつ吸い込まれていく。全員が吸い込まれ、気が付くとそこはダンジョンの中だった。ゾーンイーターの体内にこんなダンジョンが広がっていたとは。驚きながらも内部を探索するティナ達。思いもよらない仕掛けがたくさんあり、更に驚きの連続。そんな奇妙な場所の一番奥にいたのがゴゴだった。ティナ達が世界を救おうとしていると聞き、ゴゴも世界を救うものまねをしてみると言って仲間に加わった。

こうして世界を救う為に集った仲間達は総勢十四人になった。後は魔石による魔法修得や強い武器防具の入手、そしてパーティー全体の育成をしつつ旅を続け、しっかりと戦いの準備が整ったところで瓦礫の塔へ向かうのだ。





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