1週間後、クラウドは帰って来た。

ティファ「あ、クラウド、お帰りなさい」
クラウド「ああ………ティファ」
ティファ「何?」
クラウド「すまないが、今日は早めに店じまいしてくれないか?」
ティファ「いいけど、どうして?」
クラウド「ティファを連れていきたいところがあるんだ」
ティファ「そう。わかったわ」

ティファはクラウドの言う通り、早めに店を閉めた。そしてクラウドについて行った。



クラウドが連れていったのはエッジの町はずれのある場所だった。

ティファ「クラウド、ここ…!!」
クラウド「この間見つけたんだ。ニブルヘイムの給水塔に似ているだろう?」
ティファ「本当!なんだか昔を思い出しちゃう!」

空は満天の星空、クラウドがニブルヘイムから出ていく時にティファと会った、あの時を思い起こさせた。

ティファ「素敵!ねえねえ!思いださない?昔の約束!あれからもう10年経つんだね!」
クラウド「ああ…時が経つのは早いな…」
ティファ「私…あの時の約束がクラウドとの1番の思い出なの!」
クラウド「そうか…」
ティファ「それに、クラウドはピンチの時にちゃんと約束守って来てくれたものね!」
クラウド「……………」
ティファ「…クラウド?」

しばらくはしゃいでいたティファはクラウドの様子を見て不安になった。

クラウド「なあ、ティファ」
ティファ「な、なあに?」
クラウド「今さらだが、俺が魔晄中毒になっていた時、看病してくれてありがとう。もっと早くに言うべきだったのに、随分長い間お礼を言い損ねていた。すまない」
ティファ「そんなこと、いいのよ。私だって悪かったのよ。あなたが本当のクラウドじゃないんじゃないかって疑ったりして」
クラウド「疑って当然だ。俺は…いや…俺が言いたいのはそんなことじゃない。あんな状態でも俺を信じてくれて看病をしてくれたティファには本当に感謝しているんだ。俺にとってティファは誰よりもかけがえのない存在だ」
ティファ「クラウド…」

ティファは赤くなった。

クラウド「俺を助けてくれたのは、精神的支えになってくれたのはいつもティファだ。魔晄中毒の時もそうだったし…ニブルヘイムの事件の後、もしステーションでティファに会えなかったら、俺は単なるセフィロス・コピーだったかもしれない。俺は…ティファ…」

クラウドはティファに近寄った。

クラウド「ティファ、俺は昔、ティファがニブル山の崖から落ちるのを助けられなかったことを未だにひきずっている。そのおかげでティファの親父さんには嫌われてしまった。………そして、この3年間、ずっと同じ部屋で寝泊まりしてわかったことだが、ティファはニブルヘイムの事件のことで未だにうなされている。…ティファ…俺は、おまえを守りたい」
ティファ「!!クラウド!!」
クラウド「ティファの心も身体も守ってやりたい。特に心の傷は…共感できるのは同じニブルヘイム出身の俺だけだ!俺だけがティファを守れる。精神的支えになってやれる。昔ティファが魔晄中毒になっていた俺を支えてくれたように、本当の俺を見つけるのを手伝ってくれたように、俺もティファの支えになってやりたい。守ってやりたいんだ。お互い、支え合って、心の傷も共感しあって、これからも一緒に、ずっと一緒に生きていきたい。そう思うのは俺の驕りだろうか?…ティファ、俺はおまえにふさわしい男だろうか?」
ティファ「何言ってるの!!!!!私は…私はずっと、クラウドのことが――!!」

ティファは心の内に秘める想いを告白してしまいたかったが、息が詰まってしまった。

クラウド「ティファ、俺は、おまえのことが…好きだ…」
ティファ「クラウド………わ、私も………私も…あなたのことが………好き………」
クラウド「ティファ…」

不器用な告白。しかし、クラウドにとっては精一杯の告白。そしてティファも自分の心に秘めた想いをなんとか口にするので精一杯だった。
お互いはっきりと想いを伝えることがなかなかできない2人。しかし、この時やっと2人は相手の想いを受け取ったのだ。心が通じ合ったのだ。
クラウドはためらいながらも、何度もさらにティファに近づこうとした。ティファは真っ赤になったまま、動けないでいた。





一方――

シド「おい、クラウドの奴何やってんだよ!か〜〜っ!なんてじれったい奴だ!行け!そこだ!一気にキスしちまえ!」
ユフィ「しーーーーっ!静かにしなよ!ここでアタシ達がのぞき見してるってバレたらまずいじゃん!」
バレット「にしてもじれったいカップルだなあ。たかがキスひとつに何そんなにためらってるんだ」
ケット・シー「3人共、心配なのはわかるけどこれ以上はアカンで。後は2人っきりにさせておくんや」
レッド13「そうだよ。せっかくニブルヘイムの給水塔にそっくりな場所をケット・シー…リーブが今日の為に間に合わせで急いで作ったんだし、今日は満月だってオイラがクラウドにさりげなく教えてあげたんだよ」

「おまえ達」

背後から声がしてシド達はびくっとした。ふりむくとそこにはヴィンセントの姿があった。

ヴィンセント「彼ら2人の神聖な領域に踏み込んではならない。ナナキ、リーブ、ユフィ達を連れて帰るぞ」
レッド13「そうだね」
ケット・シー「そうやそうや!」
ユフィ「あっ!おい、何するんだよ〜!これからがいいトコだってのに〜!!」

ユフィはヴィンセントに連れられていき、シドはレッド13が服に噛みついて無理やり引き摺っていき、バレットもケット・シーに拉致されていった。





その後しばらくしてようやくクラウドは覚悟を決めた。思い切ってティファを抱きしめた。そっと、優しく。ティファは耳朶まで真っ赤になり、身体中が熱くなる。2人共お互いの体温を嫌という程感じとった。そして――

クラウド「ティファ、結婚してくれ」
ティファ「……………はい」

月明かりに照らされた夜の最中、2つの影が重なり合った。そして、クラウドはそっとティファにキスをした。





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