ある日、クラウドの携帯が鳴った。ユフィからである。先日のこともあり、クラウドは慌てて電話に出た。

クラウド「もしもし?」
ユフィ「よっ!クラウド元気にしてる〜?」
クラウド「ああ」
ユフィ「実はさあ、今度ウータイで夏祭りやるんだけど、来ない?」
クラウド「祭り…か…。いいだろう」
ユフィ「よっし!決まりっ!」



クラウドを夏祭りに誘うことに成功したユフィは電話を切った後、1人ほくそ笑んだ。

ユフィ「うしし!デートのお誘いは成功成功!クラウドは鈍いし奥手だからこっちからどんどんアタックしてかなきゃね〜」





ウータイの夏祭り当日――
クラウドは愛用のバイク、フェンリルを走らせてウータイにやってきた。それをユフィが出迎える。

ユフィ「クーラーウードーーーーー!!!!!」
クラウド「待たせたな」
ユフィ「いいってことよ!それじゃあアタシの実家に来てよ」
クラウド「実家?ゴドーの家か?親父さんとはもう仲直りしたのか?」
ユフィ「ん〜まあね〜相変わらず喧嘩はしてるけどさ。時々家に戻ることにしてるよ」



ユフィの実家へ行くとゴドーが迎えてくれた。

ゴドー「クラウド君だね。ユフィから話は聞いているよ。今日はここに泊まっていきなさい。ちゃんと部屋も用意してある」
クラウド「…ありがとうございます」
ゴドー「ふむ。一応礼儀は知っておるようじゃな。さあ、上がりなさい」
クラウド「お邪魔します」
ユフィ「親父〜クラウドのことはアタシに任せてアンタは寝てていいよ」
ゴドー「何を言うか!久方ぶりの客だというに!」
ユフィ「あのさ、本音言うとね」
ゴドー「なんじゃ?」

ユフィは小さな声でゴドーの耳にささやいた。

ユフィ「邪魔
ゴドー「なっなんじゃと!こりゃ!ちゃんとウータイの婦女子としてふさわしく節度をもったつき合いをするのじゃぞ!」
ユフィ「何想像してんだよ!全く。そんなにかしこまらなくてもいいってば。クラウド!こっちこっち〜」



ユフィ「さ、ここがあんたの部屋だよ」
クラウド「…さすがウータイだな、変わったものがいっぱいある」
ユフィ「特にウチは忍者屋敷だからね。隠し扉に巻き込まれないよう注意しなよ。そんじゃアタシは着替えてくるからちょっと待ってて」
クラウド「その格好で行くんじゃないのか?」
ユフィ「へっへ〜見てからのお楽しみ!」



ユフィ「お待たせ!」
クラウド「ユフィ!?その格好は!」
ユフィ「じゃーん!ユフィちゃんの浴衣姿でーす!」
クラウド「…可愛いな…」
ユフィ「えっ?」
クラウド「あ、いや、似合ってるよ」
ユフィ「サンキュー!さ、行こう!お祭りお祭り!」



クラウドとユフィはウータイの夏祭りに行った。様々な屋台が並ぶ。たこ焼きにクレープにチョコバナナ。ユフィは欲しいものを片っ端から買って食べていった。

ユフィ「うっはー!やっぱ祭りはいいねえ。アタシ、屋台の食べ物を食べながらお祭り見てまわるのがいつも楽しみなんだ!」
クラウド「…フ」

ユフィはおいしいものがたくさん食べれてほくほく顔である。それをクラウドは暖かい目で見ていた。ユフィの楽しそうな顔を見ていると、つい顔がほころんでしまう。

ユフィ「クラウド!今度は金魚すくいやろうよ!家の金魚鉢に新しい金魚入れるんだ!」
クラウド「そうか。俺もやってみよう」

2人は金魚すくいに挑戦するが、なかなかうまくいかない。

ユフィ「コラコラ!逃げるな――あっ!チックショー!」
クラウド「なんとか3匹すくったぞ」
ユフィ「チェッ、これくらいにしとくか」

クラウド「それにしてもウータイの夏は暑いな」
ユフィ「他の地域と比べて湿気が多いからね。蒸し暑いんだよ。そうだ!かき氷でも食べない?」
クラウド「ウータイでは氷を食べる習慣があるのか」
ユフィ「ああ、そうだよ。冷たくておいしいよ」

明るく無邪気に祭りを楽しむユフィを見ていると、クラウドは癒されるような気がした。こっちまで楽しい気分になってくる。
最後は花火を見た。様々な種類の花火が様々な色合いで打ち上げられる。それは、かつてゴールドソーサーで見たものよりも美しかった。

ユフィ「…なんか、こうしてると前にゴールドソーサーの観覧車の中で見た花火を思い出すね。覚えてるかい?古代種の神殿に行く前の夜だよ」
クラウド「ああ、もちろんだ。2人で夜にこっそり抜け出して、劇に参加したり観覧車から花火を見たりしたな」
ユフィ「うん、それでさ………こんなこともあったの覚えてるかい?」

ユフィはクラウドの頬にそっとキスをした。

クラウド「……………」
ユフィ「………なんとか言えよ。だけど前みたいに『ナントカ』ってのは無しだからな」
クラウド「……………」
ユフィ「ホラ!なんとか言えよ!」
クラウド「………困ったな」
ユフィ「なんだよ!」
クラウド「さあ、そろそろ帰るぞ!」
ユフィ「あーっ!逃げるな!コラ!」



ユフィ「クラウド〜せっかくだからかめ道楽で飲んでかない?」
クラウド「酔っ払ったおまえのお守はごめんだぞ」
ユフィ「だ〜いじょ〜ぶだって!こう見えてもアタシ酒強いんだよ〜」
クラウド「じゃあまた今度な。親父さんが心配しているだろう」

そう言うと、クラウドはユフィの頭に優しく手を置いた。ユフィはぶーぶー言いながらも家に帰ることにした。
満月の夜、夏祭りの帰り道。月明かりが2人を照らす。





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