祭りから帰った夜、クラウドはあてがわれた部屋でなかなか寝付けずにいた。
普段ベッドで寝ているせいかもしれない。布団で寝るのはなんだか違和感がある。
天井を見上げながら、クラウドは祭りでのユフィの楽しそうな笑顔を思い出した。あの笑顔が見れただけでもわざわざウータイまで着た甲斐があるというものだ。クラウド自身も思わず笑みがこぼれてくる。
そうして祭りの余韻に浸っていると、誰かがこちらへ向かってくる気配がした。

クラウド「…!?誰だ?」


隙ありーーーーーっ!!!!!


クラウドは慌てて剣を取った。

ガキーン

剣の合わさる音が鳴り響く。

「…ぬう。若造、なかなかやりおるな」
クラウド「あんたは…ゴドー!?一体何のつもりだ?」
ゴドー「言わなくてもわかっておろう。ワシはユフィの父親じゃ。そう簡単に娘はやれんぞ」
クラウド「ちょっと待て。何か勘違いしてないか?」
ゴドー「しとらんわい!クラウド、お主、当然ユフィのことについて責任を取る気はあるのだろう?」
クラウド「責任?」
ゴドー「あまりとぼけるといかな寛大なワシでも本気で怒るぞ!お主とユフィは恋人同士、ユフィがおまえに口づけをしたのを見た者は何人もおるぞ!」
クラウド「そ、それは…」
ゴドー「もちろん責任をとってユフィと結婚してくれるな?」
クラウド「ま、待て!たったそれだけのことでか?」
ゴドー「それだけのことで十分できちゃった婚は成立するわい!」
クラウド「…ゴドー…あんた、できちゃった婚の意味わかってるのか?」
ゴドー「もちろん!男女が恋人という関係になったことを『できてる』というだろう?つまりできちゃった婚とは恋人という関係ができちゃったことであろう?」
クラウド(………本当は子供ができたことを指すんだが…)

しかしそんなことを言えば火に油を注ぐようなものだ。クラウドは余計なことは言わずにおいた。

ゴドー「ええい!とにかくワシと勝負しろ!でなければユフィはやらん!」

クラウドは何と言い返せばよいものか困っていた。ゴドーはクラウドとユフィが付き合っているのだと思っているのだ。一緒に祭りに行ったりしたものだからそう思われても致し方ないところである。ゴドーは父親としてそう簡単に娘との仲を認めるわけにはいかないのだろう。
クラウドは困惑した。ユフィとは正式に付き合っているわけではない。本当はどう思っているのかはまだ何も話していない。しかし、ゴドーとの決闘は受けざるを得ないであろう。ユフィとは何でもないと言ってもキスを目撃されているからには申し開きができない。遊びて付き合っているなどと思われようものならとんでもない災難が待っている。仮にユフィとは本気で好き合っていると言ったとしても、やはりそう簡単に娘との仲を認めるわけにはいかないといって、決闘は避けられない。クラウドがそうやって逡巡していると…

ゴドー「何をしておる!もたもたしているならワシから行くぞ!総!変!化!招!来……ッ!!」

すると、ゴドーはかつてユフィと一騎打ちした時の姿に変わった。

メリメリメリ

巨大化したゴドーは天井を突き抜け、ガラガラと瓦が落ちてくる。。

クラウド「おいおい!ゴドー!?家がメチャクチャじゃないか?」
ゴドー「構わ〜ん!娘の為じゃ。では行くぞ!喰らえ!親父の鉄拳じゃああああーーー!!!!!」


超究武神覇斬!!!!!


勝負は一瞬で決まった。





ゴドー「…ぐう…見事じゃ…お主に我がキサラギ家の婿養子となる資格を認めよう」
クラウド「何だって?」
ゴドー「恥ずかしがることはない。一般的には結婚は嫁入りが多いが、中には婿養子に迎えている家もちゃんとある」
クラウド「ちょっと待ってくれ」
ゴドー「婿養子といえば『ヒモ』の様なイメージがあるかもしれんから不安なのはわかる。だがキサラギ家ではお主にもちゃんと忍術の修業をしてもらうぞ!そして後世に伝えていってもらう」
クラウド「頼むから俺の話も聞いてくれ」
ゴドー「もちろんお主のやりたいように仕事についても構わんぞ。それはおいおいに相談に応じよう」
クラウド「…ゴドー…」
ゴドー「キサラギ家の跡取りはユフィだけだ。いつかは誰か婿養子を迎えねばならんと思っておったがユフィはあの通りじゃじゃ馬でな。どうしたものかと悩んでおったがお主の様な精魂逞しい若者が養子に来てくれるのなら安泰だ」

その時、ユフィが眠そうに眼をこすりながらやってきた。

ユフィ「騒がしいなあ。さっきから一体何やってんの――ってなんじゃこりゃあ!?」

ユフィはメチャクチャになったクラウドの部屋を見た。

ユフィ「オヤジ!?何考えてるんだよ!家ぶっ壊してどーすんだよっ!」
ゴドー「黙れ、ユフィ。これは男同士の話だ」
ユフィ「何だよ、それ!」
クラウド「ところでゴドー。俺は朝までどこで寝ればいいんだ?」
ゴドー「心配するな。この家は広いからな。普段使っていない部屋くらいいくらでもある。この部屋も後日修理するから大丈夫だ」
クラウド「そういう問題か…?」





――翌朝。

ユフィ「クラウドおっはよー。夕べはごめんよ。オヤジがアンタと腕試ししたかったみたいでさあ」
クラウド「……………ああ……………別に……………気にしていない……………」
ユフィ「朝ごはんできてるよー!アタシが作ったんだ!」
クラウド「親父さんは?」
ユフィ「ぐったりして寝てるよ。まったくあのクソ親父」

クラウドはユフィの作ったご飯を食べた。

ユフィ「どう?おいしい?」
クラウド「ああ」
ユフィ「ホント?ティファの料理よりも?」
クラウド「!?いや、それは…」
ユフィ「別にいいよーだ!どうせクラウドはティファの料理の方がいいでしょ!毎日食べてるもんね!」
クラウド「いや…おまえの料理も……悪くないな」
ユフィ「そう?あ!そうだ!お代わりは?」
クラウド「もらおうか」
ユフィ「はい、どーぞ!」
クラウド「……………」
ユフィ「なんかこーしてるとアタシ達夫婦みたいだね」
クラウド「ゴホッゴホッ!………いきなり何を言い出すんだ」
ユフィ「アハハッ!じょーだんじょーだん!





ユフィ「昨日は楽しかったよ」
クラウド「ああ、俺もだ」
ユフィ「ウータイの近くに来たらまた遊びに来いよな!別に用事がなくてもいいからさ!遠慮いらないよ!」
クラウド「ああ、そうだな。そうしよう」
ユフィ「じゃあな〜!」

ユフィに見送られながら、クラウドはエッジの街へと帰って行った。





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