ユフィは先日クラウドとティファの家に遊びに行った時のことを考えていた。
ティファは相変わらず優しくて料理もおいしかった。クラウドもユフィのわがままに呆れながらも優しくしてくれた。
しかし夫婦同然に見えるのは表面的な部分だけである。2人の部屋は別々で完全に別れており、居間などを共有して一緒に暮らしているだけで2人の生活は独立しているように感じられた。そしてティファの言った通り、クラウドとティファの間柄には恋人同士がやるようなことは全くやっていない。抱擁も口づけもなしだ。

ユフィ「クラウドはティファのことどう思ってるのかなあ…?そんでアタシのことは…」





それからしばらく後、クラウドは1人悩んでいた。ゴドーからユフィの留守中にウータイへ呼び出され、ユフィとの縁談をもちかけられたのである。それに対しきちんと返事をするには、今までおざなりにしてきたことに正面から向き合わなければならない。今まではただ流されるままに生きてきた。己の想いを表に出す勇気もなく、自分から事態を発展させようともせず。しかしそれでは済まなくなってきた。自分が動かなくても周りが動かざるを得ない状況を作ってしまった。それに対しはっきりした態度を取れない自分を情けないと思った。しかし今は決断の時である。ゴドーに対しても、ユフィに対しても、そしてティファに対しても。



クラウド「………ティファ」
ティファ「なあに?クラウド」
クラウド「すまない。話があるんだ」

クラウドの表情は暗かった。何か話があるようだが、ひどく言いづらそうである。ティファは嫌な予感がした。

ティファ「何?話って」
クラウド「俺はこの家から出ていこうと思う」
ティファ「!?どうして?私、何かやった?何かあなたに嫌われるようなことをした?」
クラウド「そうじゃないんだ。…ただ…1人になりたくて…すまない。別れよう」
ティファ「そ、そんな!どういうことなの?はっきり説明して!」
クラウド「…君から一緒に暮らしたいと言われた時、断る気にはなれなかった…でもやっぱりティファとはそういう関係にはなれないと思うんだ」
ティファ「エアリスね!まだ彼女のこと忘れられないの?」
クラウド「エアリス?何を言ってるんだ」

クラウドは驚いて否定した。それを聞いてティファはさらに驚きを隠せない。

ティファ「違うの?てっきりエアリスのこと、まだ忘れられないんだとばかり思っていたわ」
クラウド「もちろんエアリスのことを忘れたりはしないさ。だけどそれはそんな意味じゃない!」
ティファ「そんなに強く否定するなんて…」
クラウド「……ティファ、すまない。君にはどれだけ謝っても足りないくらいだ。一緒に暮らしたりして期待させてしまった……これ以上ここにいるのはお互いの為にならない。俺はここから出ていく。だからティファも誰か他にいい相手をみつけてくれ」
ティファ「そんなこと言わずにずっとここにいてよ!ねえ、お願い!」
クラウド「ティファ…すまない…期待させてごめん…君の気持には応えられない」

それを聞いたティファの目から涙が溢れ出した。

ティファ「…なんとなくわかってたわ…だってあなた恋人らしいこと何もしてくれないもの…だけど…いつかは、って思ってたのに…」

泣き崩れるティファを見て罪悪感に苛まれながら、クラウドはエッジの街を出ていった。





クラウドと別れた後、ティファはずっと店を閉めたまま、泣き崩れていた。失恋の痛みは深い。ティファの心はひたすら悲しみに包まれていた。店の常連客達が心配してポストにメッセージカードや手紙を入れていってくれるが、何も手につかない状態だった。
数日後、リーブが訪ねてきた。

リーブ「ティファさん、お久しぶりです。具合はどうですか?みんな心配していますよ」
ティファ「リーブさん…私、失恋しちゃったの」
リーブ「失恋?クラウドさんのことですか?」
ティファ「ええ、そうよ。ふられちゃったの」
リーブ「それはそれは…誰か他に好きな女性がいるのでしょうか?」
ティファ「エアリスのことではないみたいなの。はっきり否定したもの」
リーブ「ふ〜む…頃あいを見て私が事情を聞きに行きましょう」
ティファ「私とはそういう関係にはなれないって。私の気持ちには応えられないって言われちゃった。私、クラウドにふさわしい女じゃなかったの」
リーブ「そんなに気を落とさないで下さい。ティファさんは美人でとても優しい人です。きっと他にいい人が見つかりますよ」
ティファ「ごめんなさい。今はとてもそんなことを考える気分にはなれないわ…」





「おい、聞いたかよ。ティファちゃんと一緒に暮らしてたあのクラウドって野郎、ティファちゃんをふって出ていったらしいぜ」
「俺達のティファちゃんをふるとは許せねえヤツだ!今度会ったらとっちめてやる!」
「逆にいえば俺達にもチャンスがきたってわけだけどよ」
「あんなに美人で可愛いティファちゃんをふるなんて信じらんねえな。あれ以上の美女なんて他にいないぜ」
「こうなったら俺達でティファちゃんを慰めてやるんだ!そしてティファちゃんに振り向いてもらえた幸せ者がティファちゃんと結婚する。お互い抜け駆けはなしだぜ」
「おう!」

ティファを想う男達はこぞっていきり立つ。





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