プルルルル………   プルルルル………

携帯が鳴った。ユフィからである。

クラウド「…もしもし…」
ユフィ「クラウド!?一体どうしたのさ?ティファと別れたって聞いたよ」
クラウド「…ああ…」
ユフィ「バレットはカンカンに怒ってるよ。今度会ったら1発ぶん殴るって」
クラウド「当然の仕打ちだな」
ユフィ「そうじゃなくて!一体どうしたんだよ!他のみんなが電話しても出ないって言うしさ!」
クラウド「……………」
ユフィ「クラウド?今どこにいるの?」
クラウド「コスタ・デル・ソルの俺の別荘だ」
ユフィ「じゃあ今からそっちへ行くよ」
クラウド「…ああ…」

ティファと別れて以来、クラウドはコスタ・デル・ソルの別荘にいた。他の観光客のようにリゾートを楽しむわけでもなく、ただ別荘で1人無為に過ごしていた。エッジの街を出て以来、どこに住むかだま決めていない。普通なら一時的にアパートでも借りるところだが、別荘を持っているクラウドにはわざわざ新しい住まいを借りるまでもない。コスタ・デル・ソルのクラウド別荘。半分気まぐれで買ったものだが、1人になりたい時には絶好の場所である。



数日後、ユフィが訪ねてきた。

ユフィ「クラウド!」
クラウド「…ユ、ユフィ」
ユフィ「なんだよ一体どうしたってんだよ!ティファと何かあったワケ?」
クラウド「いや、そうじゃない。ただ、俺はティファの気持ちに応えてやることができない。それなのに一緒に暮らし続けることはできない。だから別れたんだ」
ユフィ「ふーん、つまりティファとの関係にはっきりとけりをつけたってワケだね」
クラウド「ああ…」

ユフィ「それで?こんなところで1人こもりっきりで何してるわけ?」
クラウド「しばらく1人になりたかったんだ。気持ちの整理もつけたかったし」
ユフィ「ふーん」
クラウド「…なあ、ユフィ」
ユフィ「ん?」
クラウド「俺は最低な男だと思うか?ティファと一緒に暮らしたりして、ティファに期待させてしまった。その上で別れるなんて…」

ユフィ「そんなこと言ってもクラウドがティファに対してどうしても気持ちが向かないならしょうがないじゃん。前からティファがアンタに気があるのはみんな知ってたことだけどサ、それでアンタもできたらティファの気持ちに応えてやりたいと思って、一緒に暮らしてみたんでしょ?試しに一緒に暮らしてみて、それでやっぱりダメだと判断して別れたんだったら別におかしいことじゃないよ。そりゃティファは傷ついただろうけど、イマイチ気の向かない相手とは結婚できないっていうのももっともだしサ」
クラウド「ユフィ…おまえは俺の味方をしてくれるのか…」
ユフィ「味方っていうか、別におかしいこととか非難されるようなこととは思わないっていうだけだよ」
クラウド「…ありが…とう…」
ユフィ「それでこんなリゾート地なのに1人で別荘にこもって暗~くなってたワケ?アンタらしいといえばアンタらしいけど…そんなことしてても始まらないよ!人間前向きに生きなきゃね!さ!せっかくだから海にでも行って遊ぼうよ!アタシ水着持って来たんだ!」

ユフィはクラウドを外に引っ張り出した。



クラウドとユフィは水着に着替えてコスタ・デル・ソルの海を満喫した。共に海に潜って貝を取ったり、サーフィンで競争したり。クラウドはユフィに癒されているような気分になった。自分はとてもひどいことをした最低な男だと沈んでいたところに明るい光を差し込んでくれたのはユフィである。いつまでもぐだぐだ考えず、さっぱりした思い切りのいいユフィの性格が羨ましいと思った。



ユフィ「あー泳いだ泳いだ!遊び過ぎてくたびれたよ。クラウド、ビールちょうだい!」
クラウド「おまえはまだ子供だろ?ほら、ジュースだ」
ユフィ「固いコト言うなって!」

ユフィはクラウドのビールをもぎとった。

クラウド「ユフィ!」
ユフィ「ぷはーっ!泳いで遊び疲れた後の一杯は最高だね!」
クラウド「全く、おまえという奴は…」

ユフィはビールを一気飲みすると、クラウドのベッドにうつぶせになった。

クラウド「ユフィ!」
ユフィ「あ~いい気持ち~このまま寝ようかな~」
クラウド「……………」
ユフィ「クラウドもこっちきなよ~」
クラウド「あ…ユフィ…」

酒が入って酔っているユフィはふざけてクラウドにじゃれついてくる。そうしているうちに、ユフィはいきなりクラウドに強く抱きしめられた。

ユフィ「!?クラウド?」
クラウド「…ユフィ……………好きだ…」
ユフィ「…え…?」

ユフィは最初何を言われたのかわからなかった。気がついた時にはキスをされていた。あまりに突然のことに驚いたが、ユフィはそのままクラウドの口づけを受けて大人しくしていた。クラウドからの初めてのキス。深い、愛情のこもったキス。頭の中がぼうっとして何も考えられなくなる。

ユフィ「クラウド…」
クラウド「ユフィ…」
ユフィ「…!?待って!まだ心の準備が!」
クラウド「…え?」

クラウドは自分のベッドの上でユフィを抱きしめていることに気付いた。

クラウド「!?す、すまない!そ、そんなつもりじゃないんだ!」

クラウドは慌ててユフィを離すと背を向けた。

ユフィ「クラウド、アンタ…」
クラウド「本当にすまない。こんな形で告白するなんて、やっぱり俺は最低な男だ」
ユフィ「そんなことは別に気にしてないけど、ねえ、クラウド。もう1度聞かせてよ。アタシのことどう思ってるの?」
クラウド「…好きだ…」
ユフィ「…ホントに?」
クラウド「ああ…」
ユフィ「信じられない…ずっとアタシの片想いだと思ってたのに…」
クラウド「何だって!?」

クラウドは驚いて振り向いた。

ユフィ「アタシもクラウドのことが好きだよ」

ユフィはまっすぐにクラウドをみつめてくる。瞳と瞳がぶつかり合う。相手の瞳の中に自分の姿を見つける。クラウドとユフィはしばらく見つめ合ったままだった。

クラウド「ユフィ…」
ユフィ「クラウド…いつからアタシのこと…」
クラウド「ずっと前から好きだったさ。初めて会った時から」
ユフィ「え?」
クラウド「ずっと…ずっとおまえのことが好きだった。だけどエアリスやティファの気持ちにも気づいていた…俺はおまえに告白する勇気もなくずっと悩んでいた………エアリスが…ああなった後も……ずっとおまえとティファとの間で悩んでいた………」
ユフィ「それで、ティファの気持にも応えてやりたいって思いがあって、一旦一緒に暮らしてみて、その上でアタシを選んでくれたってわけ?」
クラウド「あ、ああ。ティファにはひどいことをしてしまった。後悔している。だけど、俺はやっぱりユフィが…おまえが好きなんだ」
ユフィ「ひどいことっていっても…誰だって自分が好きな相手と一緒にいたいよ。アタシだってティファには悪いけどクラウドと一緒にいたいもん」
クラウド「ユフィ…ありがとう…あ…その…良かったら…こんな俺で嫌じゃなきゃ…俺と付き合ってくれないか…?け…結婚を前提として…」

ユフィは目をパチパチとさせた。

ユフィ「…は…?け、結婚って…アンタ………本気なんだね」
クラウド「もちろんだ。ゴドーにもそろそろ返事をしなくちゃいけないしな」
ユフィ「オヤジがなんだって?」
クラウド「いや、こっちの話だ」
ユフィ「ふ~ん、まあいいや。いいよ、つき合ったげる!ね!そんじゃクラウド、今日は一緒に寝よ~?」
クラウド「な、何を言ってるんだ!」

クラウドは真っ赤になり、飛びついてきたユフィから慌てて離れた。

ユフィ「だって結婚を前提にしてるんだろ?」
クラウド「け、結婚するまでは部屋は別々だ!キス以上のことはしないからな!」

クラウドはとても恥ずかしくなった。顔は耳朶まで真っ赤である。一世一代の告白をして頬が完全に紅潮している。告白というのはなんて恥ずかしい行為なのだろう。だが幸い、自分の想いは受け止めてもらえたようだ。
ユフィの方は嬉しくて笑いが止まらない。



こうして、クラウドとユフィはつきあうことになったのだった。





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