スコールはサイファーからの果たし状を眺めていた。リノアとのデートから帰ったばかりである。魔女に操られたサイファーには散々な目に遭った。特に拷問の時は絶対に仕返ししてやると内心誓ったものだった。魔女アルティミシアを倒してからはバラムガーデンのSeeDのリーダーとしての日々に忙しく、サイファーに構っている暇はなかった。そのサイファーからの唐突な果たし状。久しぶりに会うかと思えばこれである。サイファーとは未だ嘗て友好的に交流したためしがない。魔女に操られていた時と違い正気に戻ったはずだが、今度は一体何を口実に決闘をしようというのか。逃げるわけにはいかない。逃げる理由もない。スコールは果たし状に書いてある指定の場所に向かった。そこにいたのは怒りを燃え上がらせたサイファーの姿だった。

サイファー「よう、スコール。久しぶりだな」
スコール「ああ」
サイファー「俺は改めておまえという奴が許せなくなったぜ」
スコール「何のことだ?」
サイファー「おまえ…おまえがラグナ様の息子だって?」
スコール(ラグナ様?)
セルフィ「あーっ!見つけた!スコール!サイファー!」

見るとセルフィがこちらに向かって駆けてくる。あとにはアーヴァイン、キスティス、ゼル、リノアが続く。一体どうしたのかと思ったスコールだが、セルフィ達が事情を説明した。サイファーがラグナの映画のファンであること。ラグナ様ページにも毎日書き込みをするほど熱狂的であることを。

スコール(サイファーがラグナのファン!?)
サイファー「まさかおまえがあのラグナ様の息子だなんてな。許せねえぜ。俺があんなに憧れているラグナ様を父親に持つなんて許せねえ」
スコール「サイファー、あ、あの人の一体どこにそんなに憧れてるんだ?」
サイファー「全てだ!整ったルックス!魔女の騎士として戦う雄姿!聞けば今じゃエスタの大統領だっていうじゃねえか!やっぱラグナ様はただ者じゃねえ。人間としての器が俺達とは違うんだ!」

サイファー「ラグナ様は 俺の 最高の アイドルだあああーーーー!!!!!」

スコール「…………………………」

一瞬スコールの頭をよぎったのは、もしラグナが「魔女の騎士」の映画に出演しなかったら、サイファーがあの映画を見なかったら、サイファーは魔女に操られることもなかったのではないかということだった。

サイファー「そんな憧れのラグナ様がおまえの父親だなんて俺は絶対許せねえ。というわけで決闘だ!」
スコール「意味不明なんだが。俺が勝っても負けても親子の関係が変わるわけでもない」
サイファー「だから余計許せねえんだよ!親子の縁切れおまえらァ!」
スコール「そうしたくなる時もあるがあの人の方がそうはさせてくれないんだ」
サイファー「なっ…何だと!せっかくあのラグナ様が差し伸べてくれた手を振り払うってのか!コラァ!」
スコール「おまえは俺があの人の息子であることが許せないんだろ?」
サイファー「ああ、そうだとも!あんな人が俺の父親だったらどんなにいいだろう…」
スコール「本当にそう思うのか?」
サイファー「なのに何でよりにもよっておまえの父親なんだよ!許せねえ!」

一方、

セルフィ「スコール、ラグナ様のこと『あの人』って呼んでるね〜」
アーヴァイン「まだ気持ちの整理がついてないんじゃないのかなあ」
キスティス「スコールもまだ年頃だものね。なかなか『父さん』とは呼べないわね」
ゼル「いろいろあったからな」
リノア「私はスコールとラグナさんには仲良くして欲しいわ」

スコールとラグナ、そしてサイファーの意外な関係は意味不明の決闘を呼び、ここにスコールとサイファーの戦いが始まったのであった。

サイファー「見ろ!スコール!俺のガンブレードの構えを!『魔女の騎士』に出ていたラグナ様と同じだろう?」
スコール「ラグナの真似だったのか…」
サイファー「コラ!ラグナ様と呼べ!『様』をつけろ!」
スコール(こいつちょっとヤバくないか?)

ラグナを必要以上に称える言葉を口走りながら鬼気迫る表情で向かってくるサイファーをスコールは内心げんなりしながら相手をした。負けるわけにはいかない。リノアも見ている。

サイファー「喰らえ!俺の必殺『鬼斬り!』」
セルフィ「ねえねえ、サイファー!」
サイファー「何だセルフィ、邪魔するな!」
セルフィ「前から思ってたんだけどさ〜その『鬼斬り』って必殺技の名前、変だよね〜だっておにぎりだよ?おむすびみたいじゃん」

「鬼斬り」→平仮名にすると「おにぎり」=つまりおむすび?

アーヴァイン「セフィ!それは言っちゃいけないよ〜」
セルフィ「だって〜」

サイファーは1000の精神ダメージを受けた

サイファー「…くっ!カッコイイ名前だと思って使ってたのに…」

セルフィのナイスツッコミによってサイファーは精神ダメージを受けた。「鬼斬り」。自分ではカッコイイネーミングだと思っていただけにショックである。

その後スコールとサイファーの決闘は続く。五分五分の戦いを繰り広げる彼らは相打ちとなるかのように見えた。その時――

「スコール!お父さんのラグナ大統領が来てるわよ〜」

見るとシュウがこちらに来ていた。その時に隙を見せたのはスコールではなくサイファーだった。

サイファー「ラグナ様がここに!?」

このチャンスを逃すスコールではない。一気にサイファーに向かって斬りかかる。


ぎにゃぁぁぁぁ!!


ラグナ「お〜い、どうしたんだ〜?今なんか変な叫び声が聞こえたぞ〜」

今のが憧れのラグナの声だと認識する余裕もなく、サイファーの意識はブラックアウトした。





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