ジャミル達と合流したグレイとクローディアはメルビルにいた。傷心のクローディアに代わってグレイが、クローディアの育ての親のオウルが亡くなったこと。オウルは森の魔女で、彼女が亡くなったのでブラウとシルベンともお別れなのだということを話した。

アイシャ「そっかあ。熊さん達とはもう遊べないんだね」
グレイ「仕方がない。あきらめるんだ」
シフ「しかしそれは結局あんたにとっては良かったんじゃないのかい?大人数で行動すること嫌がってたしさ」
グレイ「今でも7人だ。十分多い」
シフ「6人も7人もそう変わらないよ。ま、そんなに気にするんじゃないよ」

グレイはクローディアの出生の秘密については黙ったままだった。




ジャミル「しっかしなあ、グレイとクローディア、あの2人デキてんの?まるで恋人同士みたいだぜ」
シフ「だとしたらどうする?」
ジャミル「えっ?べ、別にどうもしねえよ。けどさ、何か気になるじゃん」
バーバラ「なんてったって美男美女だしねえ。絵に描いたように綺麗なカップルじゃん」
シフ「ま、みんなで暖かく見守ってやろうじゃないか」

そんな風に7人がメルビルでくつろいでいた時にその知らせは入った。

『皇帝陛下  病に倒る!』

兵士「皇帝陛下がご病気なのだ。治療法を見つけたものには莫大な恩賞があるぞ!」


ジャミル「莫大な恩賞だってよ!こりゃあやらずにはいられないぜ――って、どうしたんだ?クローディア!」

クローディアは急に取り乱して走って行ってしまった。グレイが慌てて後を追いかける。

クローディア「お父様が……」
グレイ「クローディア、しっかりしろ!」
クローディア「グレイ…私は宮廷になんて行きたくないわ。たとえお父様の側にいられようとも。でも…お父様がご病気だと知って放ってはおけない…お見舞いにでも行くべきなのかしら…」
グレイ「さっきの兵士の話からすると、治療法が見つからないようだな。だから莫大な恩賞までかけて探しているのだろう。クローディア、皇帝を助けたければジャミルの言う通り、治療法を探そう。そして父親を助けよう」
クローディア「…グレイ…わかったわ」

というわけで、グレイ、クローディア、ジャミル、シフ、アイシャ、アルベルト、バーバラの7人は皇帝の病の治療法を探すことになったのだった。

グレイ「さて、まずは情報収集だな」
クローディア「…ネビルのところは…イヤ…」
グレイ「そうか…神殿でも皇帝の病が治るよう祈祷を行っているそうだ。神殿に行ってみるか」

クローディアは自分が皇女だとわかった以上、ネビルには会いたくないようだ。エロール神殿に行くと神官のソフィアから皇帝の病について聞くことができた。病は原因不明で「身体の力を吸い取られていくような感じがするそうである。そして病気ではなくて何者かの呪いかもしれないということであった。

ジャミル「呪い…ねえ。いかにも迷信とか信じそうな神官の言いそうなことだけど、呪いで人を殺すことなんてできるのか?」
アルベルト「呪いと言えば、僕、ローバーンに捕まった時、誰かが呪いをかけているような不気味な声を聞いたよ」
グレイ「ローバーン公…皇帝の存在を1番邪魔だと思っている人物が…まさか…」
アルベルト「もしかしたら…ね。サルーインの黒き呪いとか聞こえてきたけれど」
グレイ「呪い…か。図書館で少し調べてみるか?」
クローディア「そうね。手掛かりがない以上いろんなところで調べてみないとね」

7人は図書館へ向かった。

ジャミル「図書館なんて俺の柄じゃないぜ…ん?デステニィストーンのある場所?おおー!お宝の場所まで載ってるのかー!」
アルベルト「呪いについて書いている本を見つけました。デステニィストーンの1つ、ムーンストーンがあれば解けるそうです」
ジャミル「なんだって?じゃあお宝を手に入れられて、しかも皇帝様の莫大な恩賞までGet!?やりぃ〜!」
グレイ「ジャミル、ムーンストーンはどこにあると書いてある?」
ジャミル「えーっと、二つの月の神殿、だってよ。お宝の場所っていっても曖昧な表現しかしてないぜ、この本」
グレイ「伝説のお宝を手に入れるのなら謎解きも必要だ」
ジャミル「そうだな!腕が鳴るぜ〜!」
クローディア「二つの月の神殿…月の神といえばエリスとアムトだわ」
ジャミル「アムトの神殿は北エスタミルにあるとして…エリスはどこに行けばいいんだ?」
クローディア「エリスは森が好きなの。でも私、今まで一度もエリスに会ったことがないわ」
シフ「待った!肝心の二つの月の神殿がどこにあるのかわからないじゃないか。もっと情報を集めるんだよ」
アイシャ「他にも難しい言葉の本があるよ。これを解読できるような本があればもっと詳しいことがわかるかも」
アルベルト「う〜ん、これぐらい難しいと、古文書とかを入手しないと無理だな」
バーバラ「古文書ねえ…どこにあるんだろう?」
グレイ「とりあえず北エスタミルのアムト神殿へ行って何か知らないか聞いてみるか」

グレイ達は船で北エスタミルへ向かった。

ジャミル「アムトの神殿ねえ…あそこでは罰当たりなことが行われてたからなあ…」
アイシャ「…そうだね」
グレイ「どうしたんだ、2人共」
ジャミル「いや、何でもねえ」

アムト神殿で情報収集した結果、二つの月の神殿と呼ばれるところはアロン島にあるという話だった。そしてその神殿に入る為にはアムトのシンボルが必要だとのこと。エリスのシンボルも必要なのではないかとの問いに、神官は、エリスはシリルと仲がよく、迷いの森がシリルに1番近い場所だとのことだった。

グレイ「迷いの森か…」
クローディア「オウルは何かあったらあの大きな木に聞けと言っていたわ。エリスについて何か知っているかもしれない」
ジャミル「またバファルに戻るのか…って言っても肝心の神殿がアロン島にあるんじゃあしょうがないな」
グレイ「今夜はここに泊まろう」

グレイ達は北エスタミルの宿をとった。そしてパブでくつろいでいた。ある程度手掛かりは得られたのだ。デステニィストーンまで、皇帝の病を治すまで、あと少しだ。
その時、カウンターでヤケ酒を飲んでいた男がグラスを割った。

男「ちっくしょー!せっかくお宝が載っている古文書を手に入れたってのにさっぱりちんぷんかんぷんだ!大金はたいて買ったのによー!」
グレイ「古文書?」
ジャミル「お宝についてだいぶ情報は集まったけど…どうする?あのおっさんが持ってるのがムーンストーンの場所が書いてある古文書とは限らないぜ」
グレイ「だが他の宝の場所も書いてあるかもしれない」
バーバラ「どうする?誰が声かける?」
グレイ「俺が行く」

グレイは男の隣に座り、しばらく何か話していた。すると男は嬉しそうにグレイについてきた。

ホーク「よお!俺はキャプテンホーク!この古文書はジャングルの東にある古い神殿の秘密が書いてあるんだ。聞くところによると、おまえ達古文書なしでかなりいい線いってるみたいじゃねえか。お宝の勘が働く奴は好きだぜ。俺も一緒に連れてってくれよ」
シフ「いいのかい?グレイ。大人数は好きじゃないんだろ?」
グレイ「しかし腕はたちそうだからな」
ホーク「よーし、今夜はパーっと行くぞー!」
ジャミル「俺も飲む!」
ホーク「おう!俺のおごりだ、飲め!」

かくして、8人目の仲間がそろった。





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