グレイ達一行はとうとう8人になった。
グレイ、クローディア、ジャミル、シフ、ホーク、アイシャ、アルベルト、バーバラの8人は、デステニィストーンの1つ、ムーンストーンを入手する為、そしてバファル皇帝の病を治す為、再びバファルへと向かった。古文書を解読し、アムトのシンボルと対になるエリスのシンボルを入手する為、迷いの森へと進む一行。

クローディア「…またここにくることになるなんて…」

クローディアの案内で8人は森の奥の大木がある所まで来た。ブラウとシルベンがクローディアに懐いてくる。

クローディア「ブラウ、シルベン、久しぶりね。元気にしてた?」
アイシャ「熊さん、元気?」

グレイは大木の根元に立った。死んだオウルが何かあればこの木に聞けと言ったそうである。

グレイ「アロン島の神殿に入る為にエリスのシンボルが必要なんだ。なんとかしてくれ!」
シリル「よく来たな、グレイよ。私は森の神シリルだ。何故神殿に行く必要がある?」
グレイ「バファル皇帝を救う為だ」
シリル「では夜まで待て!」

8人は夜を待った。クローディアとアイシャはブラウとシルベンと遊んでいる。シルベンの様子がいつもと違うのに、クローディアは気づいたが、自分はもう迷いの森の人間ではないからだと思っていた。
そして夜になると、シルベンが大木の下に現れた。

シルベン「クローディア……やはりあなたの道はここへ続いていたのね。あなただけはデステニィストーンに引き寄せられることがないようにと願っていたのですが……」
クローディア「シルベン、あなたが……エリス……」
エリス「私はあなたがこの森で一生穏やかに暮らしていければと望んでいました……しかしデステニィストーンはあなたの運命も引き寄せて絡みあわせていくようです……ああ、やはりエロールはあんなものを作るべきではなかったわ!クローディア、あなたにこのシンボルを授けますが、あなたがデステニィストーンのくびきから逃れ、その生をまっとうすることを祈ります」
クローディア「待って、シルベン…エリス!」

エリスの姿は消えた。

アイシャ「あの狼さんがエリスだったなんて…」
グレイ「クローディア、大丈夫か?」
クローディア「え、ええ…」
ジャミル「しかし気になること言ってたな、俺達はデステニィストーンに引き寄せられたのか?」
シフ「デステニィストーン…運命の石…」
ホーク「俺達が出会ったのは運命だとでもいうのか?」
アルベルト「そうかもしれませんね」
バーバラ「待ってよ、エリスは最後にもっと気になることを言っていたよ。エロールはあんなものを作るべきではなかったとか、デステニィストーンのくびきから逃れて生をまっとうして欲しいとか」
ジャミル「えっ?……じゃあデステニィストーンに関わると死ぬのか?」
グレイ「神話ではどうなっていたかな…あまり気にしたこともなかったが」
アルベルト「神話ではエロールがデステニィストーンを作ったことになっています。そして選ばれた勇者ミルザはデステニィストーンの力を借りてサルーインとの戦い、命を落とした」
シフ「じゃあ私達はサルーインと戦うっていうのかい?」
グレイ「メルビルではサルーインの秘密神殿があった。もしかしたらあの邪神を復活させようという動きは他でもあるかもしれない」
ホーク「とにかく、まずはムーンストーンを手に入れることが先決だ。目の前のお宝が先だぜ」
グレイ「そうだな。まずはムーンストーンを入手して、皇帝の病を治したらみんなで世界各地を旅して回ってみよう」




グレイ「クローディア、大丈夫か?」
クローディア「…なんだか不思議な気持ち。私を愛してくれたシルベンは月の神エリスだったなんて…それでいて私は帝国の皇女…」
グレイ「そうだな。この間から驚かされることばかりだ」
クローディア「それでデステニィストーンやサルーインの話まで出てきて…なんだか私…もうなにがなんだかわからなくなりそうよ」
グレイ「クローディア……」
クローディア「ごめんなさい。一晩経てば落ち着くと思うわ。だから今夜は1人にしておいて」
グレイ「わかった」

グレイは改めてクローディアという乙女のことに思いを馳せずにはいられなかった。帝国の第1継承者として生まれながら、命を狙われて森の魔女に預けられ、育てられ、そしてなんと月の神の寵愛を受けていたのだ。そのような娘など滅多にいるものではない。しかしグレイにはわかるような気がした。クローディアは非常に優しい心の持ち主だ。そして自然溢れる森の中で育った為に非常に純粋無垢である。動物と戯れる彼女を見ていると、神が寵愛したくなるのも無理はないという気がしてくるのである。

先程はエリスの残した言葉により思わぬ会話になった。この8人がデステニィストーンに引き寄せられたなどと誰が考えたであろう?もしかしたら勇者ミルザのように復活した邪神サルーインと戦うことになり、命を落とすかもしれない。クローディアも…
いや、そんなことは絶対にさせない!クローディアだけはなんとしても守ってみせる!そしていつかクローディアと…
そこまで考えてグレイは思考を止めた。まずは目の前の目的を果たすまでだ。クローディアの為にも皇帝の病を治さなければ。

エリスとの面会は8人の戦士に大きな影響を及ぼした。それは、8人が初めて自分たちの運命を知った夜だった。





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