二つの月の神殿で見事ムーンストーンを手に入れたグレイ達はバファルへ戻り、皇帝の元へ向かった。

クローディア「みんな…お願い…私にムーンストーンを使わせて…」
ジャミル「へ?別にいいけど」

バファル皇帝フェルY世は苦しそうに病床に伏せっていた。側にはエロール神殿の神官ソフィアがいる。

ソフィア「さあ、ムーンストーンの魔力を見せて!」

クローディアがムーンストーンをかざすと皇帝の容態はみるみるよくなった。そしてまったくなんともなくなったと言った。
謁見の間ではローバーン公コルネリオがさっそく皇帝の病の御快癒を祝いに来た。グレイ達からすると、呪いをかけていた可能性が1番高く、1番皇帝を邪魔に思っている人物なだけに、見ていて苦々しい。その後、コルネリオは海賊討伐を申し出た。海賊の被害が激増しているとのことだ。海賊の間に仲間割れがあるとも。コルネリオがこの話をしている間、ホークが拳を強く握り締めているのにみな気づいた。
グレイ達が褒美をもらって立ち去ろうとすると、皇帝が立ちあがった。

フェルY世「待て!クローディア!」

それに対し、クローディアは走って去っていってしまった。

ジャミル「クローディア?」
グレイ「陛下…失礼致しました。御無礼をお許し下さい」
フェルY世「いや…よいのじゃ…」




グレイは仲間達に対して適当にいい繕うと、クローディアを追いかけた。

グレイ「クローディア…」
クローディア「…ごめんなさい…でもみんなの前で娘だとわかってしまうのは嫌だったの…」
グレイ「俺は何も言わない。さあ、みんなと共に世界中を旅して回ろう。俺達のデステニィストーンに引き寄せられたという意味を知る為に」



グレイ達8人の戦士は世界各地を旅して回った。デステニィストーン収集、四天王との出会い、サルーインの手下、ミニオンとの戦い、三地点制覇。
お宝の話になると、グレイ、ジャミル、ホークはいつも以上にはりきった。
旅の途中でグレイ達は自分達の運命にまつわる話を幾つか聞いた。決定的だったのは騎士団領のフラーマの言葉だった。

フラーマ「サルーインが解放される時が来ようとしています…世界は再び破滅の危機を迎えます。あなた方はサルーインの復活を阻止しなければなりません。その為にもっと力をつけ、もっと人々の信頼を勝ち取らなければなりません」
グレイ「…それが俺達8人の運命なのか…」
フラーマ「はい。かつてのサルーインとの戦いでデステニィストーンは重要な役割を果たしました。サルーインの復活は間近に迫っています。誰かがサルーインと戦わなければなりません」
グレイ「…やれるか…?俺達で…?」
ジャミル「いいじゃん、やってやろうぜ!世界の危機を救った英雄ってのも悪くないな!」

8人が自らの運命を悟り、サルーインの決戦に備えていた頃である。バファル帝国の首都メルビルがモンスター軍団に襲われているらしいのである。

ジャミル「バファル皇帝もついてねえなあ。ついちょっと前まで呪いをかけられて病気で、それが治って1年も経たないうちにモンスターに襲われるなんてなあ」
シフ「なんでも今回は海賊も混じってるっていうじゃないかい。ホーク、あんた何か知らないかい?」
ホーク「ああ。俺は以前仲間の裏切りにあって海賊仲間から追い出された。俺がいたのはサンゴ海だ。きっと今回もサンゴ海の海賊共に違いねえ」
アルベルト「まさかモンスターと組んでるなんてことは…」
ホーク「そんなことは行ってみりゃわかる。なあ、グレイ、メルビルへ行こうぜ。もし俺を裏切った海賊がいたらそこで決着をつけてやる」
グレイ「言われなくてもそのつもりだ。それでは、皆、バファルへ向かうぞ」




グレイ「クローディア」
クローディア「…お父様は…無事かしら…」
グレイ「やはり心配なのだな。親衛隊がいるからそう簡単にやられることはないと思うが…一刻も早くメルビルへ行こう」
クローディア「…ええ…」




メルビルに着くと、町中モンスターで溢れていた。

グレイ「一体どうなってるんだ?」
門番「モンスターがエロール神殿から次々とやってくるんです!これは一体…」

エロール神殿へ行くと、ミニオンがいた。

ミニオン「その者達を殺せ!サルーイン様の復活を阻もうとする奴らだ。必ず仕留めろ!」
神官「今日はバファル帝国最後の日、そしておまえ達にも最後の日だ!!」
クローディア「そんなことさせない!」

グレイ「くそっ!これはミニオンの仕業だったのか。バファル帝国を滅ぼして乗っ取る気だな!」
ホーク「港には海賊共がいるぜ!」

埠頭に行くと、かつてホークを罠にはめた海賊がいた。

ホーク「ブッチャーーーーー!決着つけてやるぜ!!」
ブッチャー「ホーク!てめえこそヘド吐いて死ね!」

ブッチャーは今のホークの相手ではなかった。あっさりやられる。

ホーク「グレイ、ありがとよ。おかげでブッチャーと決着がつけられたぜ」
グレイ「よし!じゃあ宮殿へ行くぞ!皇帝を救うんだ!」


グレイ達は皇帝宮殿へ入り、モンスターを蹴散らしながらも奥へ進んでいく。皇帝は無事だろうか?特にクローディアは内心気が気でなかった。
皇帝の私室まで進むと、皇帝とモンスターのスフィンクスがいた。

クローディア「お父…陛下!」
フェルY世「おお!クローディア!」
グレイ「陛下、ご無事ですか?」
フェルY世「おまえ達は私を助けにきてくれたのか!」
クローディア「なんとか囲みを突破して…」

クローディアと皇帝は目を合わせた。無尽蔵に増えるモンスターと戦いながら必死に皇帝――父の元までかけつけてくれたクローディア。その身体は息を切らし、モンスターとの戦いで負った傷がある。そこまでして来てくれた娘に皇帝はいいようのない感動を覚えた。しばし見つめ合う実の親子。
しかし、そこにモンスター親玉――スフィンクスがやってきた。

「ここで仲良く死ね!」


スフィンクスを倒すと、モンスター軍団は散り散りになって逃げていった。




謁見の間にて、グレイ達はサルーインの復活が間近に迫っていること、自分達がデステニィストーンに引き寄せられし、サルーインを倒すべく選ばれた戦士達だということを話した。皇帝は落ち着いて聞いていたが、時々クローディアの方を見て、内心動揺しているようだった。クローディアの方は目を伏せ、皇帝と目を合わせないようにしていた。

フェルY世「そうか…そなた達はサルーインと戦うのか……ミルザはその命を捧げたが、そなた達は生きて戻って来るのだぞ!その時、今までの全ての苦労に報いよう」
グレイ「身に余るお言葉でございます、陛下」
フェルY世「クローディア…そなたも戦いが終わったら必ずこのバファルへ帰ってきておくれ」
クローディア「……………」


ジャミル「しっかしバファル帝国もとんだ災難だったな。あやうくモンスターに滅ぼされるところだったじゃねえか」
シフ「でも私達が阻止したじゃないかい。これでいいんだよ」

その時、騎士団領の使者がやってきた、どうやら騎士団領でも並々ならぬことになっているようである。

ホーク「やれやれ。バファルの次は騎士団領か。一難去ってまた一難ってとこかな」

騎士団領で起きていた事件もミニオンが絡んでいた。見事解決すると、フラーマがやってきた。

フラーマ「サルーインとの戦いの覚悟はできた?」
グレイ「はい」
フラーマ「それではこの火のデステニィストーン、ルビーを受け取りなさい」
グレイ「ありがとうございます。必ずサルーインの復活を阻止してみせます。では」

グレイ達が騎士団領を出ようとすると、コンスタンツという娘が走ってきた。騎士団領のテオドールの1人娘である。

コンスタンツ「グレイ様!本当にサルーインと戦うおつもりですか?」
グレイ「もちろんだよ、コンスタンツ」
コンスタンツ「…ミルザはその使命を果たした時命を失いました!私はグレイ様にそうなって欲しくありません!」
グレイ「大丈夫だ。必ず生きて帰って来る。約束するよ」
コンスタンツ「本当ですね?グレイ様!」
ジャミル「ひゅ〜ひゅ〜色男はモテるねえ」
シフ「しっ!クローディアがいるだろ!」

コンスタンツの潤んだ瞳、そして彼女を宥めるグレイ。その光景を見ていたクローディアは急に不愉快になった。オウルとの死別以来、自分が皇女で後継ぎだとか、権力争いに巻き込まれるかもしれないとか、ブラウとシルベンとの別れ、シルベンの正体、クローディアにとって一度に様々なことが起きすぎた。次々と起こる出来事に頭が追いついていかない。そんなクローディアを何も言わず支えてくれるのがグレイである。しばらく自分の身に起こったことを考えることで精一杯だったが、クローディアは久しぶりにグレイの存在の大きさを感じた。そして、グレイとコンスタンツとのやり取りを見て不愉快になるのは何故だろうと思った。

グレイには自分がいる。他の女と仲良くして欲しくない。いや、別にコンスタンツと特に仲良くしているわけでは…
クローディアの頭の中は急に混乱した。

バーバラ「クローディア、大丈夫?」
クローディア「え、ええ」
バーバラ「心配しなくてもグレイにとってはあんたが1番大切な存在さ!」
クローディア「そ、そうかしら…」
バーバラ「そうさ。もっと自信持ちな!」

バーバラはクローディアの背中をぽんと叩いた。

グレイ「それでは皆行くぞ。最後の戦いに」




テオドール「フラーマよ、グレイ達はここに帰って来れるだろうか。それともミルザのように……」
フラーマ「神のみぞ知るね……」

こうして、グレイ達8人の戦士はサルーインとの戦いへ向かった。





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