七英雄の本体。彼らは全員で合体していた。初めはロックブーケの姿が現れ、テンプテーションでこちらを魅了しようとしてくる。シーザー達は防御や補助の術を一通り使った。

「リヴァイヴァ!」
「竜脈!」
「金剛盾!」
「光の壁!」
「シャドウサーバント!」

その後、一斉に攻撃をしかける。七英雄の本体も徐々に姿を露わにしていった。そしてそれぞれの七英雄が攻撃を仕掛けてくるようになった。

「テンプテーション!」
「メイルシュトローム!」
「月影!」
「ソウルスティール!」
「ぶちかまし!」
「マリオネット!」
「サイコバインド!」

七英雄の猛攻にシーザー達は傷だらけになった。リヴァイヴァを使っていなければとっくに死者が出ていたはずである。回復しつつこちらも攻撃を仕掛ける。

「千手観音!」
「無明剣!」
「高速ナブラ!」
「下り飛竜!」
「クリムゾンフレア!」

七英雄の集合体はまがまがしい妖気を放っている。そしてアビスゲート、アストラルゲートという新たな技を使ってきた。不気味な仮面が現れ、血の涙が流れる。1人が魅了された挙句霧隠れの状態になり、危うく同士討ちで全滅するところだった。窮地に立ったシーザーはリバティスタッフを折った。

「シャッタースタッフ!」

なんとか全員の傷を回復する。そして改めて補助術をかけ直すが、

「ヴォーテクス!」

七英雄により補助魔法が全て解除されてしまった。七英雄達は再生状態になっている。彼らが回復する以上のダメージを与えなければいつまで経っても倒せない。
七英雄本体との戦いは熾烈を極めた。シーザー達も七英雄も傷だらけになり、出血が夥しかった。しかし、この戦いに負けるわけにはいかない。七英雄を倒すことはレオン帝から始まる代々バレンヌ皇帝の悲願である。シーザーは死にもの狂いで戦った。何度も倒れては起き上がり、七英雄に攻撃を仕掛ける。シーザーは伝承法を受け継ぐ最後の皇帝である。これで最後、刺し違えてでも七英雄を倒すつもりであった。いや――

シーザー(いや、子供達との約束がある。必ず生きて帰るんだ。そしてエリザヴェータも無事に連れて帰るんだ)

シーザーは愛剣デイブレードを掲げると声を上げて七英雄本体に突進した。そして彼らの中心部に深々とデイブレードを突き刺した。七英雄の本体は壊滅的な叫びを上げて消滅していった。いつまでも不気味な声を上げ、倒れていく。シーザーの仲間達は1人、また1人とその場を去って行った。最後にシーザーもその場を立ち去ろうとした。そして一旦背後を振り返る。今まで宿敵としてきた七英雄の名残を見て彼は何を思ったのか。シーザーは黙って目を伏せると仲間と共にその場を立ち去った。



その後、アバロンでは祝賀会が開かれた。バレンヌ帝国が世界を平定し、宿敵である七英雄を打ち破ったということで、人々は未来への希望に満ち、未だかつてないほど豪華で盛大な祝賀会が開かれた。アバロン宮殿の人々は綺麗に着飾り、ダンスパーティーが行われる。その中でシーザーはエリザヴェータをダンスに誘った。2人の美男美女が躍る様は絵になる。人々は歓声を上げて2人のダンスを見た。ダンスの後、シーザーは側近達を追い払ってエリザヴェータを夜のテラスに誘った。

シーザー「歴代皇帝の祈願は果たされた。エリザヴェータ、君はこれからどうするつもりだ?」
エリザヴェータ「まだ何も考えてないわ。トーレンスの忘れられた町に帰るのもいいけれど、この世界を旅して回ってみたい気持ちもあるわ」
シーザー「そうか」
エリザヴェータ「あなたはこれから平和な世界を導いていかなければならないのね。全土統一を果たした皇帝ですもの」
シーザー「それについては私に考えがあるのだが…それよりエリザヴェータ、君に頼みがある」
エリザヴェータ「何?」
シーザー「私と結婚してくれないか」
エリザヴェータ「えっ?」
シーザー「初めて会った時から君を好いていた。是非妻に迎えたいのだ。これから私がいかなる境遇になろうと、どうか私についてきて欲しい」

エリザヴェータは瞠目すると、しばらく逡巡していた。

エリザヴェータ「シーザー、申し出はとても嬉しいけれど、お断りするわ。以前に話したでしょう?私は古代人の末裔なの。あなたとは寿命が違うのよ」

シーザーは激しい失望に見舞われた。

エリザヴェータ「ごめんなさい。私、明日になったらアバロンを出ていくわ。シーザー、あなたと共に戦えて光栄だったわ。さようなら」

そう言うとエリザヴェータは去って行った。月の光を浴びて美しく輝く金の髪が揺れる。甘やかな香りの残り香が漂う。シーザーはしばらくエリザヴェータの後ろ姿に見とれていた。そして改めて気づかされたのである。これから帝国をどうするかは既に決めてある。自分はこれからは1人なのだと。





次へ
前へ

二次創作TOPへ戻る