四魔貴族の一人、魔戦士公アラケスを倒したハリード達。さて次はどうしようかと思っている矢先にロアーヌが魔龍公ビューネイの手下に襲われたという情報が入った。以前ランスで得た情報ではビューネイのアビスゲートはロアーヌのタフターン山にあるらしい。ロアーヌの南東のタフターン山はいつも頂上が霧に包まれており、登ることができない。タフターン山の霧の向こうにはビューネイの住みかの跡が残っているという話だった。
ハリード達がロアーヌへ行こうとしていると、詩人がやってきた。

「やあ、皆さん、アラケスを倒した次はビューネイと戦うおつもりですね。ビューネイに関する古い詩がありますが、聞きますか?」


アビスの四魔貴族の一人 魔龍公ビューネイ タフターン山の高き頂きに巣窟を築き 大空を我が物顔に舞い 地上の者共を見下ろした 聖王地上より戦いを挑むも 魔龍公は地をはうものを相手にせず ルーブ山地に住まいし巨竜ドーラ 聖王の説得により 聖王を背に乗せビューネイに挑む 竜と人との力によって さしもの魔龍公も敗れ ゲートの彼方へ追いやられた


「ビューネイを倒すのに地上から戦いを挑むのは不利、か」

ハリードが今の詩を聞いて考えていると、レオニードが口を出した。

「ビューネイはかつて空を我が物顔に飛んでいた。飛ぶことのできない我らは明らかに不利だ。ここは翼を持つ巨竜の力を借りるのがよかろう。巨竜ドーラの子供グゥエインはルーブ山地にいる。グゥエインは小さい頃は聖王に育てられていた。交渉次第では我々にも協力してくれるだろう」」
「聖王に育てられていたなら人間に慣れているんだな。よし、行ってみよう」
「ハリードさん、この詩には続きがありますが、聞きますか?」
「まだ何かあるのか?」


ビューネイの去りし後 大空を支配せしはドーラであった しかし巨竜ドーラは 聖王の諌めも聞かず 村を襲い宝をかすめ肉を食らった ついに聖王立ち上がり ルーブの山を登っていく 竜を殺すは聖王が定め 人と竜とは戦いの火花を散らし 聖王の剣深々と竜の体を突き通す さしもの巨竜も血を流し 叫びを上げて息絶えた 聖王瞳を濡らし声を上げ ルーブの山を震わせた


「悲しい話ね…」とサラ。
「なあに、大丈夫さ、ルーブ山地へ行くぞ」

その時のハリードは詩の続きなど気にもとめなかった。その様子を見てレオニードは独りごちる。

「……人と竜。かつての悲劇が繰り返されるのか、それとも別の結末を迎えるのか。全ては運命のなすがままに……」



ビューネイのロアーヌ襲撃の知らせは各地に広がった。ちょうどお忍びの旅をしていたミカエルの元にも届く。モニカの消息を尋ね、ユーステルムにいたミカエルはすぐにロアーヌへ戻ることにする。国の一大事である。その時、一緒にいたウォードもついてくることになった。

「ひと稼ぎしたいんだ。俺も一緒に行くぜ」

ロアーヌへ戻ると臣下達はミカエルの帰りを待ちかねていた。

「殿、タフターン山からモンスターの軍団が押し寄せてきました!」
「ビューネイの軍団か! よし、出撃だ!!」

戦場は沼地だが、敵は飛んでいて沼のダメージを受けない。沼地をどんどん飛び越えてくる。もたもたしていては追いつめられてしまう。ミカエルは疾風陣を組み、速攻前進で沼を渡った。偽りの白旗で敵を油断させ、全軍突撃を仕掛ける。戦いは勝利に見えたが、敵の何体かはミカエルの軍を突破してロアーヌへ向かっていた。戦場に残った敵を全滅させると、ミカエルはロアーヌへ急いだ。

「ロアーヌは私が守る!」

ビューネイの手下であるビューネイの精が襲ってくる。ミカエルはウォードを連れて応戦した。敵の数は思ったより多い。ミカエルが必死に戦っていると、どこからか太い声がした。

「ハハハハハハハ 天知る 地知る ロビン知る! 怪傑ロビン、ここに見参!」

謎の黒い覆面をした小太りの男がやってきてミカエルに助太刀をする。ミカエルと同じレイピアの名手のようである。それはピドナからロアーヌへ向かった偽ロビン――トラックスであった。

「スクリュードライバー!」

トラックスは得意の技でどんどんビューネイの精を倒していった。おかげでミカエルは敵を全て倒すことができた。トラックスに礼を言う。

「そなたのおかげでロアーヌを守ることができた。犠牲者も最小限に止まった。礼を言う」
「フッ、君達が無事ならそれで十分だ。さらば!」

トラックスはカッコつけてジャンプし、木の枝に飛び移った。そしてカッコよく立ち去るつもりだったのだが、

バキッ

枝が折れて落下した。

ズボッ

そしてその下にあった樽にハマった。

「…………………………」

ミカエルは黙って樽にハマったトラックスを救出し、宮殿で特別にもてなした。トラックスは怪傑の格好をしていることと、旅をしている事情を簡単に説明した。

「そうか。そなたは我が国を守ってくれた。恩にきる。しばらくはこのロアーヌに滞在してくれて構わぬぞ」

その時、ミカエルの『影』が報告に来た。

「タフターン山のビューネイの巣が判明しました!」
「うむ、よくやった!」

その後、ミカエルはビューネイの巣へ突入する勇士を募った。ミカエル自身もタフターン山へ向かうつもりだ。ウォードもトラックスも腕が立つ。だが三人では心もとない。ミカエルは勇士が集まるのを待った。



ピドナではロアーヌ襲撃の情報を聞いてユリアン、モニカ、トーマス、カタリナが動揺していた。

四魔貴族を倒す旅をしているというハリードパーティーは、ピドナから船でバンガードへ渡り、北のルーブ山地へ向かうのだそうだ。巨竜グゥエインの協力を得、ビューネイ戦の勝利を確実なものにする為に。

ユリアンとモニカは話し合った。ロアーヌやミカエルのことは心配だが戻るわけにもいかなかった。ミカエルならロアーヌを守り通すだろうと思い、今まで通り、ロアーヌからもツヴァイクからも離れた場所へ行くことにした。ピドナから西へ行く船はバンガード行きがある。ユリアンパーティーはハリードパーティーと一緒にバンガード行きの船に乗ることに決めた。

「トーマス、話があるの」
「カタリナさん、どうしました?ロアーヌのことですか?」
「ええ。私はマスカレイドを取り戻すまでロアーヌへ帰るわけにはいかない。トーマス、あなたもロアーヌが気になるのでしょう?あなたはどうする気なのかしら?」
「ロアーヌは母国です。心配ですよ。一度帰って様子をみたい。カタリナさんはここにいて下さい。ロアーヌの状態がわかったらお教えしますから」
「トーマス、今まで私に協力してくれて感謝しているわ。でもピドナやヤーマスにいてもマスカレイドの手がかりは得られなかった。あなたがロアーヌへ行っている間、私はノーラと二人で旅して回るわ。またツヴァイクの方へは行っていないから北方地方を中心に探すつもり」
「……わかりました。俺のところに何か情報があったらすぐにお伝えしますよ」

ハリードパーティーはハリード、エレン、サラ、少年、レオニードの五人。
ユリアンパーティーは現在ユリアン、モニカ、詩人、タチアナ、雪だるま、ポールの六人。
彼らはピドナからバンガード行きの船に乗った。

カタリナとノーラの二人はトーマスと別れ、マスカレイドと聖王の槍の手がかりを探して北へ向かうことにした。ピドナからツヴァイク行きの船に乗る。

トーマスパーティーは現在トーマス、シャール、ミューズ、ロビンの四人。ロアーヌの様子を見に行く為、ピドナからミュルス行きの船に乗った。

ロアーヌではミカエルがウォード、偽ロビンことトラックスと共にビューネイの巣へ突入する勇士を募っている。

彼らはそれぞれ自分の目的で行動している。一度ピドナに集結した仲間達は船で旅立った。





アビスゲートを一つ閉じたのでビューネイのイベント発生です。ミカエルはロアーヌに戻りマスコンバット。ロビン親子をストーリー上どうするかを考えた結果、偽ロビントラックスに思わぬ出番ができました。
そして、それぞれのパーティーにどう行動させるか簡単に考えました。



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