ここはグレートアーチ。世界最大のリゾート地である。ハリードパーティー、ユリアンパーティー、カタリナパーティーは船でここへやってきた。南国の照りつく太陽、美しく青い海、リゾートを楽しむ人々。ハリード達もせっかくだからここで束の間の休暇を楽しもうかという話になった。そしてグレートアーチの町中を歩いているとトーマスパーティーと再会した。トーマスは現在フルブライトと協力してアビスリーグという謎の同盟と戦っているらしい。戦っているといっても武器を使わぬトレードでの戦いである。今はその最中でグレートアーチを訪れたという。ハリードはトーマスの話を聞いて大変だなと思った。ハリードは直接武器を取った戦いだが、トーマスはトレードでの戦いである。しかしどちらもアビスの勢力との戦いであった。

「魔貴族がそんなことをやっているとは知らなかった。俺は会社経営のことはよくわからん。トーマス、そっちは任せた」
「ああ。ハリードは魔貴族達と戦わなければならないんだよな。こっちは俺が何とかしよう」

現在ハリードパーティーはハリード、エレン、サラ、少年、レオニードの五人。
ユリアンパーティーはユリアン、モニカ、詩人、タチアナ、雪だるま、ポールの六人。
トーマスパーティーはトーマス、シャール、ミューズ、本物ロビンのライム、フルブライトの五人。
カタリナパーティーはカタリナ、ノーラ、ウンディーネの三人。

これだけのメンバーが集結している。フルブライトはトーマスにこのグレートアーチでリゾートを楽しもうと持ち掛けた。

「せっかくの機会だからね、我々もここで余暇を楽しもうじゃないか。もちろん後でグレートアーチの物件も全て抑えてしまうがね」

ハリード達は『ホテルバランタイン』に宿を取ると、海へ遊びに行く準備をした。全員水着を買いに行く。そこでレオニードは一人辞退する。

「私はホテルで休ませてもらう」

そう言うとレオニードは一人部屋へ戻って行った。

「せっかくの機会なのに海で遊ばないなんて」
「レオニードってヴァンパイアなんだろ?暑いところは苦手なんじゃないか?」
「ってゆーか南国似合わない」
「放っておけ、だいたい海パン姿のレオニードなんか想像したくない」

店で水着を買った一行は全員水着姿に。水着を着ていないのは雪だるまだけだ。雪だるまは観光客の注目を一斉に浴びていた。人々の視線も気にせず雪だるまははしゃいでグレードアーチの景色を一望していた。

「ここは南国なのだー!ボクのいる雪の町とは大違いなのだー!よーし!今日はみんなといっぱいいっぱい遊ぶのだー!」

みんなリゾートへ来てうきうきしてる中、真面目なカタリナは眉を顰めていた。水着姿にはなったものの、ここへ来た本来の目的はイルカ像の入手、それと聖王の槍の手がかりである赤サンゴについて調べる為である。ノーラの方は気楽な性格で陽気に鼻歌を歌っている。

「カタリナ、今日一日くらいはここで遊ぼうよ。いつも気を張りつめてばかりじゃ疲れちゃうよ!」
「そうね。………あら?ウンディーネ、どうしたの?」
「南国のリゾート…ビーチには若い男の子がいっぱい……ふふ、ここでは可愛い男の子と甘いひと時が過ごせそうね」

ウンディーネは一足先にビーチへ行ってしまった。

「おいみんな!水着に着替えたらビーチへ行くぞ!………ウンディーネはどうした?」
「若くて可愛い男の子ナンパにしに行ったわよ」
「は?」
「いわゆる逆ナンパ、逆ナンよ」
「…………………………」

一行は全員浜辺へ行き、ビーチパラソルの下で美しいグレートアーチの海を楽しんだ。仲良く会話する者もいれば、昼寝をする者もいる。しばらくすると、みんなでビーチバレーを始めた。大勢でやるビーチバレーはこの上なく楽しかった。チームを入れ替え、何度もやる。
一行は次にスイカ割りを始めた。まずはユリアン。目隠しをして棒を振り、スイカを探す。ユリアンの次はポール。周りでみんながわいわい騒いでいる中、スイカを探す。中にはからかったりいたずらをする者もいた。最後に本物ロビンのライム。今のライムは海パン姿なので当然覆面を取った状態である。ロビンの格好をしている時は堂々としている彼はマスクを取ると急におどおどとしてしまうのだ。

「ええ?ぼ、僕もやるんですか?」

おどおどとしていたライムは目隠しをされた途端に強気になった。

「ハハハハハハハ 天知る 地知る ロビン知る! スイカ割りなどこのロビンにかかれば朝飯前!」

ライムは勘でスイカの場所を当て、見事スイカを割った。いい音をして割れたスイカ。中の赤い実が辺りに飛び散る。

「おおっ!いいぞロビン!」

周りで見ていた仲間達は一斉に歓声を上げた。
スイカ割りで割ったスイカをみんなで分け合って食べた後、タチアナはサラと少年を誘って砂遊びを始めた。まだ幼い十代の少年少女は砂の山を作ったり、穴を空けて水を流したりして楽しんだ。一方、大人達は別の砂遊びを始める。人間を砂に埋めて顔だけにする遊びだ。埋められたのはハリード、ユリアン、ポール、ロビンことライム。女性達に楽しそうに砂をかけられては抵抗できない。そんな中、今までどこへ行っていたのか、詩人がやってきた。

「皆さん、楽しそうですねえ。私も混ぜてくれませんか?」
「詩人、そのカッコ…」

詩人は帽子はかぶったまま服は脱いで海パン姿だった。その妙な格好に一行は変な顔をする。
その後、詩人も砂に埋められることになった。



エレンはこのグレートアーチでの休暇を心底楽しんでいた。後で海で思いっきり泳ぎたい。そう思って浜辺を振り返るといつの間にかハリードがいなくなっていた。さっきまで砂で埋めていたのだが、一体どこへ行ったのだろう。エレンはハリードを探した。


海の向こう、ハリードはサーフィンをやっていた。荒ぶる波に上手く乗っている。運動神経抜群のハリードが見事サーフィンをこなすのを見て、エレンは思わずカッコいいと思ってしまった。



「詩人さん、あなたこんなところで何をやっているんですか?」
「おやフルブライトさん、あなたも一緒にどうです?ここは海水浴場から少し離れています。人々の喧噪からも離れて落ち着きますし、釣りにもってこいの場所ですよ」
「釣りですか。リゾートに来て釣りとはね。この南国の海で何が釣れるやら」

ビーチから離れた場所で釣りを始める詩人とフルブライトであった。



最後に一行は海で泳ぐことにした。そして海に潜り、ダイビングをする者もいた。碧色の綺麗な海。水面から日の光が射し込み、光がゆらゆらと揺れる。海中には魚がいる。美しいサンゴもある。真っ青な海の海中を探検する。南国の海には今まで見たことのない種類の魚が泳いでいた。

「モニカ、こっちに来てご覧」
「まあ、変わった色の魚!…あっ!捕まえようとしても逃げてしまうわ」
「はは、そりゃそうだよ」



一方、泳げないミューズは浜辺で貝を拾っていた。もちろんシャールがそばについている。

「まあ!見て見て!シャール!綺麗な貝よ!」

病弱だったミューズもここですっかり日焼けした。小麦色の肌になり健康的に見える。



やがて日が暮れ、太陽が水平線の向こうに沈む。すっかり余暇を楽しんだ一行はホテルへ戻って行く。明日からはここへ来た本来の目的に戻る。海賊ブラックの財宝であるイルカ像を探すのだ。





完全にオリジナルのエピソード。グレートアーチでキャラ達を遊ばせてみました。

レオニードは一人でホテルで休む。一抜けた~
ウンディーネは若い男の子を逆ナンパ
ビーチバレーとかスイカ割りとか、思いつく限りのネタを書いてみました。砂遊びも、誰を砂に埋めてやろうかとかね(笑)。
ハリードはカッコよくサーフィンやってるイメージが思い浮かびました。
フルブライトはビーチで遊んだり海で泳ぐより釣りやってそうなイメージ。

さて、遊んでないで次回は海賊ブラックの財宝探しです。

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