ミカエルは現在マスコンバットで第二次遠征を行っていた。一次遠征でリブロフの出城を奪っていたが、その出城に神王教団の兵が押し寄せたのである。城の守りは突撃のパットンと呼ばれる将軍に任せていた。パットンは防壁の波陣で敵を迎え撃つ。

「戦況報告。現在、城門部屋にて敵の侵入者と戦闘中。侵入者から城門を奪い返すまで敵の突破を防がねばなりません!」

城門には敵の将軍ガリバルディ―が。

「よし…予定通り…城攻め開始!!」

前回の遠征では城攻めだったが、今度は逆に城を守る戦い。戦いながら前進後退を繰り返し、モラルを一定に保つ。

「戦況報告! 侵入者生き残り五人……四人」

侵入者を一人、また一人と片づけていく。そのうちに敵将軍ガリバルディ―は突撃してくる。

「連続突撃攻撃! 前列突撃!! 後列突撃!!」

パットンは『突撃のパットン』と呼ばれるだけあって突撃系の兵法を得意とする。敵の突撃を全て同じ兵法でやり返した。敵の方が優勢で追いつめられてきたら「投石機」を使用し、敵軍を一気に後退させる。

「戦況報告! 侵入者生き残り二人……一人………… 侵入者は全滅! 衛兵隊は城門部屋の最奪取に成功!」

パットンは城内に後退した。敵将軍は悔しがる。

「なな、なんと!?城門を閉じられては戦いにならん!作戦は失敗か…全軍退却っ!」

「指揮官逃走 ガリバルディーが逃げました!! 全軍退却 勝利!!」

突撃のパットンは出城を守り通すことに成功した。ミカエルからは労いの言葉をかけられる。

「我々の到着までよく持ちこたえてくれた。次はこちらの番だ。敵が砂漠へ逃げこむ前に捕まえるぞ!」

エレンやカタリナ達がリブロフから神王の塔へ向かっている一方、ミカエルはマスコンバットの遠征で神王教団と戦っていた。



エレン・カタリナ・トーマスパーティーはナジュ砂漠を超え、神王の塔へやってきた。塔の入り口に神王教徒のローブを売る商人がいた。全員分購入した彼らは塔の内部へ侵入した。塔の内部は複雑な構造になっており、迷ってしまいそうだ。上りの階段を見つけながら上へ上がっていくと、信者が大勢集まっている場所を見つけた。そこにはこの神王教団の指導者、ティベリウスがいた。教団の中で絶対的権力を持つ、教団のトップ。ハリードの国を滅ぼしたのもこの男である。ティベリウスはエレン達が教団の人間ではないことを一目で見破った。

「お前達、教団の者ではないな。だが良い。神王様は全ての人の為に現れるのだ。さあ、お前達も祈るがいい」
「マクシムスはどこ!?」
「マクシムス?あやつならピドナにおるはずだが」
「あいつの正体は海賊ジャッカルよ」
「海賊であろうが、殺人者であろうが、悔い改めて神王様を待つ者は救われる。マクシムスが昔どんな名を持っていたとしても、今は関係ないことだ」
「あいつは教団を隠れ蓑にして悪事を続けていたのよ!あんたもあいつとグルなの?」
「もしそれが本当なら裁きを受ける為に出頭させよう。マクシムスを呼べ!」

ティベリウスは信者達にマクシムスを探させた。

「さあ、おまえ達、神王様を信じる者は歓迎だ。こちらへ来るがいい。新しい信者をもてなそう」

ティベリウスはエレン達をもてなくてくれるつもりだ。しかしそれには神王の存在を信じることが前提だった。ティベリウスが今まで教団の敵にどんなことをやってきたかを思うと、エレン達は嘘でも神王を信じると答えざるを得なかった。マクシムスが目的で神王の塔へ来たのに、ここでティベリウスともめては厄介なことになる。
ティベリウスはこれだけ大規模な教団の長にもかかわらず、質素な生活をしていた。それに私利私欲にまみれた人間と比べると欲が無い。一国を滅ぼすような過激なことをやってのける人物には見えなかった。エレン達から見たティベリウスは、求道者として質素な生活をしている老人だった。サラと少年はティベリウスを見て怯えていた。そんな二人を見てティベリウスは物腰を和らげる。

「君達、そんなに怯えなくていいのだよ。ここは神王教団の本拠地。神王様を信じる者には安全な場所だ」
「は、はい…」

エレンやカタリナ達に同行していたトーマスはティベリウスを見て首を傾げた。

「あの、失礼ですが、私の情報網では神王教団の長ティベリウスは四十代後半だったはず。しかしあなたはもっとお年を召しているように見えますが」
「ああ、そのことか。わしも昔は若かったからな。いろいろと無茶をしたのだよ」
「あなたが本当に教団のトップなの?今まで私が聞いた話では………とてもそんなことをする人に見えないけど」

エレンが遠慮がちに尋ねると、ティベリウスは語り始めた。

「わしは神王様の存在を信じ、神王教団を作った。信者を増やし、神王様の統治の象徴としてこの塔を建設している。神王様を迎え入れられる世界をつくるのがわしの目的だ。魔王・聖王を超える神王様は世界をかつてない繁栄に導いてくれるだろう。そしてこの世界に平和をもたらして下さるのだ。わしは世界の平和・繁栄を何より望んでいる。そして教団の長としてひたむきに生きてきた。時には手段を選ばぬ方法で教団の敵と戦った。そう、おまえ達が知っている通り、ゲッシア朝ナジュ王国はわしが滅ぼした。神王様は全世界に繁栄と平和をもたらして下さる。それを思えば一国を滅ぼすことも厭わなかった。

ゲッシア朝は滅びた。その後わしはナジュの王宮のあったところに神王の塔を建てることにした。王宮の宝物庫に行き、教団の活動資金にする為、ナジュ王国の宝を全て運んだ。
最深部に、砂漠の神を祀る祭壇を発見した。そこには神の像があった。わしは神王様が絶対的な存在だと信じていたから、砂漠の神を冒涜するような行いをしてしまった。そして――

わしは砂漠の神の怒りに触れた。

神の像の目が赤く光り、わしはその光を浴びて恐怖に慄いた。神を冒涜した罪、罰当たりなことをやってのけた罪。砂漠の神の怒りがありありと伝わってきた。そしてわしを言い知れぬ恐怖に包み、神はわしに罰を与えた。人間の身でありながら神を冒涜した無法者。長い間恐怖と苦痛にわしは絶叫を上げていた。自分の身に何が起こっているのかもはっきりとはわからぬ状態だった。わかっていたのは神の怒りに触れたこと。

気がつくと、わしの姿はすっかり年老いてしまった。老いぼれの姿になり、頭もハゲてしまったのじゃ。
こういうわけでな、わしはまだ四十七歳だが、もう見た目も体力も老いぼれ同然じゃ。以前ほどの覇気はない。もう身の程知らずな行動は慎み、後はただ神王様の誕生を望むばかりじゃ」

ティベリウスの独白を聞いて、一行は何とも言えない気持ちになった。

その時である。信者の一人がやってきた。

「ティベリウス様、大変です!マクシムスがこの塔を乗っ取りました!」
「何だと!」

どこからか大きな声が響いてくる。その声はマクシムスだった。

「この塔は頂いたぞ、ティベリウス!!」
「マクシムスか!この塔は神王様のものだ、お前の自由には出来んぞ」
「神王だと?そんなガキは必要ない。世界は俺様が支配してやる。集めた聖王遺物とモンスター共を使ってな!」

神王の塔の頂上に凶悪なモンスターの群れが襲いかかってきた。マクシムスは聖王遺物とモンスターを使ってこの塔を乗っ取ろうとしているのだ。しかしマクシムス本人はどこにいるのかわからない。

「マクシムスめ……」
「あいつはどこにいるのよ?」

エレン達はマクシムスを探した。特にカタリナはマスカレイドを取り戻す為、必死だった。

「まずは頂上のモンスターを倒さないとマクシムスを探すどころではないな。君達、こんな老いぼれだが、役に立つかな?」
「ティベリウスさんは無理しないで!」

一行は最上階へ向かった。浮遊系のモンスターが襲いかかってくる。なかなか強力なモンスター達だったが、こちらも人数が多いので難なく撃破する。

そして一行はマクシムスを探すことにした。ティベリウスによると、マクシムスの作ったエレベーターがあるが、今は動いていない。どこかにスイッチがあるはずだと。複雑な構造の神王の塔。一行は手分けしてマクシムスの居場所を探し出した。





ミカエルはマスコンバット第二次遠征。神王の塔に向かっています。
そしてティベリウスが攻略本の設定では47歳にもかかわらず何故ハゲジジイなのかについて独自の設定を考えてみました。ティベリウスって攻略本上の設定とゲーム中ではイメージが違いますよね。ゲーム中ではそんな過激なことをやるようには見えない。その辺について私なりのオリジナル設定を考えてみました。



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