挫折から立ち直り、新たに聖剣を求めて旅を始めたロイ。ボンボヤジの言う通りガラスの砂漠の海岸で桟橋を見つける。

ロイ「えーと、ウェンデルはここから東に行って突きあたりを北に、か」

新たにホバー機能を付けたチョコボ――チョコボットに乗り、大海原を駆け巡る。

(ヒャッホー!気持ちいいっすねえ、旦那)
ロイ「そうだな。爽快な気分だ。でもそんなことは言っていられない。一刻も早くシーバの元へ行かなきゃ」


ロイは久しぶりにウェンデルを訪れたが、そこにシーバの姿はなかった。

少女「雪原地帯のロリマー国がモンスターに襲われたんだって。シーバはそれを聞いて助けに行ったの。海を挟んで南に見えるのが雪原地帯よ」
ロイ「何だって!くそっジュリアスの奴め…!」
(雪原地帯ならここへ来るまでに通り過ぎましたね。戻ってみやしょうぜ)

ロイはロリマー国を目指すことにした。


ロイ「あれェ?あれェ?雪原地帯の桟橋はどこだろう?」
(旦那、ここはアンモナイトの海岸ですよ)
ロイ「道、間違えたかなあ。あれ?なんか島がある。うわっ、シードラゴン達で一杯だ」

ロイはシードラゴンをサンダーで一掃する。

ロイ「ん?宝箱?中身は…エリクサーだ!貴重なものが手に入ったぞ!この場所を覚えておこう」


その後道がわからなくなりチョコボに乗って海を世界一周したロイはやっと雪原地帯の桟橋を見つけ、ロリマー国へと辿り着いた。

ロイ「うわっ、なんだこの寒さは?」

ロリマー国は身も凍る程の寒さで人々は皆凍りついている…王の間へ行くと、国王らしき人物がただ1人、玉座に座っていた。

ロリマー王「ジュリアスが各地でモンスターを復活させた。そのうちの1匹マリリスが北の雪原…カーラ山脈に住みついたらしい…山から吹きつける冷気でみんな凍りついてしまった。せっかく助けに来てくれたシーバも奥の部屋に閉じ込められて…早く助けないと命に関わってくる…」
ロイ「そうだったのか…ジュリアスめ……ところでどうしてあなただけ無事なんですか?」
ロリマー王「ハッ…!す、すまん!国中の木という木を集めてこの部屋だけでも暖炉で暖かくしたんだ」
ロイ「それで国民やシーバのことは放っといて自分だけぬくぬくと暖まっているのか?」

ロリマー王はぎくっとして身体を強張らせ、その後、額を床につけて謝りだした。

ロリマー王「す、すまない!お願いだ、許してくれえー!この王の間を暖かくするので精一杯だったんだあー!何でもするからその代わりマリリスを倒して国を元通りに――」

ロイはロリマー王の言葉を全部聞き終えないうちに外へ出ていった。


(全く身勝手な王様ですねえ。これだからお偉方は嫌なんですよ)
ロイ「どのみち人々もシーバも助けなければならない。カーラ山脈へ行くぞ」
(旦那、クールっすねえ)
ロイ「ロリマー王を責めている暇があったら早く彼らを助け出さないとな。おい、チョコボ、ここから先は雪原地帯。おまえは寒さに弱いからな。ここで待ってろよ」
チョコボ「クエッ」

ロイはチョコボを優しく撫でると雪原地帯へ向かった。


カーラ山脈はロリマー国以上の寒さだった。あちこちの床は凍っており、滑って止まらなくなることもしばしばだった。氷点下は既に通り越しており、指がかじかんで、身体も思うように動かない。そんな中でも敵は容赦なくロイに襲いかかる。ロイはファイアフレイルを振り回して敵を蹴散らしながら奥へと進んでいった。ダンジョンはかなり奥深くまで続いていた。途中の回復の泉ではそこだけ平穏が保たれていて暖かい。砂漠では冷たいと思った泉の水も、ここではまるで温くなったお湯のようだった。2つ目の回復の泉を見つけた頃、ロイは先に進む道を見失った。

ロイ「行き止まりかな?」
(なんかまた同じところをぐるぐる回っているような気がしやすねえ。以前の廃坑のトロッコを思い出しますよ)
ロイ「あれを思い出させるのはやめてくれ…ただでさえ氷で滑って敵とうまく戦えないのに。氷で滑っている間に杭があったから、あそこから突破口が見いだせるだろうか?」

ロイは何度か氷で滑っている間にファイアフレイルを杭に絡ませようとしたが、敵に攻撃されてなかなかうまくいかなかった。それでもようやく先へ進み、最深部のマリリスの元まで辿り着いた。マリリスはつららを飛ばしたり、尻尾で攻撃してきたが、ロイは盾などを使ってうまくかわし、頭部を集中攻撃した。見事マリリスを倒すと、チョコボの元へ戻る。チョコボはロイを見るなりすり寄ってきて、ロイはまた優しく撫でてやる。

ロイ「待たせたな。いい子にしてたかい?さあ、ロリマー国へ行こう。人々はもう元に戻っているはずだ」


ロリマー国は以前とは比べ物にならない程暖かくなっていた。否、以前があまりにも寒過ぎたのだ。人々が凍りつくほどの寒さだったのだから。

男「うわァ生き返った心地だ」
ロリマー王「ありがとう、若者よ。シーバが向こうで待っているぞ」

自らの保身の為に王の間だけ暖かくしていたロリマー王は多くを語らず、静かに礼を述べた。


シーバの元へ行くと、彼は髑髏の鍵をロイに渡そうとする。ロイが受け取ろうとすると…

(そんなに欲張ってはいけませんぜ)
ロイ「え?」
シーバ「どうした?早く受け取らんか」
(そんなに欲張ってはいけませんぜ、旦那。持ち物が一杯ですよ)
ロイ「あ、あの、ちょっと待って下さい」

ロイ(お前、いきなり話しかけるなよな…ええと、何かいらないものはあるかな…ラムジィの枕は寝る時使ってるし…マトックかな…)

ごそごそとアイテム整理をした後、ロイは改めてシーバから髑髏の鍵を手に入れた。

シーバ「いいか、よく聞け。アンモナイト海岸の近くの広い川を上っていけ!上陸して奥に進むと浮遊岩の荒野がある。そこの洞窟をこの鍵で入るんだ。聖剣は火山の主イフリートの手にある。無事手に入れたらまた戻ってこい。詳しいことはそのときに話す」
ロイ「わかりました。行ってきます。」





そして、ロイは再び海の上で道に迷うことになるのであった。世界を横にも縦にも1周して、ひたすら海の上を彷徨うロイ。

ロイ「あーもう、地理が全然わからないよ!………ここはガラスの砂漠じゃないか!待てよ、ボンボヤジはここから東に行ってつきあたりを南に行けばアンモナイト海岸だって言ってたな…よし、行こう!」


――しばらく後、

ロイ「えーっと、ここがアンモナイト海岸だな。桟橋はどこだろう?」
(旦那、行きすぎですぜ!ここは浮遊岩の荒野ですよ!)
ロイ「浮遊岩の荒野…ここに洞窟があるんだな」
(その前にアンモナイト海岸の近くの川を上っていくように言われたじゃないですか!)
ロイ「あれェ?あれェ?なんか違うところに出ちゃったよ」
(旦那ー!また世界一周してますぜ!とにかくアンモナイト海岸を――)
ロイ「アンモナイト海岸はどこだっけ?」
チョコボ「クエーッ」

かくしてロイは謎の守護霊の助言を得ながらも聖剣を求めて彷徨っているのであった。





一方ジュリアスは…

ジュリアス「フフフ…人々よ、魔物に襲われ悲鳴を上げ、恐怖に怯え、苦しむがいい。このジュリアス様の支配する世界でな!バンドールを復興させるには余計な臣下など必要ない。私1人が世界の覇者として君臨していればよいのだ。このマナの神殿を元に私にふさわしい宮殿を造り、そこを居住地にしよう。フフフ…」

絶対的な力を手にし、悦に入っていたジュリアスは、ふと、傍らのマリアに気付いた。マリアは思考を押さえ込まれている為、相変わらず夢遊病者のように、その目は虚ろである。

ジュリアス「おっと、私としたことが、肝心なことを忘れていた。絶対的な支配者、覇王にはそれにふさわしい妃が必要だな」

そう言うと、ジュリアスはマリアの顔に手を触れ、顎をくいと上げ、その美しい顔をみつめた。そして、何やら邪な企みを思いついたように不遜な笑みを浮かべるのであった。





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