ロイ「はあ…はあ…やっと着いた…さすが聖剣を隠してある場所、ちょっとやそっとじゃ見つからないところにあるな…」
(確かにここまでの道のりは随分複雑でしたねえ。でもやっと辿り着いたんですから、さっそく入って見やしょう!)
ロイ「そうだな、この髑髏の鍵で洞窟の入口を開けて…」
(髑髏で作った鍵なんて悪趣味ですねえ)
ロイ「余計なことは考えるんじゃない!今は聖剣を入手することだけを考えるんだ!…よし!チョコボ、餌は充分に置いたから、お前はここで大人しく待っているんだぞ」
チョコボ「クエッ!」


中に入るとそこは地下大河だった。特に迷うような箇所もなく進んでいくと、クラーケンが襲いかかってきた。

ロイ「こいつもジュリアスが復活させた魔物の1人なのか…?」

ロイは触手をうまくかわしつつブラッドソードのMAX攻撃で倒した。


地下大河から出ると、ある島に出る。

ロイ「ここはどこだ…?」
(この島は海底に火山があるようです。シーバさんによると聖剣は火山の主イフリートが持っているそうですね)
ロイ「海底火山か…よし!行くぞ!」

ロイは海底火山へと足を踏み入れた。初めのうちは特に変わった所もなく進むが、行き止まりで雑草に覆われた魔方陣を発見する。

ロイ「またか…でも今度は前と同じ轍は踏まないぞ!」

ロイは手際良くウィザードを倒すと、鎖鎌で雑草を刈り取り、ダークストーカーが適当な位置にきたらブリザドで凍らせて魔方陣の上に乗せた。

(おっ!旦那、今回は完璧じゃないすか?)
ロイ「そうだろう。これからも見てろよ。今までの僕とは一味違うぜ!」

そう意気込んだロイだったが――

ロイ「…何だよ、これ…」
(溶岩ですね。この上を進むと大ダメージは避けられないっすね)
ロイ「ほんの少し歩いただけで死にそうだよ!こ、こんな…」
(まあまあ、旦那。なるべく溶岩の床は避けて、こまめにケアルで回復しながら進めばいいっすよ。レベルアップしたらあっしも回復してあげやすから。それに海の上で迷った時、エリクサーをたくさん手に入れたでしょう?)
ロイ「そ、そうだったな」
(これも試練の1つってことで、さあ、レッツゴー!)
ロイ「あああ…そんな…」

ロイは襲い来るモンスターを倒しながらおそるおそるマグマの湧き上がる床の上を進んでいくのであった。それはある意味、茨の道を進むより辛かった。ほんの少しでも回復を怠れば怪我では済まない、確実に「死」が待っているのだから。


ロイ「はあ…どうやら溶岩を避けられないようなところはもう過ぎたみたいだな」
(エリクサーだいぶ減っちまいましたねえ)
ロイ「また手に入れるからいいさ。…おっ、回復の泉があるぞ!ちょっと休憩しよう!」

回復の泉は、今度はカーラ山脈とはうってかわって冷たく、瑞々しく、喉を潤すのに心地よい温度だった。

ロイ「ふう〜いい気持ちだ。溶岩の床を渡る時にできた火傷もすっかり良くなったよ」


一時休憩してすっかり体力を回復させたロイは再びダンジョンの奥深くへと入っていった。魔方陣に雪ダルマの仕掛けも既に慣れ、最深部のボス、イフリートのところまで辿り着いた。ロイはアイスブランドを使ってイフリートを強く斬りつけ、見事倒した。

しかし――

イフリートを倒して手に入ったのは錆びた剣であった。

ロイ「錆びた剣?こ、これが聖剣なのか…?」
(とりあえずロリマー国にいるシーバさんに会いに行きやしょう。無事剣を手に入れたら詳しいことを話すって言っていたじゃあないですか)

とりあえずロイはロリマー国まで戻ることにした。


シーバ「グランスへの道が閉ざされた今、ダイムの塔を浮上させるしか手はない」
ロイ「ダイムの塔?ガラスの砂漠に没したという?どうすればそこに?」
シーバ「聖剣の力を借りるんじゃ。遺跡の洞窟でその剣をかざせば幻の塔は目の前に姿を見せるであろう」
ロイ「でもこの錆びた剣がそんな力を持っているのですか?」
シーバ「聖剣はそれを使う者が勇者としてふさわしいと認められた時に初めて本来の力を発揮する。おまえがジェマの騎士にふさわしい男ならばきっとその錆びた剣が力を貸してくれる」
ロイ「でも…ジェマとして認められなかったら…僕は…」
シーバ「心配するな。さあ行け!遺跡の洞窟はイシュの付近の砂漠のどこかにあるという…そのことはボンボヤジが詳しかろう」


ロイ「……………」

ロイはチョコボに乗りながら考え込んでいた。

(旦那、何考え込んでいるんですかい?)
ロイ「何でボガードやシーバよりボンボヤジの方が聖剣について詳しいんだろう?」
(ボンボヤジは過去の戦いの時から生きてますからね。バンドールの文明などの昔の遺跡に詳しいんですよ。メカに詳しくてチョコボも助けちゃったし、世界の地理にも詳しいでしょう?)
ロイ「……そうなのか…?……」

人は見かけによらないものだと内心失礼なことを考えながらも、ロイはイシュの町のボンボヤジの元を目指した。

ボンボヤジ「とうとう乗り込むか!しかしまだフレアの魔法を覚えとらんようだな。最強の黒魔法フレアは封印の洞窟の主、リッチがその知識を封じ込めておる。奴を倒しフレアを習得せよ。北の砂漠…やしの木に囲まれた洞窟に潜んでるはずじゃ」
ロイ「フレアの魔法が聖剣を復活させるのに必要なんですか?」
ボンボヤジ「ああ。あの魔法が無ければ遺跡の洞窟には入れない。さあ、行ってくるんだ」


ロイ「砂漠か…前にも行ったけどそんなのあったかなあ?」
(旦那!ボンボヤジが言ってるのは別の砂漠ですよ!)

謎の守護霊に助言を受けながらもチョコボに乗りしばらく探索していると、以前アマンダを探しまわった砂漠のすぐ南にも砂漠があることがわかった。さっそく上陸し、洞窟を目指す。洞窟内は狭く、すぐにリッチのところへ辿り着くことができた。リッチは主に髑髏を投げて攻撃してきたが、ロイはよけるか破壊するかして防ぎ、必殺技で止めを刺した。そしてフレアの知識を手に入れた。


イシュの町へ戻るとロイはまたボンボヤジの元へ行った。

ボンボヤジ「とうとう乗り込むか!ガラスの砂漠に生えているクリスタルの1つがフレアの魔法で破壊できるのじゃ。そこが遺跡の通路の入口じゃ」
ロイ「え?それはどれですか?」
ボンボヤジ「自分で探せ!」


ロイ「――って言われてもなあ。こんなにたくさん生えてるクリスタルの中から1つを探すなんて…MPにも限界があるし」
(まず武器で調べてみたらどうですかい?)
ロイ「そうか!お前、ありがとう!さっそく調べてみるよ」

ロイはガラスの砂漠に生えているクリスタルを片っ端から調べた。それは骨の折れる作業であったが、ようやく海岸に生えているクリスタルの1つがフレアで破壊できることがわかった。ロイはそのクリスタルを破壊すると、遺跡の洞窟へ入った。

ロイ「ふう…海底火山にリッチにこの洞窟。並大抵のことじゃ聖剣の力を借りることはできないんだなあ」

遺跡の洞窟は入口は見つけるのに苦労したが内部は簡素な造りだった。敵を倒しながら難なく進んでいくと、奥にボスのマンティスアントが待ち構えていた。

ロイ「よーし!戦うぞ――って痛っ!」

ロイは入り口の棘に刺さって大ダメージを受けた。

(旦那!ここは例の作戦っすよ!狭い入口で待ち伏せ攻撃っす!)
ロイ「い…痛い…お前の言う通りにした方がよさそうだな…」


――しばらく後、

ロイ「けっこうしぶとかったな、あの巨大カマキリ」
(そうっすねえ)
ロイ「さてと、先へ進むには――この棘を我慢しなきゃならないのか!死んじゃうよ!」
(後もう少しの辛抱ですよ!さあ、がんばって!!)
ロイ「うう…」

ロイはこまめにケアルで回復しながら、涙目で鋭い棘のある部分を通過した。
奥には神聖な雰囲気の漂う部屋があった。

ロイ「ここでシーバの言った通り聖剣をかざせばいいのかな?」

すると、聖剣の力が発動し、どこかで地響きが聞こえた。

ロイ「この砂漠のどこかにダイムの塔が浮上するはずだ!これでグランスへ行ける!…マリア…無事でいてくれよ…」

未だ錆びたままの聖剣に疑念を持ちながらも、ロイはマリアの無事を願ってグランスへ行く為に、ダイムの塔へ向かうのだった。





一方、ここはマナの神殿の一角――

ジュリアスは煌びやかな衣装を纏い、マリアにもまた煌びやかな、華やかな衣装――花嫁衣装を身に着けさせた。
そして、祭壇を盛大な灯で包まれるようにし、神聖な、婚礼を行っていた。
――だが、それは花嫁の思考を無理やり操った、一方的で不正なものであった。

マリアは思考を操られ、思うがままに動かされる間にも、内面では必死にそれに抗おうとしていた。しかし、強大なマナの力を手にしたジュリアスの術に圧倒され、抵抗ができない。そんな中、婚礼の儀式は残酷に続いてゆく――

ジュリアスは何かバンドールの洗礼というものを受けさせようとしていた。マリアはそれに歯向かうことができずに無理やりジュリアスの洗礼を受けさせられた。しかし――最後にジュリアスが洗礼を完成させようとマリアに接吻しようとした時――


パンッ!!


マリアの平手打ちが静かな神殿内に鳴り響いた。それは少女のできた唯一最大の抵抗であった。マリアの頭の中には雄々しく逞しいロイの姿が浮かび上がり、目の前のジュリアスを限りなく嫌悪の目で睨みつけた。ジュリアスはじんわりと痛んだ頬に手をやりながら、冷静な表情で、冷たくマリアを見つめた。

ジュリアス「ほう…私の術に抵抗するか…まだそんな力が残っていたとはな……あの男がそんなに気になるか…?」

マリアは目を見開いた。未だ思うように動かない身体で、瞳だけで必死に訴え、抵抗している。そんなマリアにジュリアスは嘲りの笑みを返す。

ジュリアス「フン…いいだろう…あの男に止めを刺してから思う存分慰み者にしてやる。我が妃としてな!絶望の中で悶え苦しむがいい!!」





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