ロイ「あれェ?あれェ?マリアがいない!」
ロイはマリアを探してビンケットの館内にいる人達に話を聞いてみる。
執事「お供の方?…さあ?」
ロイ「その向こうは…?」
執事「この先へ行ってはいけません。リィ伯爵が奥でお休みになっておりますので」
ロイ「……………」
男「僕は真実を映すという月の鏡を探して旅してる。邪悪な者の正体を知るには一番効くんだって。ここの主人が沼の洞窟に捨ててしまったって噂だけど何故そんなことするんだろうね?」
ロイ(この館の主人…怪しいな…邪悪な者の正体を知る鏡を捨てるなんて…)
女「南の方にリザードマンの巣があるって聞いたわ。リザードマンは沼の見張り番。沼の洞窟の鍵を持ってるそうよ」
ロイ(ええと…情報を整理してみよう。朝起きたらマリアがいなくなっていた。そしてこの館の主人は邪悪な者の正体を知る鏡を捨てたっていう。執事はしらばっくれているし、主人のリィ伯爵に会わせてくれないし、いかにも怪しい。噂では鏡を捨てたのは沼の洞窟で、沼の洞窟の鍵を持っているのはリザードマン。で、リザードマンの巣は南の方にある)
(よくできましたね〜パチパチパチパチパチ♪)
ロイ「う、うるさい!おまえは黙ってろって言っただろ!」
周りから不審な目で見られたロイは慌てて館を出た。
(あっしはあんたの守護霊。あんたが目的を見失わないよう見守るのが役目なんですよ。それではまず南のリザードマンの巣で沼の洞窟の鍵を手に入れやしょう)
ロイ「はあ…」
ロイはため息をついた。
リザードマンの巣で鍵を手に入れようとしたが、持ち物がいっぱいだ。
(そんなに欲張ってはいけませんぜ)
ロイ(マリアがいなくなって傷を癒してくれる人がいなくなってしまった…まんまるドロップを使おう)
(さ、鍵を入手したら次は沼の洞窟へ行きますぜ)
ロイ「そうだな…一刻も早くマリアを助け出さないと」
ロイは沼の洞窟へ辿り着き、鍵を開けて中に入った。中には男が1人いる。
ロイ「あなたは誰ですか?」
男「俺は旅の男さ。どうかしたのか?なんなら相談に乗るぜ。…女がさらわれた?あの館でよく若い女が行方不明になるって噂だ…なんでも地下にはたくさんの棺桶が並んでるそうだ」
ロイ「か、棺桶!?じゃあマリアは…」
ロイはパニックになった。
マリアーーーーー!!!!!
(お、落ち着いて下せえ、旦那!)
ロイ「お、落ち着いてなんかいられるか!マ、マリアが、マリアが――」
旅の男「お、おい、落ち着けよ。さらわれてからそんなに時間は経ってないんだろ?まだ無事かもしれないぜ。助けに行くなら俺も手伝うからさ。な?」
旅の男はなんとかロイをなだめすかして同行を申し出た。ロイはなんとか平静を取り戻すと、洞窟内を探索しはじめた。
(…それにしても、この男、怪しいな…なんで鍵がかかっている洞窟の中にいたんだ?しかもあっさり協力するって言うし…ねえ、旦那?)
ロイ(マリア…どうか無事でいてくれ…)
(駄目だこりゃ)
探索を続けるうちにロイは鎖鎌を入手した。しかし、洞窟内は複雑に入り組んでいて、途中で迷ってしまった。
旅の男「おい、そっちは入り口だぞ。なんだい助けに行かないのかい?てっきり月の鏡を探すのかと思ってたぜ」
ロイ「え?」
ロイは一瞬硬直した。
ロイ「とにかくマリアを助けなきゃ…で、月の鏡って何だっけ?」
旅の男「……月の鏡ってのは邪悪な者の正体を暴くものだ。女がさらわれた例の館の主人はその邪悪な者なんだよ。だけど正体を知られないようにこの沼の洞窟のどこかに捨てたのさ。だから鏡を入手して館へ行き、正体を暴いて女を救出するんだ」
ロイ「え、え〜とォ〜」
旅の男「とにかくこの洞窟で月の鏡を見つけ出すんだ!さあ奥へ行くぞ!」
(…ますます怪しいなあ。詳しいことは説明してないのに、まるで事情を何もかもわかってるみたいだ)
お人好しでマリアの安否に気をとられていたロイは謎の守護霊の声を聞いていなかった。
洞窟の最深部にはヒドラがいた。ロイと旅の男が2人がかりで倒すと月の鏡が見つかった。
旅の男「それをあの澄ました野郎に突き付ければきっと正体をばらすぜ。じゃあ俺はここで失礼するぜ。うまくやんなよ」
ロイは呆然としたまま洞窟の入口へ戻る。
(旦那あ、しっかりして下さいよ。ほら、無事月の鏡が手に入ったじゃないですか。それに他にも。それはファイアの書ですぜ。それで武器が効かない敵も攻撃できますぜ)
ロイ「なんだか頭の中が混乱してるんだ」
(早くビンケットの館に戻ってあの館の執事と主人の正体を暴きましょう。そしてマリアちゃんを助けるんです)
ロイ「そ、そうだ!一刻も早くマリアを助けないと!」
ビンケットの館に戻り執事に話しかけても態度は依然として変わらない。ロイは手に入れた月の鏡を使ってみた。
執事「……そ、その鏡は…!く、苦しい……………」
執事はウェアウルフに変身し、襲いかかってきた。倒すと館の奥への道が開かれる。
ロイ「やっぱり邪悪な者だったんだ。マリア…無事だといいけど…」
暗い暗い闇の中。
マリアは暗くて狭い、冷たいところに閉じ込められていた。
気が付いたらこのようなところに入れられていたのだ。
二度と日の光を見ることができないのではないかと思う。
不安。絶望。空虚。
ここは自力では抜け出せない。内側からは開かないようになっているのだ。
怯えた少女にできることは、つい先日知り合ったばかりの青年の助けを待つことだけだった。
見るからに人のよさそうな、優しく、そして強い青年。
見知らぬ土地でハシムに先立たれた彼女にとっては、その青年は心強い存在であった。
彼は助けに来てくれるだろうか?そもそもこの場所を見つけることができるだろうか?
外はしんと静まりかえっている。何も聞こえない。永遠とも思われる静寂が漂う。
恐怖で悲鳴を上げたくなるほどの虚無を感じる。
何もない。あるのは暗闇と静寂だけ。
しかし、彼女の声は喉に凍り付き、声一つ上げることもできない。
マリアが不安と恐怖に怯え、震えていながら、どれだけの時間が経っただろうか――
何か、遠くの方で物音が聞こえたような気がした。
「マリア、マリア、マリアーっ!」
それはロイの声であった。
ロイ「もうこの館で探してないのはここだけだ!…棺桶がいっぱいだ…マリア!マリア!どこにいるんだ!」
どうやらロイはここまで辿り着き、自分を探しているようだ。だがマリアはあまりにも長いこと恐怖に怯えていたので声が出ない。
すると、閉じ込められていた暗い空間からかすかな光が射した。ロイがマリアが入れられている棺桶の蓋を開けたのである。
ロイ「マリア!良かった!無事だったんだね!!」
マリア「心細かったわ…」
マリアはやっとのことでそれだけ呟いた。
ロイ「こんなところ、早く出よう!」
ロイの後について広い館内を歩いていく。マリアの心中にも徐々に落ち着きと安心が戻ってきた。
途中に建物が分かれていて進めないところがある。
ロイ「マリア、僕に捕まって。このチェーンフレイルをあっちの杭に引っ掛けて館の入口まで戻るんだ」
マリアは大人しく従った。ロイはマリアを抱きかかえると片手でうまくチェーンフレイルを杭に引っ掛け、向こう側に渡ることに成功した。そしてマリアをそっと降ろす。
ふと、2人の目が合った。これまで、お互いこれほど間近に接近して触れ合ったことはなかった。
ロイとマリアは2人とも赤面し、慌てて離れる。
ロイ「じゃ、じゃあ、行こうか」
マリア「ええ…」
なんとか入口まで戻ったところでこの館の主人であるリィ伯爵がバンパイアがに変身して襲いかかってきた!
リィ伯爵「やっと手に入れた処女の生き血…みすみす逃がさんぞ!」
バンパイアとなったリィ伯爵は手下らしき蝙蝠を放ちながら攻撃してくる。ロイは蝙蝠を盾でかわしながら間合いを取り、バンパイアを攻撃した。
バンパイアを倒すと魔術書が見つかる。
マリア「これはスリプルの書だわ。敵を眠らせることができるのよ。…館の邪気が薄れていく…」
ロイ「さあ、早く出よう」
館の外に出ると、眩しい日差しが降り注ぐ。マリアにとっては久しぶりの太陽である。なんだか随分長い間暗闇に包まれていたようだったが、本当はそれほど時間がたっていたわけではなかったのだ。
ロイ「ふう…。とんだ寄り道だったね」
マリア「ウェンデルは南の方角よ。急ぎましょう」
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