ウェンデルへ向かう途中で思わぬハプニングに巻き込まれたロイとマリア。一時はマリアの安否が危ぶまれたが、無事救出することに成功した。
そして改めてウェンデルへ向かっている――はずなのだが――


2人は道に迷っていた。


そもそも地図も無しに旅をすること自体に無理があるのかもしれない。ウェンデルは南の方角だとわかってはいるものの、情報はそれだけだ。

ロイ「困ったなあ。確かに南に進んでいるはずなんだけど…あ、店があるよ。中に入ってお店の人に道を尋ねてみよう」

ロイは店の中に入ってみたが、店員はいない。

ロイ「留守…かな?」


――しばらく後――


マリア「ロイさん、なんか西の方に進んでいませんか?」
ロイ「う〜ん、歩いているうちに方角がわからなくなってきたよ。…ん?あれはなんだろう?」

見ると大きな人面岩がある。大きな口を開けていて、中には容易に人間が入れそうなくらいの広い洞窟が広がっている。

ロイ「何だ、ここは?」

ロイが入ろうとすると――

人面岩「ほわァ…何するだァ…わしの口の中に勝手に入るなァ だァ…くわァーぺッ!」
ロイ「うわっ!」

ロイは吐き出された。

マリア「ロイさん大丈夫ですか?」
ロイ「う、うん」
人面岩「お前達はどこへ行こうとしているんだァ?」
マリア「ウェンデルです」
人面岩「それならもっと東のほうだァ。川や海を海岸伝いに反時計回りにぐる〜りと行けばそのうち見つかるだァ」
ロイ・マリア「あ、ありがとうございます!!」


2人は意外な人物(?)に道を教えられ、やっとウェンデルへ辿り着いた。町を歩いていると、以前、沼の洞窟で行動を共にした旅の男がいる。

旅の男「また会ったな。彼女を大事にな」
ロイ「彼女だなんて。てへ…」
旅の男「何 赤くなってんだ」
ロイ「え?え?」

この時ロイは、マリアの頬が赤く染まっているのに気がつかなかった。


ボガードが言っていたシーバという人物は偉大な賢者で、ウェンデルの大聖堂にいた。

シーバ「私がシーバじゃ。ボガードから話は聞いておる。やつとはジェマの同志じゃ。ほほう、確かにそのペンダントはマナのしるし…」
ロイ「え?ボガードからもう話を聞いてるって…いつの間に…?」
(あっしらがマリアちゃんを助ける為に沼の洞窟へ行ったりビンケットの館を探索したり、さっき道に迷ってる間に来て帰っていったんすね)
ロイ「……………」

気を取り直してロイはマリアと共にシーバの創った魔方陣へ向かった。それを使えばマリアの持っているペンダントの秘密を明かすことができるそうなのだ。
そして儀式が始まり――マリアの母親の姿が現れ、マリアの負った使命を伝える。
ロイとマリアは衝撃的な事実を知った。

マリアはマナの一族であり、マナの樹を邪悪に染まらぬよう護る使命を負っていること。再びマナの樹に危機が迫っていること。ジェマの騎士の助けを得てグランス公国の野望を阻止すること。それだけを伝えるとマリアの母の像は消えた。

マリア「お母さん…」

すると、外から爆撃音が聞こえた。誰かの叫び声が聞こえる。

「グランス兵が飛空挺で攻めてきたぞ!」
シーバ「そんな馬鹿な!」

そこに旅の男が現れた。

旅の男「さあマリア、安全な場所へ!」
マリア「はい」

旅の男はマリアを連れていった。

シーバ「ん?何か変じゃぞ。あの男、いつの間にこの儀式を見とったんじゃ?」
ロイ「僕も行きます!」
シーバ「あの男…何か様子が変じゃったのう。急いで後を追うのじゃ」

大聖堂を出ると、男が1人倒れている。

男「く…!後ろから不意をつかれた。あいつだ!あの男が…」
ロイ「しっかりしろ!」

ロイは近くの人に手当てを頼むとマリアと旅の男を探した。だが町中探しても見当たらない。
ウェンデルの外へ出ると2人を発見した。だが何か様子が変であった。

ロイ「マリアは?……?」

すると旅の男は姿を変えた。

ロイ「お前はジュリアス!何故だ!さっきは僕を助けたのに」
ジュリアス「私の力も完全なものでない。大聖堂での儀式を見るまでは私もこの娘がマナの一族であるという自信がなかったからな。だから今までは身を隠し…この娘を守らなくてはならなかったのだ。しかしもうこの娘はグランスのものだ!」
ロイ「マリア!」

ロイがマリアを助けようとすると、ジュリアスの魔法で吹っ飛ばされた。

ジュリアス「口ほどにもない。私の術を甘く見るな」
ロイ「畜生…」





ロイが目を覚ますと、そこは大聖堂の中だった。負傷を負った者達が手当てを受けている。傍らにはシーバがいた。

シーバ「気づいたか」
ロイ「マリアは?」
シーバ「ジュリアスの飛空艇はマリアを乗せて西へ向かったぞ」
ロイ「僕、奴を追います!」
シーバ「そうか…君にはジェマの素質を感じる。これを持っていけ」
ロイ「これは魔術書?」
シーバ「これはヒールの書。体の調子が悪い時によく効く魔法じゃ」
ロイ「ありがとう」
シーバ「ジュリアスは飛空艇で西へ向かった。マリアを助け出してくれ」
ロイ「はい!」

ロイは決意を新たにし、マリアを救出する為に大聖堂を出て行った。その後シーバは1人含み笑いをする。

シーバ「フォフォフォ。あの魔法には1つ欠点があってな。呪文を唱えて体の調子を治した後、防御力が0になってしまうんじゃ。あの若者は気づくかのう?ロイとかいったな。お前にジェマの資格があるかどうか、試させてもらうぞ」


一方ロイは…

(あの男は前々から怪しいと思ってたんですよ!実は敵のジュリアスだったなんて…キーッ!悔しいっすよ、旦那)
ロイ「ああ。なんだかものすごく裏切られた気分だ」
(それはそうと、空飛ぶ船に乗って西へ飛んでいったなら、あの人面岩の向こうに行ったんじゃないですかい?)
ロイ「あの岩、事情を話せば通してくれるかなあ?とにかく少し情報を集めてみよう」

ロイはウェンデルの町で情報収集をした。

少年「西の方に行くとドワーフの洞窟があるよ」

ロイ「ドワーフか。彼らに聞けばあの人面岩のことも、もう少しわかるかもしれない。行ってみよう」


ロイは再びフィールドを西へ進んだ。途中モンスターとの戦いで時々毒状態にされる。

ロイ「ヒールの書をもらったからもう毒消しを買う必要はないな。持っている分は全部使ってしまおう」

ロイはまだこの時、ヒールの魔法の欠点について知らなかった。





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